2024.01.26
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
春や夏は昆虫などを食べている森の小鳥たちも、エサが見つからなくなる冬には、木の実を食べます。今回はスマートフォンを木の実の近くに固定して遠隔で操作し、冬の小鳥がガマズミの実をついばむ様子をスロー撮影することに成功しました!
実は、冬の季節は森の小鳥たちを観察するのに絶好の季節です。木々の葉っぱが落ちて視界を遮るものが少なくなり、小鳥の姿を見つけやすいことに加え、春や夏には昆虫を食べている種類の小鳥たちも、冬は木の実を食べることが多くなるので、生っている木の実を見つけてそこで待っていれば、小鳥たちが寄ってくるからです。
ハローウッズの森にも冬に木の実が生る木がいくつかありますが、ガマズミもそのひとつ。樹高2~4mの比較的低い樹木で、日本の里山でよく見られる種類です。5~6月に白い花を咲かせ、それが9~11月に赤い実になります。しかし小鳥たちはなぜか生ったばかりの実はあまり食べず、だんだんと完熟して甘く美味しくなる真冬になってからよく食べます。もちろん鳥たちが人と同じ味覚を持っているわけではないと思いますが、小鳥たちは秋に生った実が美味しくなる真冬まで残しているようにも感じられます。
今回は、撮影用スマートフォンを屋外に立てた柱に固定し、その前にガマズミの実がなった枝をぶら下げて、スロー撮影にチャレンジしました。するとジョウビダキが現れてホバリングしながらガマズミの実をついばむ様子を撮影することができました。
冒頭の映像は、これを動画モードで撮影したものです。こちらを観ると、飛びながらガマズミに近づき、上手に一粒くわえ取って飛び去る様子がよく分かります。
ジョウビダキは本来肉食で、昆虫やクモ類を捕食しますが、これらのエサが少なくなる冬には、木の実もよく食べるようになります。このように、冬はいろんな小鳥たちがいろんな木の実を食べる姿を見ることができます。ハローウッズでは、これまでそれらの小鳥たちを多く撮影してきましたので、その一部をご紹介しましょう。
ちなみに、最後の写真に写っているピラカンサの実には軽度の毒性があり、多くを食べると危険です。小鳥たちはそれが分かるのか、生ったばかりの実は少量しか食べません。これは、より多くの種子をより遠くまで広げるためのピラカンサの生き残り戦略で、この毒性のおかげで真冬の寒い時期まで実がたくさん残って、小鳥たちがそれを食べて遠くまで運び、フンの中の種が地面で芽生えるのです。しかし2月ごろになると完全に毒性が抜け、一気に小鳥たちに食べられます。生きもの同士、持ちつ持たれつの面白い関係ですね。
皆さんも家の近くで木の実を探し、どんな実にどんな鳥が来るのか、ぜひ観察してみてください。