2023.05.25
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
ハローウッズの森は古くから人間が手入れをして育成・維持してきた里山です。ここには多様な生きものたちが暮らしていますが、その生態系の頂点に立つのがタカの仲間である「サシバ」です。今回、その貴重な姿を映像で捉えることができましたので、ぜひご覧ください。
ハローウッズの森の生態系の頂点に立つ「サシバ」は、人里に近い場所で生活している猛禽類です。寒い冬は東南アジアなど南の地方で過ごし、春になると日本各地に戻ってきて繁殖します。「ビックイー・ピックイー」という鳴き声が特徴的で、ハローウッズの森でも春になるとこの鳴き声が園内にこだまして、棚田でカエルや蛇などを捕食するシーンが度々見られます。
ハローウッズでは、スタッフが森を整備をして里山の環境を維持しています。そんな森では、土壌の中に暮らす微生物などから始まり、それらの助けを借りて成長する植物たち→植物を食べる虫・鳥・動物→それらの虫や鳥を捕食する大きな虫・鳥・両生類・爬虫類→それらを捕食する小動物、といった順番で生態系のピラミッドが形成され、その頂点に、鳥や小動物たちを狙う猛禽類がいる生態系が出来上がっています。このバランスは長い時間をかけて自然がもたらした絶妙な仕組みで、人が調整するわけではありません。
田んぼや里山は人の作り出した自然です。そこに生きる生きものたちは、長い時間をかけてその環境に順応し、自然に生態系のバランスが出来上がってきました。人間がそのバランスを無視する行為を行なうと生態系全体が影響を受けてしまいます。たとえば人間が田んぼのホタルを増やしたいと思ってある年にホタルを大量に持ち込むと、その年は良くても次の年にはかえって激減してしまうという事が普通にあります。目先のことだけ考えて環境を大きく変えてはいけないのです。
現在、森林や田んぼが減って様々な生きものに影響が出ています。ハローウッズではサシバが毎年やってきて繁殖していますが、全国で見るとサシバの棲む環境が減っており、それに伴ってサシバの生育数も減ってきています。里山の環境が変化して生態系のバランスが崩れたのが原因です。このバランスを維持し、守ってていくことは私たち人間にとっても生きものにとっても大事なこと。いつまでもバランスの取れた里山の環境を維持していきたいものです。