戦後間もなく、日本は食糧難のためにアメリカからウシガエル(食用ガエル)をもらい受け、そのエサとしてアメリカザリガニも日本に入ってきました。しかしウシガエルは日本の田んぼでどんどん増えて、今ではすっかり日本中で見られるように。今回はそんな田んぼで暮らすカエルたちのなぜ? なに?をご紹介します。
ウシガエルは池や沼に住み、水場があれば田んぼにも現れます。名前の通り牛のような声で鳴き、田舎の田んぼに行けばウシガエルの大合唱で騒音の被害も出ているほど。でも一番厄介なのは何でも食べてしまう大食漢だということで、在来の日本のカエルたちも食べてしまう、日本の自然界を脅かす存在になってしまっているんです。
里山の田んぼ周辺に住む日本固有のカエルは約7種類(ヤマアカガエル・ニホンアカガエル・シュレーゲルアオガエル・トウキョウダルマガエル・ツチガエル・ニホンアマガエル・ヌマガエル)。これらのカエルは水場に産卵しますが、ほとんどはその水場に田んぼを利用しています。元々は湿地などで産卵していましたが、現在そういった場所が少なくなり、田んぼを選ぶようになったと思われます。
多くのカエルが田んぼを利用すると、ものすごい数のオタマジャクシが田んぼの中で暮らし、争うように育つ様子を想像してしまいます。ところが面白いことに、誰が決めたのか、カエルは種類によって産卵の時期をずらして田んぼで育っているんです。まだ寒い2月にヤマアカガエル・ニホンアカガエルが産卵し、田植えの頃になるとシュレーゲルアオガエル、そのあとダルマガエルやアマガエル。これは同じ田んぼでもたくさんの種類のオタマジャクシが争わないようにしているとしか思えない、とても不思議で面白い現象です。
そもそも里山でのカエルは、いろんな生き物のエサとして貢献しており、カエルがいないと生き物の少ない里山になってしまいます。カエルはものすごくたくさんの卵を産みますが、それはまるで食べられてしまうことを想定して産んでいる感じがします。
カエルによって鳴きかた、鳴き声は様々。アマガエルは喉のところを膨らませ鳴きます。ダルマガエルはほっぺたを左右膨らませ鳴きます。また、ヒキガエルは膨らませずに喉を鳴らすように「クックックッ」と、喉を鳴らす感じで鳴きます。
普通、生き物が脱皮するときは大きくなるために古い皮を脱ぐのですが、カエルは古くなった皮膚を脱ぎ捨てる感じで脱皮します。カエルは自分の体を守るために皮膚に毒を持っており、それを新しくするためと考えられています。カエルに触った時は手を必ず洗いましょう。
ニホンアマガエルやシュレーゲルアオガエルは、指先が吸盤のような形をしているうえに、お腹も使ってツルツルの壁に張り付くことができます。
カエルは水の中で産卵し、赤ちゃんが育つ環境も水の中なのですが、大人のカエルに育つと陸に上がり、陸で生活するものが多いのです。
ニホンアマガエルは気圧を読むことができ、雨の降る直前などに鳴き声を出す、と言われています。
カエルには、寝るときに目をつぶるための上から下に降りるまぶたと、水に入るときに目を保護するために下から上に上がる瞬膜とがあります。この瞬膜は透明なので、閉じても見えているのです。
カエルがエサを捕まえるときは、長い舌を伸ばして虫などを捕まえます。舌の先に粘り気があるので、エサを舌にくっつける感じで口へ運びます。
みなさん、「カエルのなぜ?なに?」いかがでしたか? 少しはカエルに興味を持っていただけましたか? 森や田んぼに行かなくても、都会の中の公園やちょっとした植え込みなどにカエルは潜んでいます。今度ぜひ、お散歩の途中にカエルを探してみてくださいね。