2023.09.29
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
エンマコオロギは日本最大級の大きなコオロギです。夏から秋にかけてオスが美しい声で鳴き、人々の心を癒してくれます。今回はそんなエンマコオロギがハネをこすり合わせて鳴く姿を間近で撮影しましたのでご覧ください。
エンマコオロギは、卵の状態で越冬した後、5~6月にふ化し、8~9月に成虫になります。成虫は夜行性で、昼間は原っぱの草木の陰や家の周りの垣根の根元などに潜んでいて、夜になると周辺を徘徊し、植物や小動物の死骸などを食べます。また成虫の活動期間は1~2カ月と短く、その間に産卵して冬が来る前には死んでしまいます。
「エンマ」という名前は、地獄の王様である「閻魔(えんま)様」からきていますが、これはエンマコオロギの顔が閻魔様に似ているから。黒い眼の上にある白っぽい帯が怒った眉毛のようで、閻魔様の怖い顔にそっくりだったことから名付けられたそうです。
エンマコオロギの成虫は体長25~30mm程度で、日本に生息するコオロギとしては最大種。黒っぽい体で、メスにはお尻から突き出た針のような産卵管があるので、これを目印にオスとメスの区別をつけることができます。
コオロギの仲間やキリギリスの仲間などは、ハネをこすり合わせて鳴きます。「鳴く」というと声を出しているように思えますが、そうではありません。そして鳴くのは全てオスです。オスは音を反響させる複雑な模様のセロハン質でできたハネを持っており、このハネを使ってメスに向けて求愛するために鳴きます。その鳴き声は「コロコロリー」とか「キリキリリー」などと表現され、より大きくきれいな声で鳴くオスがモテるようです。また、求愛以外にも縄張り争いでオス同士が鳴きながら争うこともよくみられます。その場合、テンポが速い「キリキリキリ」という鳴き声になります。
これから秋が深まると、コオロギをはじめとする「虫の鳴き声」の本格シーズン到来です。家の近くで夜の鳴く虫の観察をしてみましょう。どんな種類の虫がいるのか、それらはどんな鳴き声なのか、知れば知るほど秋の夜が楽しくなりますよ。