そもそもナラ枯れとは、ナラやカシ、シイ類の樹体内にカシノナガキクイムシがナラ菌を持って入り込み、ナラ菌の菌糸によって樹木内の道管が目詰まりして通水障害を起こし、最終的には枯れてしまう伝染病のことです。
ナラ枯れが広がると景観が悪くなるのはもちろん、立ち枯れるので土壌を支える力が衰えて土砂崩れの危険が高まり、倒木の危険もあります。また樹木の恩恵を受けているさまざまな生きものたちに多大な影響を及ぼすことから、ナラ枯れの発生を防ぐことはとても重要です。
では、どうやったらナラ枯れを防ぐことができるのでしょう。それは、ナラ枯れになりそうな高齢化・大径化した樹木を伐採し、森自体の若返りを図ることです。人間と同様、樹木も歳をとると生命力が弱まり、病気になりやすくなるのです。そこでハローウッズでは、昨年の冬、森の中でも太いコナラが生えるエリアを中心に、ナラ枯れ対策として伐採を行ないました。
通常、伐採した樹木は薪や炭などにして有効活用しますが、今回はそれとは別に7~8mと長めに切り出したものを集め、森の生きものたちが集まる新しい生命(いのち)の塔を作りました。生命の塔には昆虫たちなど小さな生きものが棲みつき、産卵し、新しい生命を育みます。するとそれを捕食する生きものたちも集まり、その循環で森の生命を活性化するのです。
早速この春、伐りたてのコナラを好んで、産卵し幼虫からサナギ、成虫となるカミキリムシの仲間の姿が見られました。これから夏にかけては、タマムシをはじめより多くの昆虫がこの生命の塔の木に産卵し、生命を繋ぐゆりかごになることでしょう。
ちなみに大径木でつくられたこの大きな生命の塔は、4~5年後には昆虫やキノコやカビなどの影響でまた朽ち果てて、森を育む基へと還っていきます。
樹木を伐採した後の切り株から新しい芽が出て新たに成長することを「萌芽更新(ほうがこうしん)」と言いますが、萌芽更新で新しい芽を出せるのは樹齢30歳くらいまでと言われています。この冬伐採したコナラは、年輪を数えてみるとどれも樹齢40~50歳、はたして芽は出るのでしょうか? 5月中旬現在、切り株を観察してみると、芽を出しているコナラの切り株は3本のみ。伐採したコナラやクヌギの大径木の中で1割にも満たない状況です。
そろそろ雨の時期を迎え、それを過ぎれば暑い夏がやってきます。伐採したエリアは日当たりが良くない北側の谷なので、今後気温が上がっていけば、新芽が出る可能性があるのでは? と願っています。今後この伐採地の植生がどう変化していくか、興味深く経過観察し、また皆さんにご紹介していきたいと思います。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへホタルは限られた場所でしか生きていくことができません。そんなホタルたちの暮らす環境を学びながら維持するための、森の水辺の手入れを行います。夜は水辺で幻想的なホタル観賞をお楽しみください。
ホタルが暮らす水辺づくりのページへ静岡県浜松市の浜名湖畔にある細江船外機工場は、自然豊かな「浜名湖の水を、環境を汚さない」にこだわって設立されたHonda船外機のグローバル・マザー工場です。2015年に誕生したHondaWoodsの森は爽やかな湖の風が吹き抜け、豊かな緑にはカブトムシをはじめ様々な昆虫たちがやってきます。
静岡県浜松市北区細江町気5794-1