こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。毎年10月31日はハロウィンの日です。この日にはカボチャをくりぬいてジャックオーランタンをつくって飾るのが定番ですが、今回はもっと簡単な、小さなお子さんでもできる「カラスウリ」の実を使った飾り物をご紹介します。
夏の暑さも和らぎ、朝夕涼しくなってきました。高山では紅葉も始まり短い秋の訪れです。
里山では、栗の実が落ち始め林道や山道では栗のイガが道に散らばった光景を目にするようになってきました。
この時期になると、山道や林道沿いに並ぶ木々に絡まる蔓性植物が目につき始めます。クズ・アレチウリ・ヤマノイモ・ヘクソカズラなど、様々な蔓草が花や実をつけています。
中でも私が非常に気になる蔓は、カラスウリ。なぜ気になるのかというと、この時期になるとどこのお店もハロウィンの飾りをつけ始めるからです。カラスウリの実はオレンジ色や赤色で道脇にたくさんぶら下がっているので、これをカボチャ代わりに使えば野遊び的に楽しく飾りがつくれるし、何より小さなお子さんも一緒に楽しめるなーと考えていたからです。
カラスウリは北海道から九州に幅広く自生し、里山の山道脇などでよく見られます。
カラスウリの実は、熟すと真っ赤な色になりますので、遠目でも見つけるのは簡単です。
カラスウリはウリ科の蔓性植物で、夏の暑い時期にレースのようなとても神秘的な花を咲かせます。しかも咲くのは夜だけで、夕方から咲き始めて朝にはしぼみます。夜に目立つ花を咲かせるのは、スズメガなど夜行性の虫に蜜を吸わせて花粉を運んでもらうためだと言われています。
真夏の夜に咲くカラスウリの花。甘いにおいのする大きな白い花は、夜でも目立ちます。花びらの先端が糸状に分かれて広がっている不思議な形です。
カラスウリには雄株・雌株があり、雌株に実がつきます。実の大きさは4~6cmほどで、最初は黄緑色でスイカのような縦縞があり、その後熟れてくるとオレンジ色から赤色に変わっていきます。そして実を割ってみると、中には不思議な形の種が数十粒入っています。
カラスウリの種は縁起物として知られています。それは、この種が「打ちでの小槌(こづち)」や「大黒様の顔」に似ているため、お金を呼ぶと言われているから。そのため、この種をお財布の中に入れる人もいるほどです。
カラスウリの実は最初の成り始めは黄緑色~緑色です。
秋になるにつれて、緑色がオレンジ色へと変化していきます。
そして最後は赤色へと変わります。
実の大きさはこれくらい。大人の手のひらにすっぽり入る大きさです。
こちらは「スズメウリ」。カラスウリより小さい1~2cmの実がつき、熟すと白くなります。
こちらは「キカラスウリ」。実は丸く、7~9cmとカラスウリよりやや大きい実をつけます。
ようやくここから本題です。今回はこのカラスウリでハロウィンの飾りをつくりました。
里山の道端に生えているカラスウリを、実の成った蔓ごと切って持って帰り、実にマジックで目・鼻・口を書いたら、蔓ごと玄関や窓に吊るせば完成です。これならカボチャを使わなくてもたくさんつくることができるので、子供の遊びにもってこいなのです。
実を割ってみると、中身はこんな感じです。
これがカラスウリの種です。左右に眼がぎょろりと出た虫の頭にも見えますね。
大人がつくるのであれば、中をくり抜いてロウソクを入れてジャックオーランタンをつくることもできます。森や里山を散歩しながらカラスウリを探して、ぜひつくって遊んでみてください。
出来上がった飾りは、このように玄関や窓に吊るして飾ってください。