CB Stories

1989CB-1

日本のネイキッド・ロードスポーツの
先駆けとなったCB

日本のネイキッド・ロードスポーツの先駆けとなったCB

1989年3月、競争の激しい日本の400ccロードスポーツカテゴリーに新風を吹き込んだ新機種が誕生しました。カウルをもたないネイキッド・ロードスポーツの先駆けとなったCB-1です。

CB-1が誕生した背景には、ロードレース人気の高まりによる日本の二輪市場における400ccのロードスポーツクラスの人気と各社の激しい競争がありました。

日本では1975年に二輪免許制度が変更され、より取得のハードルが低い中型免許で乗ることができる最大排気量の400㏄のバイクの人気が高まりました。

また、ロードレースへの注目も増えたことにより、4気筒のフルカウルスポーツが圧倒的人気となりました。各メーカーはレーサーレプリカモデルの高性能化を競うように進め、その結果価格の上昇につながっていきました。

このようなスーパースポーツ全盛期に、新たな思想で開発されたのがCB-1なのです。

CB-1のレンダリングスケッチ

CB-1のレンダリングスケッチ

CB-1は、開発コンセプトに「感覚性能追求」を掲げました。スーパースポーツがもつハイパフォーマンスの魅力と、ネイキッド・ロードスポーツのシンプルな機能美を同時に追求した、感性を刺激するモーターサイクルを目指したのです。

1989年3月発売 CB-1(日本仕様)
1989年3月発売 CB-1(日本仕様)

1989年3月発売 CB-1(日本仕様)

エンジンは、CBR400RRに搭載の水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ直列4気筒で、最高出力は57PSを誇りました。そして、水冷エンジンの機能美を徹底追求した質感の高い外観を実現しました。新開発のフレームは、パイプ構成のツインチューブ式ダイヤモンドで、たくましいイメージをもたせました。カウルをもたないネイキッド・ロードスポーツとして誕生したCB-1は、スーパースポーツに匹敵する走行性能を発揮したのです。

一方価格は、CBR400RRやVFR400Rに比べ約10万円低い599,000円に設定したのです。

1989年制作のカタログ モノクロームでたくましさと存在感を演出
1989年制作のカタログ モノクロームでたくましさと存在感を演出
1989年制作のカタログ モノクロームでたくましさと存在感を演出

1989年制作のカタログ
モノクロームでたくましさと存在感を演出

エンジンとフレームの詳細を解説

エンジンとフレームの詳細を解説

スポーティーな走行に対応したセパレートタイプのハンドルなど各部を解説

スポーティーな走行に対応したセパレートタイプのハンドルなど各部を解説

CB-1は輸出も計画され、1988年にアメリカで開催されたUSディーラーミーティングでいち早く公開されました。販売車名はCB400F CB-1でした。

1988年 CB-1 (USディーラーミーティング出品車)

1988年 CB-1 (USディーラーミーティング出品車)

1991年にはツーリング用途に対応したセミアップハンドルや、容量を2リットル増量した13リットルの燃料タンクを採用したCB-1 TypeⅡを追加しました。

1991年4月発売 CB-1 TypeⅡ

1991年4月発売 CB-1 TypeⅡ

CB-1は、ネイキッド・ロードスポーツの先駆けとなり、その後のロードスポーツモデルに大きな影響を与えました。しかし他社から投入されたネイキッド・ロードスポーツが人気を得ていく状況になりました。Honda技術者が抱いていた「高性能エンジンやスポーツ走行を高めればライダーに求めてもらえる」というストレートな想いとは裏腹に、よりエモーショナルなネイキッド・ロードスポーツに心惹かれる若者が多かったのです。

Hondaは、CB-1で培った経験を活かし1992年にネイキッド・ロードスポーツのCB400スーパーフォアを発売しました。このCB400スーパーフォアは、日本においてロングセラーを誇る400ccの代表的なモデルになりました。

競争の激しい日本市場に投入したHondaの400ccラインナップ

CB-1が誕生した背景となった日本の二輪市場における400ccのロードスポーツクラスの各社の競争。その渦中で、Hondaも積極的に独自のモデルを開発し世に出していました。

スーパースポーツモデル

1980年代のHondaの400ccフルカウル・ロードスポーツには、V型4気筒のVFRと直列4気筒のCBRのエンジン形式が異なる2車種がラインナップされていました。CBR、VFR両車種ともに、ロードレースで培った技術を反映した高性能なスーパースポーツモデルとして、若い人たちを中心に支持を得ていました。

1987年 VFR400R

4ストロークV型4気筒エンジンを搭載したVF400Fを1982年に発売。その後このVF400Fは、モデルチェンジを経てVFR400Rと車名を変更し1987年には片持ち式スイングアームのプロアームを採用したモデルを発売しました。

1987年3月発売 VFR400R

1987年3月発売 VFR400R

1988年 CBR400RR

4ストローク直列4気筒エンジンのCBR400Fを1983年に発売。このCBRはモデルチェンジを経て、1988年1月にはレーシングマシンを彷彿させるスタイリングのCBR400RRとして発売され一躍人気になりました。

1988年1月発売 CBR400RR

1988年1月発売 CBR400RR

ロードスポーツモデル

スーパースポーツモデルとは一線を画し、ベーシックでシンプルなスタイリングのロードスポーツを2車種ラインナップしました。

しかし、4気筒のフルカウルスポーツが圧倒的に人気の時代であり、比較的おとなしいスタイリングのこの2車種は一定のユーザーを獲得したものの、若い人からの支持は限定的でした。

1985年 GB400 TT(ツーリスト・トロフィー)

4ストローク単気筒エンジンを搭載したトラディショナルなスタイリングが特徴のGB400 TT(ツーリスト・トロフィー)を発売。500ccのGB500TTと同時発売しました。

1985年 GB400 TT(ツーリスト・トロフィー)

1985年 GB400 TT(ツーリスト・トロフィー)

1987年 ブロス プロダクト2

V型2気筒エンジンをツインチューブフレームに搭載したブロス プロダクト2を発売。650ccのプロダクト1もラインナップしていました。

1987年12月発売 ブロス プロダクト2(400cc)

1987年12月発売 ブロス プロダクト2(400cc)

このように、Hondaは400ccのロードスポーツにおいて、単気筒、2気筒、4気筒と多彩なラインナップを用意し、多様化していくユーザーの期待に応えていました。