クヌギ、コナラ、スギ、ヒノキ、サクラ。日本の里山には様々な種類の木々が生えてますが、それらの木は自生してそこに生えたものばかりではなく、人々が植えた木も多いのです。人々は木の性質を利用して道具を作ったり、燃料として活用してきました。そこで今回は、木々が持つ性質と、その使い道について見ていきましょう。
上の写真は、木々の葉が青々と茂る暖かい季節にハローウッズの森を撮影したものです。この森のように、間伐や下草刈りがちゃんと行われ、手入れが行き届いた森を「里山」と呼びます。では、人々はなぜ森の手入れを行ってきたのでしょう? それは、森の恵みを暮らしの中で活用するため。だから人々は、暮らしの中で利用できる木を里山に植えてきました。
里山にはどんな木が多いのかは、身の回りにある木で出来ているモノを調べると分かります。木はそれぞれで性質が異なり、どんなモノを作るか、何に使うかによって向いている木が異なるのです。ここでは、里山で良く見ることができる木をいくつか取り上げて、それらがどんな性質を持って何に向いているのかを説明していきましょう。
クヌギは里山の木の中では代表とされる木です。カブトムシやクワガタはクヌギの樹液に好んで集まるので、虫好きの子供たちに良く知られています。火持ちがいいので、昔から薪や炭の材料として重宝されてきました。現在の日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、電気やガスのない時代には燃料として大変役に立っていた木なのです。また、シイタケ栽培用の原木に使われたりもします。
春になると美しい花を咲かせて人々の心を和ませるサクラ。でもサクラの良さは花の美しさだけではありません。木材として耐久性が高く・硬く・加工しやすいので、器や道具の材料として良く利用されており、色や見栄えの良さから楽器などにも使われます。樹皮は色や模様に個性があって美しいので細工物に使われます。また燃やすと匂いがいいので、燻製の香りづけ用スモークチップなどにも良く利用されています。
日本原産の常緑針葉樹としてお馴染みのスギの木。どの季節にも青々と葉を茂らせ、真っすぐに立った姿は見る人に荘厳な印象を与えます。育ちが早く真っ直ぐに伸びるほか、柔らかく他の木よりもはるかに早く乾燥するなどの特徴を持ち、様々な建築材としても使われてきました。近年はスギ花粉によるアレルギーが問題になっていますが、人の生活には欠かせない木の一つです。
スギと同様、建材として使われてきたヒノキ。スギより成長が遅く、硬い性質を持ちます。容易に加工できて歪や変形が少ないヒノキは古来から建材として使われており、法隆寺や東大寺など著名な寺院、神社の多くはヒノキで作られています。現代では、強い香りを長期間に渡って発し、防虫効果もあることから、人と直接触れる椅子やテーブル、台所用品、木のおもちゃやお風呂などに使われることが多くなっています。
森に生える木には様々な種類があり、それぞれが異なる性質を持ちます。日本人は昔からそれぞれその性質をうまく利用し、暮らしの中に役立ててきました。これは木を育てる森と人が一体になって行ってきたことなのですが、近年は外国から安く木が手に入ったり、木に変わる人工的な素材が作られたりして、木の需要が減ってきています。その結果、木を育てる人が減り、放置された山が増えて、かつての美しく生命にあふれた里山の姿が減ってきているのです。
ハローウッズでは、森の中を散策しながら、昔ながらの里山を垣間見ることが出来ますので、是非お越しください。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、みなさんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへキャストと一緒にハローウッズの森へ出かけよう! 季節ごと、日ごとに変化するハローウッズの森。見つけた生きものをじっくり観察したり、手にとって触ってみたり、そこには不思議や発見があふれています。
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