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  • 2022.08.11

いろんなモノに擬態(ぎたい)するナナフシなどの虫たちのなぜ?なに? 編

いろんなモノに擬態(ぎたい)する
ナナフシなどの虫たちのなぜ?なに? 編

暑い日が続いてますが、みなさんバテてないですか? 夏から秋にかけて、虫たちは活発に動き回ります。私たちにとっては、いろんな虫に出会えるチャンスの多い季節と言えます。でも、いざ虫たちを探そうとすると、なかなか見つからなかったりするのはなぜでしょう? それは、虫たちが他の生きものや植物などに「擬態」していることが多いから。今回は、そんな虫たちの擬態についてご紹介します。

奥山 英治
ハローウッズ
キャスト奥山 英治

自分を他の生きものや植物に見せかける擬態(ぎたい)

動物や昆虫、魚などの中には、他の生きものから捕食されるのを防いだり、また逆に他の生きものを捕食しやすくするために、自分の身体の色や形を周囲の植物や他の生きものなどに似せて、存在を分かりにくくしているモノがいます。このように、生きものが自分を他のモノに似せることを「擬態」と言います。

●木の枝に擬態する「ナナフシ」
たとえば昆虫の場合、昆虫を捕食する鳥類やカエル、他の肉食昆虫に見つかって捕食されないよう、植物に擬態して自分の存在を消すものがいます。中でも有名なのは「ナナフシ」で、細長い身体に細長い6本の足がついている様子は「木の枝」そのもの。木の上でじっと動かないでいると、そこに虫がいるとは絶対分からないので、「忍者虫」とも言われているくらいです。
●落ち葉に擬態するガの一種「ムラサキシャチホコ」
ガの仲間には、翅(はね)を落ち葉に似せて擬態している種類がいます。木の枝にとまれば枯れた葉っぱに、地面にとまれば落ち葉に紛れて身を守るというわけです。中でもムラサキシャチホコは秀逸で、これぞトリックアート! 一見、丸まった落ち葉に見えますが、本当は丸まってないんです。平面な翅にあたかも丸まったような模様が描かれて、立体的な枯葉を作り出しています。

こんなガが森の地面の落ち葉に紛れていたら、絶対見つかりません。ちなみに落ち葉に紛れた写真を載せておきますが、どこにいるか分かりますか?

●強いハチに擬態する「ハエ・アブ・ガ・カミキリ」
植物ではなく、強い生きものに擬態して他の生きものが近寄ってこないように擬態するものもいます。ハチの仲間は昆虫の中では攻撃的な種類で、人も怖がって近づかないぐらい他の生きものに嫌われていますが、そんなハチに擬態する昆虫も少なくありません。スズメバチやアシナガバチなど肉食のハチの特徴である黄色と黒の縞模様でハチに擬態し、他の生きものに「あれは危険なハチだから近づくな」と思わせるのです。

擬態するガやチョウの仲間たち

ガやチョウは、擬態する種類が多い昆虫です。それは成虫だけでなく幼虫のときも同じで、いろいろと工夫を凝らしてさまざまなモノに擬態する様子を見ることができます。

●大きな生きものの眼に擬態する「ガ」
ガの仲間には、眼の模様を翅に持ち、大きな生きものの眼をアピールするものもいます。この眼の模様をガの天敵である鳥たちが見ると、そこに大きな生きものがいるように見えて、怖がって近寄ってこないのです。特にシンジュサンは、眼だけでなく鳥の敵である蛇の顔そのものを翅の模様で再現することで、鳥の攻撃を防いでいます。
●植物の花に擬態する「ウラギンシジミの幼虫」
ウラギンシジミは本州以南に分布するチョウで、幼虫のときにはクズという植物の花を食べて成長していくのですが、幼虫はその花に擬態しています。花の色が忠実に体の模様になっていて、これもちょっと見ただけでは花と区別がつきません。
●花や蕾、葉を身体に着けて擬態する「クロモンアオシャク」の幼虫
クロモンアオシャクというチョウは、幼虫のときに面白い擬態をすることで有名です。黒っぽい身体で表面にトゲのような突起を何本も持っており、そこに花や蕾、葉を付けて植物に成りすますのです。
●鳥のフンに擬態する「クワコ」の幼虫
これまでご紹介したガやチョウの仲間はもちろん、カブトムシやクワガタムシなども含めて、多くの昆虫の幼虫はイモムシの姿をしています。しかし、この幼虫の段階でイモムシではなく他のモノの姿に擬態するものもいます。「クワコ」というガの幼虫もその一種。なんと鳥のフンに擬態して自分の身を守っています。

擬態するクモの仲間たち

クモの仲間の中にも、他のモノに擬態する種類が多く見られます。ここでは特徴的な2種類のクモの擬態をご紹介します。

●アリに擬態する「アリグモ」
「アリグモ」は、ハエトリグモ科アリグモ属に属するクモの総称です。名前の通り、アリに擬態しており、見た目も行動もアリにそっくり。たとえばクモの足は8本でアリの足は6本ですが、アリグモは前2本の足を持ち上げて触角のように動かしながら行動するので、まるでアリが動いているようにしか見えません。
●ゴミに擬態する「ゴミグモ」
ゴミグモは人家の周辺でもよく見ることができるクモで、その特徴は自分で張った網に自分の姿を隠すようにゴミをつるすこと。網の中央の縦糸に沿って、食べかすなどのゴミを集めて太い帯(隠れ帯)を作り、その中央に身を潜めるのです。だから一見しただけでは、どこにクモがいるのか分かりません。網に獲物がかかると、隠れ帯から出てきて獲物を捕らえます。

いかがだったでしょうか? 自然界で生きていくのは大変なんだということがよく分かりますね。しかしここで紹介した擬態は、ほんの一部にすぎません。今回は昆虫が中心でしたが、魚や植物・爬虫類・動物など地球上に生きている生きもので擬態しているものはたくさんいます。なぜ?なに?などと考えながら、擬態している生きものを自分で探してみると、より楽しい自然観察になるでしょう。ぜひ外に出て自然界で探してみてください。

モビリティリゾートもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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夜の森観察~秋の虫の音演奏会~

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