スマホ/ナビのチェックにもご用心

スマホ/ナビのチェックにもご用心 実はそれ、脇見運転しちゃってますよ!

「脇見運転は危ない」。運転免許を持っている人なら、誰もがわかっていることですが、「わたしたちは運転中に必ず脇見をしている」と聞いたら、意外に思う人も多いのではないでしょうか? 知っているようで知らなかった「脇見」について、安全運転教育のプロに教えていただきました。

 では、ここで皆さんに、意図的に「脇見」をしてもらいます。こちらのストップウォッチを使って、スマホのロック画面を解除し、地図アプリを立ち上げるまでの時間を測ってください。

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inattentive driving

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「そのくらい一瞬」と思ったはずが、結果として数秒経っていませんか? たとえば普段、ナビをチェックする時間はほんの一瞬……と思っていても、実際にチェックにかかっている時間=脇見した時間は、自分が思っている以上に長いものです。さらに「脇見運転は目を閉じて運転しているのと同じことです」と聞いたら、ドキっとする人は多いのではないでしょうか。

 そう教えてくれたのは、企業や一般ユーザーに向けた交通安全教育を実施している『交通教育センターレインボー埼玉』のインストラクター・吉住 信さんです。交通教育センターレインボーでの企業向けの安全運転研修では「脇見の危険性」について講義が行われることもあり、受講者はまず座学にて計測用の資料を使って、自分の脇見時間が何秒くらいかかるかをタイマーで測定します。

交通教育センターレインボー埼玉 インストラクター・吉住 信さん

「地図から目的地を探したり、複数台のクルマの中から目当ての車種を探したり、シチュエーションの異なる複数の資料を用意して、それぞれに脇見時間を計測しますが、通常、人は1秒未満でそこに書かれた文章や写っている形を正確に認識できません。自分では1秒以下の脇見と思っていても、実際は2~4秒かかっていたりする。その秒数の間、目をつぶって運転したら……と考えると、どれだけ危険か想像できますよね? 研修では計測の後、敷地内の直線コースで実際に数秒間、目を閉じて走ってもらうこともあります。これは“危険を安全に体験”できる交通教育センターだから可能なことですが、みなさん、脇見運転が相当怖いことだとよく理解できるようです」

50km/hで走行する場合、1秒間に進む距離は約14m(表1)。通常、人は1秒未満で文章や形状を認識できないため、スマホやナビを確認したり、道路の看板を読むには数秒間が必要となります。例えば4秒間、前方から視線を逸らせば、その間に進む距離は約55m以上になります。

 また、脇見運転というと、運転に集中していない状態と思いがちですが、「脇見」の対象はさまざまです。目指すお店の看板など、道路の外側に設置されているものを見ること。スマホや飲み物など、車内で何か物を探して視線を前方から外すこと。同乗者との会話で相手の顔を見ること。こうした行動のすべてが「脇見」となります。

「運転する人の興味によっても、脇見の対象は変わってきます。例えば電車好きの人なら、通りかかった電車をつい見てしまいますよね? また、視線が道路から逸れるという意味では、道路標識や信号といった走行時に必要な情報を見ることも脇見と言えるんですよ」

 さらには前を向いて道路を見ていても、何か考えごとに夢中になっていたら、それは何も見えていないのと同じこと。

「よく『意識の脇見』と言われますが、結局、人間の注意力の容量は一定で、脳が別のことを考えていたら眼の前の情報が読み取れなくなってしまうのです。例えば運転中の携帯電話での通話も、ハンズフリー通話なら違反行為にあたらないとしても、会話に意識を集中したら道路を見ていないのと同じ、ということを認識する必要はあると思います」

いわゆる一般的な脇見

運転中にナビやスマホを確認したり、沿道のガソリンスタンドやコンビニの標識に目が行くこと、車内でのエアコンやオーディオ機器の操作など、いわゆる「脇見」の対象はさまざま。ふいに現れる絶景、雨上がりに遭遇した虹など、走行中に遭遇するレアな景色につい視線を奪われるのも脇見です。

スマホ/ナビ 沿道の施設
(GS/コンビニ/ファミレス/コインパーキングなど)
エアコンなどの操作 絶景など

これもじつは脇見です

ペットボトルの蓋を開けて飲んだり、何か食べたりする行動も脇見の一種。同乗者との会話や、後部座席に座る子供の声に気を取られるなど、運転以外に注意の方向が向いてしまうのも要注意パターンです。また、たとえ視線は前を見ていても、疲労困憊時や気持ちが上の空の運転では、正確な状況判断が難しくなる「意識の脇見」になってしまいます。

同乗者との会話 車内のものを取り上げる 後席のこどもになにかあった!? 疲労した状態での運転

運転に必要な安全確認=脇見の場合も

目的地や曲がりたい交差点をさがすために道路標識を見ることも、視線が前方から逸れるという意味では脇見の一種。周囲を走行するクルマの状況を把握したり、工事による車線規制の確認、歩行者・電動キックボード・自転車を認識することなどは、安全な走行のために必要な情報収集と言えます。

標識や看板など 周囲を走るクルマ
(大型車が近くにいるなど)
工事 自転車/電動キックボード/歩行者など

 道路から視線や意識を逸らすこと=脇見だとすると、運転中のすべての脇見をゼロにすることはほぼ不可能です。ですが、何か一点だけに集中した運転も、安全運転とはほど遠いもの。脇見を良い方向から捉えれば、運転による事故を減らすために必要な、周囲に目を配る行為とも言えるのです。吉住さんは「だからこそ〝脇見を意識化〟することが大切です」と続けます。

「まず大事なのは、自分が脇見をしながら運転していると認識すること。そして自分がどういうことに関心があって、脇見をしがちなのかを認識することです。バイク好きだからつい目が行ってしまうとか、自分の特性を知ったうえで、自分をコントロールすることが重要なんですよ。そしてもうひとつ大切なのは、自分を俯瞰で見ること。大前提として、ナビゲーションなど運転中に何か見なければいけないものがあるなら、いちばん良いのは、車両を安全な場所に停車して見ることです。ですが実際は、運転中の脇見は避けられない。いま先行車が急停車しても対応できる車間距離があるかなど、自分を客観視したうえで『いま脇見ができる状況か』を判断する広い視野が必要です」

道路交通法では運転者に安全運転の義務が課せられていて、脇見/ながら運転は反則金や罰則の対象となります。

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