こんにちは。春になり気温が上がると、あちらこちらで生きものの気配を感じるようになります。森の中も歩きやすくなり、生きもの観察にもピッタリの季節です。そんな中、質問されることが増えるのがトカゲとカナヘビの違いについて。トカゲとカナヘビは一見すると似ているため、混同されていることもしばしば。これまでトカゲだと思って見ていたのも、じつはカナヘビだったかもしれません。そこで今回は、これからの時期に質問されることが多い「トカゲ・カナヘビ」問題について紹介します。
突然ですが、皆さんはビーフシチュー、ハヤシライス、ボルシチの違いをご存知ですか? 料理に詳しい方なら説明できるかもしれませんが、ごく普通の方がそれぞれの違いを説明するのは難しいと思います。暮らしに身近な存在でも、いざその違いを問われると区別が曖昧になっているものは少なくないと思います。
これは生きものにおいても同様で、見慣れているはずの種類でもその違いはあまり認識されていません。その代表的な例がトカゲとカナヘビです。森のガイドの最中、カナヘビの解説をすると多くの場合「トカゲとはどこが違うんですか?」という質問を受けます。展示しているカナヘビを指さして「これはカナヘビですか?トカゲですか?」と質問されることも日常茶飯事。そもそもトカゲとカナヘビが別物だということを知らない方もいらっしゃいますし、知っていてもその違いを分かっている方は少ないようです。
それに加えてトカゲとカナヘビになんとなく姿が似ているヤモリとイモリが混同されている場合もあり、この4種類の違いを答えられるかどうかが、ハローウッズのスタッフとしての必須スキルと言えます。
トカゲとカナヘビの違いを紹介する前に、基本についておさらいです。そもそも、トカゲとカナヘビは「爬虫類」のなかまです。そんな爬虫類の中でも最大の種数を誇るのが有鱗目(ゆうりんもく)というグループで、有鱗目で足(四肢)があるものを一般的にトカゲ類、足がないものをヘビ類として区別します。トカゲ、カナヘビはいずれも爬虫類→有鱗目→トカゲ類にグループ分けされます。(※トカゲ類のなかには足が退化した種類もいます。)
では、トカゲとカナヘビの違いについてです。まず本州には「ニホントカゲ」と「ニホンカナヘビ」というトカゲ、カナヘビが棲んでいます。そのため「トカゲとカナヘビの違いは?」と聞かれた場合、この2種類の違いを指すことがほとんどです。なので、ここでもニホントカゲとニホンカナヘビの違いについて紹介していきます。
また、トカゲの幼体は尻尾の先が青色をしているので、尻尾が青ければニホントカゲだと思って間違いありません。ただし、トカゲやカナヘビは外敵に襲われたときなどピンチになると尻尾を自切(自分で切り離すこと)して逃げる習性があるため、自切直後だと尻尾がほとんどなく、長さも色もわかりにくくなります。
トカゲ、カナヘビと間違われがちなのがヤモリとイモリです。体つきなど雰囲気が似ている部分もありますが、特徴を覚えてしまえば区別はそこまで難しくありません。
まずヤモリ、なんといっても最大の特徴はプロクライマー顔負けのクライミング能力です。吸着性抜群の足指を利用して、岩盤や建屋の壁、ときには窓ガラスなんかも自由に昇り降りします。地上で活動するトカゲやカナヘビの指には目立った爪がありますが、ヤモリの指には爪がほとんどなく、少しふくらみがあります。また、体に模様がほとんどないのも特徴です。「壁を登っている」「指が少しふくらんでいる」「体に模様がない」ならヤモリでしょう。
これまで紹介してきた3種類はいずれも爬虫類ですが、イモリだけは両生類(カエル・サンショウウオのなかま)です。なので基本的には水中で生活しており、陸上で見つかることはほとんどありません。体に鱗はなく、体はざらざらしています。「水中で生活」「鱗がない」のがイモリの特徴です。
今回は、トカゲとカナヘビ、ヤモリやイモリについて、見分け方法をいくつか紹介しました。文章や写真を見るだけでは、なかなか自信が持てないと思いますが、あとは実際に探してよく観察してみてください。ビーフシチューやハヤシライスを区別するにはレシピを知っていないといけないように、それぞれの特徴をしっかり覚えて、本物をたくさん見れば、きっと簡単に見分けられるようになるはずです。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
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