チャレンジの軌跡
改革と市場への挑戦で
危機を乗り越える
バブル崩壊。市場ニーズの変化をつかみきれず、
これまでにない経営危機に直面したホンダは、
全社的なTQM(総合的品質管理)を導入し、
四輪国内販売台数80万台を目指す「80万台体制計画」を断行。
販売不振を巻き返したクリエイティブムーバー(生活創造車)は、
その後の四輪事業を支える大きな転換点となった。
1990年代の日本
公定歩合の引き上げや1991年の地価税法の施行により地価・株価が急落したことでバブル経済が崩壊。長引く不況により、銀行や証券会社までもが倒産する金融破綻が起きた。一方、産業の新しい変化としてはインターネット関連の投資が過熱、ITバブルへと発展していく。環境問題では1997年に京都議定書が採択され、日本は1990年比6%の温室効果ガス削減を約束した。
新発想のクルマづくりを目指した「クリエイティブムーバー」第一弾
オデッセイ(1994年)
「新価値創造」を模索した90年代。ホンダは人々の暮らしを豊かにするためにクルマの在り方から追求。クリエイティブムーバー第一弾となる「オデッセイ」はセダンから乗り換えるミニバンとしてヒットした。その後も「クルマは、使う人が自らの生活を思いのままに創造・演出するための道具であり、そこでの主人公はあくまでも人」としてシリーズは拡大していった。
夢と技術が込められた新世代スポーツカー
NSX(1990年)
高度な運転技術が必要とされるスポーツカーが多い中、誰でも運転しやすく高性能な「人間中心」の新世代スポーツカーとして登場。「走る・曲がる・止まる」を極めるため、駆動方式はF1マシン同様ミッドシップエンジン・リアドライブとした。また量産車として世界初のオールアルミボディーを採用。動力性能と運転のしやすさを高次元で両立する。
新しい時代にふさわしいロードスポーツ
CB1000 SUPER FOUR(1992年)
「新しい時代にふさわしいホンダのネイキッドロードスポーツはどうあるべきか」を追求したプロジェクトBIG-1から誕生。走る者の心を魅了する感動性能を求めたCB1000 SUPER FOURは、大型二輪免許が限定解除と呼ばれ、取得が困難だった時代にも関わらず大ヒットを記録。その後も着実に成熟・進化を続け、2022年には30周年モデルが登場した。
デザインとカラーで新しいホンダ船外機を開発
船外機 BF35A・BF45A(1992年)
「水上を走るもの水を汚すべからず」の信念のもと、4ストローク船外機にこだわり続けて約20年。ようやく環境問題として社会から2ストロークを疑問視する声が上がり始めた。そんな折りホンダは新しい船外機を開発。それまで常識であった直線的で四角い船外機とは異なり、シルバーで美しく仕上げられたBF45A・BF35Aは、船外機においてもホンダブランドを際立たせた。
人と自然の未来を育むモビリティーワールド
ツインリンクもてぎ(1997年)
自然の中でレクリエーションやモータースポーツの楽しさを体験し、安全運転の学習や科学的知識・技術の習得ができる「場」と「機会」を提供することで生活文化の向上に寄与したいと考え、1997年8月オープン。開場25周年を迎えた2022年には、人と自然とモビリティーのさらなる共生を願い、施設名称をモビリティリゾートもてぎへと変更した。
- ・日銀、公定歩合を
6%引き上げ - ・軽自動車、規格改定
(全長・排気量
660cc拡大)施行 - ・東西ドイツ統一、
ドイツ連邦共和国誕生
- ・バブル景気崩壊
- ・牛肉・オレンジの
輸入自由化スタート - ・リサイクル法が施行
- ・オートマチック車限定
運転免許制度発足
- ・公示地価17年ぶりに下落
- ・対米乗用車
輸出規制枠165万台
対EC自動車
輸出枠126万台で合意
- ・ガソリン乗用自動車の
燃費基準改正
(2000年度目標) - ・欧州連合(EU)発足
- ・環境基本法制定
- ・日米包括協議、自動車、
部品分野を除く
3分野で合意 - ・通産省、対米乗用車
輸出自主規制の
撤廃を発表 - ・米国が自動車生産で
14年ぶりに世界一に
- ・阪神淡路大震災発生
- ・製造物責任法
(PL法)施行 - ・自動車保有台数、
7,000万台突破
- ・初の小選挙区比例代表
並立制による
総選挙実施 - ・大型二輪免許、
普通二輪免許新設 - ・道路交通情報通信
システム(VICS)
供給開始
- ・消費税5%に引き上げ
- ・環境影響評価
(環境アセスメント)法成立 - ・京都で地球温暖化
防止会議を開催 - ・運輸省、自動二輪車
排出ガス規制を公布
- ・地球温暖化対策
推進法が成立 - ・ナンバープレートの
希望番号制スタート
- ※18:RVが手薄だったホンダのラインアップの拡充を図る為と乗用車のラインアップが少ないいすゞとの契約締結であった。
- ※19:機体構造すべてにコンポジット材を用いた超小型ジェット機。実験機ではあったが後に世界最初のオールコンポジット製ビジネスジェット機という位置付けになった。
- ※20:「PRO’S」は顧客の多岐にわたる要望に対し、オールマイティーな対応ができるプロフェッショナルな販売店の意を込めて名付けられた。
- ※21:量産二輪車世界初となる水冷・4ストローク・50ccエンジンを搭載したジョルノ クレアは国内新排出ガス規制値の1/2を達成し、従来の2ストロークエンジンに比べ、約30%の燃費向上(ホンダ同排気量スクーター比較値。30km/h定地走行テスト値)を実現、車体には国内スクーター初のアルミダイキャストフレームを採用、今後のホンダスクーターの基本骨格とするべくモジュール構造を採用し、生産効率の向上を図った。