こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。晴れた日は上着がいらない陽気になってきました。田んぼの水路や池では、越冬していた生きものが目覚めて食べ物を求めて活発に動き出します。そこで今回は、普段は見つけるのが難しいゲンゴロウの仲間を罠で捕まえてみましょう。
ゲンゴロウは、かつて北海道から九州の池や沼、田んぼなど広い地域で見ることができた日本の水田の昆虫の代表格です。ゲンゴロウ類に属する約140種類を総称して「ゲンゴロウ」と呼ぶ場合と、その中のナミゲンゴロウ(オオゲンゴロウ)1種を指す場合があります。ナミゲンゴロウの成虫は体長40mmを超えるものもあり、日本最大の水中昆虫です。
ゲンゴロウの寿命は2~3年程度と比較的長く、成虫の姿で冬を越します。しかし詳しい越冬の生態は分かっておらず、水中の泥の中などで冬眠すると言われたり、活動が鈍るが冬眠状態にならずに冬を越すと言われたりしています。
いずれにしても、暖かくなるとゲンゴロウは本来の元気を取り戻し、活発に活動するようになります。ゲンゴロウは肉食昆虫なので、トンボの幼虫などの小さな昆虫や、場合によってはメダカやオタマジャクシを捕まえて食べますから、そうした性質を利用してゲンゴロウを捕まえることができます。
ゲンゴロウは匂いに敏感で、エサになる生きものの匂いを感じ取ると素早く近寄ってきます。この習性を利用してゲンゴロウを捕まえる罠をつくりますが、今回仕掛けに使うのはペットボトルです。実はペットボトルからは、いろんな生きものを捕まえる仕掛けを作ることができますが、今回作るのはゲンゴロウ捕り専用の罠です。早速チャレンジしてみましょう!
ペットボトル・ハサミ・カッターナイフ・ペンチ・木ネジ・マジックペン・タコ糸。
たくさん罠を仕掛ければ捕れる確率が上がるので、ペットボトルは複数用意。
ペットボトルにゲンゴロウの入る穴を下書きします。4~5cm×1cmの長方形を、写真のように底から2~3cm上の場所に斜めにマジックペンで数カ所書いていきます。
ペットボトルの底に、罠がスムーズに水に沈むように開ける穴を、マジックペンで印をつけていきます。
マジックで書いたラインを、カッターナイフで切り取ります。やりにくい時は、カッターで切り口を入れた後ハサミで切り取ります。
木ネジをペンチでつかみ、コンロで木ネジをあぶります。
※火を使うので、大人の方と一緒にやりましょう。また、やけどや火事に十分注意してください。
木ネジが赤くなったら、ペットボトルの印をつけたところに刺して熱で穴を開けていきます。
同じ方法で、ペットボトルのフタの中心にも穴を開けます。
フタの穴に、タコ糸1mを通し、フタの裏側にストッパーがわりに小枝や爪楊枝を糸が抜けない様に結びます。
小さく手頃なネットや袋と、イワシやサンマなど匂いの有る魚を用意します。
すり鉢などを利用して魚を潰し、ネットに入れたらエサ袋の準備OK。ネットじゃなく袋の場合は、鉛筆などで袋にたくさん穴を開けておきます。
エサ袋をペットボトルに押し込む様に入れ、タコ糸のついたフタを閉めたら罠の完成です。
罠が完成したら、ゲンゴロウがいそうな池や沼、田んぼの水路などへ出かけます。
罠を仕掛ける場所が決まったら、罠につけたタコ糸を竿や木の枝などに結んで水中に垂らします。この時、ペットボトルはイラストのように縦に4分の1ほど水面から出るようにしましょう。ゲンゴロウが罠に入った際、空気を吸えないと死んでしまうからです。また、ゲンゴロウは夜行性なので、罠は夕方から夜にかけて数時間仕掛けておきます。どんなゲンゴロウに会えるか期待して、いろんな場所で試してみましょう。
※ゲンゴロウは生息数が減少しており、中には絶滅危惧種に指定されている種類もあります。罠で捕まえても、傷つけないように間近で観察したあとは、逃がしてあげるようにしましょう。
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