梅雨入りも近づいて雨の日が増えるこれからは、雨の日に活発に動くカタツムリを捕まえて観察するには絶好の季節です。カタツムリは歩くのが遅くてのんびりとした雰囲気ですが、実はものすごい特技をいくつも持っているんです。今回は、そんなカタツムリの驚きの生態をお伝えしたいと思います。
カタツムリは、梅雨の時期の写真やイラストとしてアジサイと一緒に写っていたり描かれていることが多いですよね。でも実際はアジサイの近くに特に多くいるわけではないんです。カタツムリが活発に動く時期とアジサイの花が咲く時期が重なることから、カタツムリ=アジサイというイメージが出来上がっただけなのかもしれません。
では、カタツムリがどのような生き物なのか。詳しく見てみましょう。
カタツムリって昆虫?それとも貝?
正解は、サザエなど海に住んでいる貝と同じ仲間です。しかし海に住む貝はエラで呼吸をするのに対して、陸に住むカタツムリは肺で呼吸をしています。そして頭の先には“大触角”があり、その先に目がついてます。でもこの目は明るさを感じる程度で、人間の目のようにハッキリと物が見えているわけではありません。だから指を近づけても気がつかなくて、ちょんと触ると慌てて引っ込めるんです。
また口元には小さな“小触角”があって、この部分は味覚や匂いなどを感じ取っています。小触角の間には下向きに口がついていて、細かい歯がたくさん並んでいます。カタツムリはこの歯で葉っぱや野菜、コケ、そして殻のもととなるカルシウムを摂取するためにコンクリートまで!ガリガリとヤスリで削るようにして食べているのです。
カタツムリが背中に殻があるのは、身を守るためです。
外敵に襲われたときに殻の中にサッと逃げ込むだけでなく、閉じこもることで湿っている体を乾燥から守ることができるんです。
また暑かったり寒かったりするときには、殻の中に潜り込んで分泌液で蓋をしてしまいます。こうして気温の変化にも耐えるのですが、特に寒さには強いと言われていて、蓋をしたまま冬眠して冬を乗り越えることができます。
背負っている殻に隠れることができるカタツムリですが、それでも自然界には天敵が多く存在します。マイマイカブリのようにカタツムリを専門に襲う虫もいて、そのほかにも鳥や動物などいろいろな生き物に狙われています。
動きの遅いカタツムリは多くの生き物から狙われてしまいますが、こうしてエサになることによって、多くの生き物たちの命を支えてもいるのです。
なんと、カタツムリにはオスとメスの区別がありません。これを“雌雄同体”といい、カタツムリは同じ種類の大人になった個体が、生殖器をお互いに受け入れ、両方が卵を産むんです。
移動能力が低く、オスとメスが出会う確率も低いカタツムリは、オス・メスがない雌雄同体となって、お互いに卵を産むことができるという技を獲得したのです。
カタツムリは、卵を土の中に産みます。卵からかえった子どもは最初から殻を持っていて、成長とともに殻を継ぎ足すようにして大きくしていきます。その寿命は種類で違いがあり、1年のものもいれば4~5年も生きるものもいます。
みなさんに見てもらいたいカタツムリの最大の特技、それは歩行です。歩くスピードが遅いからといって、侮ってはいけません。
カタツムリの足は“腹足”といい、体のお腹側全体が足の役割をしています。腹足は骨のない筋肉で出来ていて、形を自由に変えることができるんです。
カタツムリはこの腹足を波打つように後ろから前に動かして歩きます。これは “進行波”と呼ばれる歩き方で、ガムテープなど粘着材が塗られたベトベトの所も平気で歩いてしまいます。また腹足は接地面も広いので、濡れて滑る場所でも、ゴツゴツした岩の上などでも、バランスを崩さずに歩くことができます。
さらに、細い糸や薄いカッターナイフの刃の上だって、へっちゃらです。腹足の形を自在に変えて糸や刃を包み込みむようにしながら、進行波で歩くことができるんです。
カタツムリの特技、実際に見てみたいと思いませんでしたか?
カタツムリは、都市開発などによって住める場所と産卵場所が減り、個体数も減っています。しかしこれからの時期は、雨上がりに公園のトイレの壁などで簡単に見つけることができるかもしれませんよ。ジメジメした場所や、落ち葉がたくさんあるような場所、コンクリートの壁などを探すのがポイントです。
カタツムリは、見つけてしまえば小さなお子さんでも捕まえることができるし、特別な道具は必要ありません。進行波も腹足も家にあるものを使って、家の中で観察することができます。雨で外遊びができない日には、みなさんも魅力いっぱいのカタツムリを観察してみませんか?
●自然の生き物を触った後は、必ず石鹸でよく手を洗いましょう。
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