2023.08.29
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
ドングリの実に穴を開けて卵を産み付ける虫がいます。その名も「ハイイロチョッキリ」。卵を産み付けた後、その実が付いた枝をチョッキリ切って地面に落とすことから、その名がつきました。今回はそんな「ハイイロチョッキリ」の様子を撮影した映像をご覧いただきます。
ハローウッズの森には、コナラやクヌギなどドングリが生る木がたくさんあります。夏の終わりから秋にかけて、コナラやクヌギの森では、まだ緑色の若いドングリがついたままの枝がポタリと落ちる奇妙な光景を、森のあっちこっちで見かけます。熟した実が地面に落ちるのではなく、葉っぱや実のついた枝が丸ごとポタリと落ちる不思議な現象です。
さらに不思議なことに、この落ちた枝を拾ってよく見てみると、枝についたドングリの実のうち必ず一つには、小さな穴が開いているのが分かります。そこで、何の穴なのか調べるためにドングリの実をナイフで二つに切って割ってみると、実の中には小さな小さな卵が入っています。実はこれ、ハイイロチョッキリという虫の卵です。ハイイロチョッキリがドングリの実に穴を開けて中に卵を産み付け、その実がついた枝を切り落としていたのです。
ハイイロチョッキリの大きさは7~9mmほど。九州から本州のコナラやクヌギなどの広葉樹林でよく見ることができる昆虫です。8~9月の産卵期になると、ドングリに細長い口で穴を開けて中に産卵し、葉の付いた枝ごと切り落とします。卵から生まれた幼虫はドングリの中で実を食べ育ちますが、サナギになる際にドングリから外に出て、土の中に潜ります。そのために親はドングリを地面に落とすと考えられています。
最初に観ていただいた映像は、もともとハイイロチョッキリの産卵シーンを撮影しようとしたものです。しかし穴を開けるまでは順調に進んだものの、結局産卵は行われませんでした。虫の立場からすると、ジッと見られてるのが居心地悪くなったのかもしれません。虫に悪いことしたなと思いつつも、穴を開けるシーンはしっかり撮れたので、虫に大いに感謝です。今度は虫に気づかれない方法で挑戦したいと思います。