CB Stories

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1979CB750F/CB900F

欧州市場に焦点を当て開発した
スタイリッシュなロードスポーツができるまで

欧州市場に焦点を当て開発したスタイリッシュなロードスポーツができるまで

ロードレースの人気と
新たに生まれたスタイリング「フローイングライン」

1969年に発売したドリーム CB750 FOURは、4ストローク直列4気筒の高性能エンジンや先進のディスクブレーキなどで、世界に衝撃を与えました。

販売は好調に推移していましたが、時をおかずに他社からも4気筒エンジンを搭載したロードスポーツが相次いで発売されるようになりました。そうして1970年代半ばになると、市場でのドリーム CB750 FOURの圧倒的な優位性は低下しつつありました。とくに欧州における販売の低迷は顕著に現れました。

それまでのHondaは、大型モデルにおいてはアメリカと日本を主な市場と考えて開発を行っていました。そのような背景もあり、欧州の現地法人から欧州のお客様に向けたスポーティーなモデルの開発を要望する声が一段と高く上がるようになりました。

なお、当時の欧州では耐久ロードレースが絶大な人気を誇っていました。なかでもフランスで開催されるボルドール24時間耐久レースで優勝することは、ライダーとチーム、そしてメーカーにとって大きな目標とされていました。
Hondaはレーシングイメージの向上と、1967年以降休止していたロードレース世界選手権に復帰するための準備として、1976年にヨーロッパ選手権耐久ロードレースに挑戦しました。

耐久レースマシンは、ドリーム CB750 FOURのエンジンをベースにDOHC・4バルブ化したRCB1000を開発。このマシンによって、デビューイヤーでありながらメーカーおよびライダーチャンピオンを獲得したのです。その後も圧勝がつづき、名高いボルドール24時間耐久レースでは3連覇を達成、3年目もメーカーおよびライダーチャンピオンを獲得するなど、Hondaのレーシングイメージは大きく向上していきました。

1978年 ボルドール24時間耐久レースのスタートシーン

1978年 ボルドール24時間耐久レースのスタートシーン

1978年 ボルドール24時間耐久レース RCB1000で優勝したクリスチャン・レオン、ジャン・クロード・シュマラン組。写真はジャン・クロード・シュマラン

1978年 ボルドール24時間耐久レース
RCB1000で優勝したクリスチャン・レオン、ジャン・クロード・シュマラン組。写真はジャン・クロード・シュマラン

この耐久レース活動に呼応するように、欧州市場をメインとしたロードスポーツモデルの開発が進められ、形になったのがCB750F、そしてCB900Fでした。

これらのモデルの開発で特筆すべきは外観のデザインです。一人のデザイナーがフランスでロードスポーツファンが多く集まるイベントに足を運びライダーの嗜好を観察するなど、市場の現場での試行錯誤が続きました。こうして生み出されたのが、フローイングラインと呼ばれる流麗で革新的なスタイリングです。
従来、タンク、サイドカバー、リアカウルは独立してデザインされていましたが、それらのパーツを関連させ一体感のあるフォルムとしてスピード感を強調したのです。
このフローイングラインの流れるようなデザインは、Hondaの新しいデザインの方向性を示すものでした。

初期のレンダリングでは、4本マフラーを採用

初期のレンダリングでは、4本マフラーを採用

CB750F/CB900Fのレンダリングの一例
CB750F/CB900Fのレンダリングの一例

CB750F/CB900Fのレンダリングの一例

CB750F/CB900Fの完成に近づいたレンダリング

CB750F/CB900Fの完成に近づいたレンダリング

エンジンにおいては、750ccクラスでの優位性を取り戻すために、高性能スポーツの定番である空冷・4ストローク・DOHC・4バルブ直列4気筒にレースで培った技術を投入し開発しました。

当初の車種構成は、このフローリングラインを取り入れたヨーロピアンスタイルのCB750Fと、同じエンジンを使用しスタイリングが異なるツーリングタイプのCB750Kの2種類でした。

750ccの開発が進むにつれ、他社の1000ccクラスに対抗できるスポーツモデルの開発にも着手して生まれたのがCB900Fです。軽量で俊敏な走りを実現するため、CB750Fのエンジンと車体をベースに排気量を900ccにアップしたモデルでテスト走行を行いラインナップに加えることになったのでした。

そうしてCB750Fがアメリカと欧州市場に、そして少し遅れてCB900Fが欧州市場に1979年型モデルとして投入されました。
1000ccクラスが人気の欧州市場においては、とくにCB900Fが洗練された外観やDOHC・4バルブの高性能エンジンによる魅力から、たちまち大人気となりました。耐久レースでのHondaの活躍とともに、Hondaの大型スポーツモデルのブランドイメージ向上に大きく寄与したのです。

1979年 CB900F(欧州仕様)

1979年 CB900F(欧州仕様)

CB900F(欧州仕様)のカタログ

耐久レースで圧倒的な強さを発揮したRCB1000との関係性から、レーシングテクノロジーも訴求
耐久レースで圧倒的な強さを発揮したRCB1000との関係性から、レーシングテクノロジーも訴求
耐久レースで圧倒的な強さを発揮したRCB1000との関係性から、レーシングテクノロジーも訴求
耐久レースで圧倒的な強さを発揮したRCB1000との関係性から、レーシングテクノロジーも訴求

耐久レースで圧倒的な強さを発揮したRCB1000との関係性から、レーシングテクノロジーも訴求

高性能エンジンや、航空機のコックピットを参考にした機能的なメーター回りなど、技術の詳細を解説
高性能エンジンや、航空機のコックピットを参考にした機能的なメーター回りなど、技術の詳細を解説

高性能エンジンや、航空機のコックピットを参考にした機能的なメーター回りなど、技術の詳細を解説

日本におけるCB750F販売にいたるまで

日本では1978年12月にCB750Kが発売されました。
CB750Kは4本マフラーの重厚なスタイリングや幅が広いアップハンドルの採用などで、欧州仕様と同様にツーリングモデルの位置づけでした。

1978年12月発売 CB750K(日本仕様)

1978年12月発売 CB750K(日本仕様)

CB750Kは、1969年のドリームCB750 FOURの発売から10年を迎えるタイミングでエンジンを刷新したモデルです。外観は保守的なイメージがあっため、欧州で高い人気を得たスポーティーなCB750Fを要望する声が次第に高くなっていきました。

市場の声を受けて、CB750Kの発売から半年後の1979年6月に、欧州と同様のフローイングラインが採用されたCB750Fが発売されました。
DOHC・4バルブの4気筒エンジンや、ブレーキシステムはフロントがダブル、リアがシングルのディスクブレーキを採用するなど、750ccのフラッグシップモデルにふさわしい装備でした。
日本においてもCB750Fの人気は高く、たちまちベストセラーモデルになりました。

1979年 CB750F(日本仕様)

1979年 CB750F(日本仕様)

CB750Fのハンドルは、ジュラルミン鍛造のセパレートタイプで、高級な質感はスポーツファンを魅了した

CB750Fのハンドルは、ジュラルミン鍛造のセパレートタイプで、高級な質感はスポーツファンを魅了した

CB750F/CB750Kのカタログ(日本仕様)

ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール
ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール
ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール
CB750Kは、グレート・クルーザーとして紹介された

ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール

ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール

ボルドール24時間耐久レースを制したRCB1000から投入された技術をアピール

CB750Kは、グレート・クルーザーとして紹介された

※フローイングラインはカタログ上では「インテグレート・ストリームライン」と呼んでいたことも