サクラの花を咲かせる芽のことを花芽(はなめ)と言います。花芽が成長して蕾(つぼみ)になり、人々の目を楽しませる花へ、最後には実になります。この花芽が作られるのは、開花する前年の夏です。葉が茂って太陽の光も強い季節に、その豊かなエネルギーや生命力を使って次の命の芽を作るのです。しかし、夏にできた花芽はすぐには成長せず、秋に落葉すると本格的な冬を前に生命活動を最低限に抑えて休眠に入ります。これは寒い冬を生き抜くために他の植物にも多く見られる性質です。
厳しい冬の寒さを休眠で乗り切った後、春を迎えると花芽は再び成長を再開します。しかし面白いことに、成長再開のためには冬に一定の期間(約2カ月)低温にさらされることが必要なメカニズムになっていて、この低温期間を満たしてはじめてスイッチが入り、花芽は成長を再開します。よって、たとえば暖冬の場合は気温が高いから開花が早いと思いきや、逆に低温期間を満たすのに時間がかかり、例年より開花が遅くなることもあります。
ちなみに、こうして冬を乗り切った花芽が成長を再開することを「休眠打破(きゅうみんだは)」と呼んでいます。
寒さが緩み日に日に気温が上がっていくにつれて芽は成長を続け、最後は花を咲かせるのですが、このサクラの開花時期の予測には、従来から「600度の法則」「400度の法則」という2つの法則が知られています。
まず、毎年2月1日が平均的な休眠打破の日であると想定し、2月1日以降の毎日の最高気温を足していって累積温度が600度を超えた日に桜が開花すると予想するのが「600度の法則」、そして2月1日以降の毎日の平均気温を足していき、累積温度が400度を超えた日に桜が開花すると予想するのが「400度の法則」です。
この2つの法則については、実際に検証した結果をいろんな人がインターネットなどで発表しています。もちろんピッタリと当たる年はほとんどありませんが、それなりに精度は高いと評価されているようなので、皆さんもご自分で毎日の気温を調べて足していき、サクラの開花時期を予想してみてはいかがでしょう。
ハローウッズの森の中には、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、カスミザクラなどのサクラの木があり、毎年それぞれがいつ開花したかを調査しています。その中から、ソメイヨシノとヤマザクラについて過去5年間(2017年~2021年)のデータを見て少しだけわかってきたことがありますので、ご紹介しましょう。
今回ご紹介した内容は開花時期から見えてきたことだけなので、「こんな傾向があることが分かりました」という漠然としたものでしかありません。それでも、同じ種類のサクラの中にも早起きする木や寝坊する木があるなど、人間の個性みたいなもので開花タイミングが違ってくることが分かったのは興味深い結果でした。
今後、それぞれの生育環境や気温の変化なども加えて分析していくと、より深く見えてくることがあるかもしれません。これからも調査を継続しつつ、また新しい発見があることを楽しみにしながら、サクラの開花を心待ちにしたいと思います。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへはじめて夜の森を探険する方でも気軽に参加できるショートプログラムです。 生きものの気配を感じたり木々のざわめきなど自然の音に耳を澄ませたり普段とは違う体験で感性が豊かになります。最初はドキドキしながら歩くお子様も、体験が終わるころにはきっと一歩大人に近づいているはずです。
はじめての夜の森探険へ栃木県芳賀郡にある「ものづくりセンターTW 生産技術統括部」は、Hondaの生産技術、生産設備の研究開発を行なっており、事業所を囲う森は、近隣のHonda関連4事業所の森とあわせて「HondaWoods栃木」として整備・育成されています。そのなかで「ものづくりセンターTW 生産技術統括部」には工場見学や地域の方々に開放しているエリアがないため、「外から会社が見通せる開放感」を重視した森を目指しています。
栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6‐1