こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。味覚の秋到来! 里山では、キノコや木の実がピークを迎える季節です。特に木の実は目につきやすくて見つけやすいので、木の実拾いは野遊びとして最高に楽しい遊びと言えます。そこで今回は、秋の木の実の代表「栗」を集めてジャムづくりに挑戦です。
秋の里山や森で見かける木の実には、マタタビ・アケビ・サルナシ・クルミ・シイなど食べられるものも多いので、昔の子どもたちにとって木の実拾いは、秋の遊びの中でも最上級の楽しみだったのです。まずはこれら秋の代表的な木の実をいくつかご紹介しましょう。
●マタタビ
ネコに与えると興奮することで有名なマタタビですが、マタタビの実にはドングリ型と虫コブ型の2種類があります。正常な実はドングリ型で、花の開花時期にマタタビアブラムシが寄生した実は虫コブ型になります。虫コブ型の実は正常な実や葉、茎にくらべてマタタビ酸の成分が空気中に逃げる量が少なく、これを果実酒にしたものは「マタタビ酒」と呼ばれて重宝されます。また正常な実は、そのままでは苦みがあるので塩漬けにして食べることが多いです。
ちなみに近年の研究によると、ネコがマタタビを体にこすり付けるのは、マタタビに含まれるネペタラクトールという成分が蚊よけになるからだと分かったそうです。
●アケビ
緑色の実が熟すとだんだん紫色になり、最後にはぱっくりと割れてきます。中身は白いゼリー状になっていて、酸味は少なくほんのり甘味があるのでそのまま食べることができます。ただ、種が多いので食べにくいと感じる人も多いようです。ちなみに皮は、水につけてしっかりアクを抜いてから天ぷらや炒め物、きんぴらにして食べることができます。
●サルナシ
つる植物で、果実はコクワとも呼ばれます。キウイフルーツを小さくしたような見た目で、山の木の実では一番おいしいと言われるほど。ミニキウイ、ベビーキウイという名前のフルーツとしてスーパーなどで流通しています。
●オニグルミ
日本の山や森に野生で生えているオニグルミ。食用に市販されているペルシャグルミなどにくらべて実は小さめで、殻が厚く堅いのであまり食べやすいとは言えません。ただタンニンが少ないため渋みが無く、濃厚でクリーミーな味だと言われます。
それでは今回の遊び、山で採ってきたヤマグリでジャム作りです。ヤマグリはスーパーなどに並ぶ栽培された栗とは違い、とても小さく甘みのある栗で、生食でも美味しく食べられるくらいですが、それだけにジャムにすると美味しさも格別です。
ヤマグリは、里山に行けば山の中に入らなくても道端にもイガが落ちているので、比較的簡単に見つけられます。イガが刺さらないよう軍手やグローブをして採取し、またカゴなどを用意してできるだけたくさん採るといいでしょう。
ヤマグリを採ってきたら、下ごしらえをするためにまずはイガをむいたクリの実をボウルに入れます。
ヤマグリを入れたボウルに水を張って、半日から1日浸けます。固い皮を柔らかくしてむきやすくするためです。このとき、中身が無い実は浮きあがるので、取り除きます。
水から上げた実をペーパータオルなどで水気を拭き取り、包丁で実に切れ目を入れます。その後、オーブンレンジで200度設定で30分ほど焼きます。
焼いた実を包丁で半分に切り、小さなスプーンなどを使って中身をほじり出します。
ほじり出した実の2分の1の量の砂糖と、ほぼ同量の水を用意します。甘めのジャムにしたい場合は砂糖の量を増やします。
材料をすべて入れて、焦げないように弱めの火でコトコト鍋にかけます。途中味を見て、甘さが足りなければ砂糖を足しながら、水分が無くなりトロトロになったら完成です。
家族みんなで山へクリ拾いに出かけ、拾ったクリでジャムづくり。そして出来上がったジャムをパンに塗って食べたり、スイーツのトッピングにしてみたりと、楽しみ方はいろいろです。ぜひチャレンジしてみてください。
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