ハローウッズにあるハッチョウトンボの棚田では一斉に代掻き(しろかき)が行われ、本格的に田植えの準備が始まっています。これをきっかけに、田んぼの生き物たちも待ってました!とばかりに次々と姿を現します。その中から、今回はハッチョウトンボの棚田でもよく見かけるシュレーゲルアオガエルを観察してみましょう。
代掻きは冬の間に寝かせていた田んぼの土に水を入れてかき混ぜ、土を活性化させる作業です。こうして田んぼに水が入ると、さまざまな生き物が現れます。春の田んぼは賑やかで、見ていてとても楽しいですよ。
田んぼに水が入ってしばらくすると、水際で白い泡の塊を見つけることができます。注意して見てみれば、畦(土手の部分)の至る所で発見できるはずです。
しかしこの不思議な泡の塊、一体何だと思いますか?
泡の塊の正体は、シュレーゲルアオガエルの卵です。
シュレーゲルアオガエルは、黄緑色のとてもスマートなカエルです。オスは「コロロ~ン、コロロ~ン」と綺麗な声で鳴き、夜になって鳴き声に引き寄せられたメスとカップルが成立すると、田んぼの畦などで泡の塊のような卵を産みます。
しかし、もし日中に「コロロ~ン、コロロ~ン」と鳴き声が聞こえても、シュレーゲルアオガエルの姿はなかなか見つけることができません。
そんな時は鳴き声がした辺りで畦の土を優しく掘り返してみましょう。このカエルはとても恥ずかしがり屋なので、土の中に隠れて鳴いていることも多いのです。
こうしてめでたくカップルになったシュレーゲルアオガエルは、地上と水との境目で卵を産みます。そしてこの泡の塊の中でオタマジャクシが生まれ、雨が降ったときなどに、崩れる泡と一緒に田んぼに落ちていきます。
このようにシュレーゲルアオガエルが水の中ではなく地上で卵を産むのは、水中の外敵から卵を守るためです。
また畦ではなく水辺にある木の枝などに泡の塊を見つけたら、それはモリアオガエルの卵です。モリアオガエルが木の枝に卵を産むのもやはり、水中の外敵から守るためと言われています。
カエルが産卵する時期や場所は種類によって様々ですが、産卵に適した湿地などが少なくなった影響から、その多くは人間がつくった田んぼを産卵場所として利用しています。
人間と自然が共生する里山の田んぼは、カエルたちにとって命を育む大切な場所です。しかし同時に、他の生き物たちにとってはカエルというエサを捕らえる大事なエサ場にもなっています。
カエルの卵やオタマジャクシはアカハライモリなどが狙っているだけでなく、成長したカエルをタガメや鳥が狙い、夜には蛇も現れます。
カエルが他の生き物に食べられてしまうシーンは少し可哀そうですが、カエルは他の生き物たちのエサとなることで、多くの命を支えています。
田んぼではお馴染みのシュレーゲルアオガエルですが、今回はその珍しいシーンや面白い生態を見つけることができたのでご紹介します。
こんなにかわいいシュレーゲルアオガエルたちと出会いに、みなさんも田んぼに遊びに行ってみませんか?
ハローウッズでは春の田んぼで様々な生き物と触れ合える「生き物探検隊 ~里山のカエル編~」を今年も開催しますので、是非ご参加ください。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへハッチョウトンボの棚田には、里山の生きものたちがたくさん隠れているよ。探して見つけて、自分の手でつかまえてみよう!ゆったりお昼ご飯を食べたあとは、カエルの体や卵の中がどうなっているのか顕微鏡でじっくり観察します。
募集締め切り:2019年5月19日(日)
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