福田充徳さんインタビュー

あの人に聞く! クルマ&バイクライフ ライダーであり、ドライバー
そして一児のパパである
福田充徳さんインタビュー

「バイク芸人」としておなじみのチュートリアル福田充徳さん。バイクをはじめ、もちろんクルマの運転もするけれど、その「バイク&クルマ両方の目」で気づくことがあるという。

バイクは趣味のもの
普段はもっぱらクルマです

 「バイク芸人」としてもおなじみのチュートリアル福田さん。そのオートバイ好き熱はものすごく、現在の所有台数は9台! 国産モデルに外国車、大排気量車に小排気量車、ツーリング向きやスポーツラン向き、それにサーキット専用のモデルも数台ある。

 「それでも今は、あんまり街乗りはしていませんね。保管しているバイクのバッテリーが上がらないように、仕事のない時間帯に自宅のまわりを30分とか、ぐるっと走ったりしています。もともとバイクは趣味の乗り物、移動手段には使わない方なので、仕事の移動や家族で出かけるとき、ほとんどクルマです」

 福田さんがバイクに乗り始めたのは高校生時代。最初のバイクはお母様の50ccスクーター、ホンダ・ディオで、後にご自分の愛車も購入。移動手段にはディオを、ツーリングやワインディングを走りに行くときはご自分のバイク、と使い分けていた。だから、どうしてもディオに乗る回数が多かったのだという。

 「自分のバイクは転んで壊してしまったんで、大学生になってもディオでよく走ってまいしたね。大学生になってからはオデッセイを買ったんですが、それでもディオはずっと乗っていたし、近所はディオ、京都の実家から大阪に通ったりするのにオデッセイで……って生活でした。ディオもオデッセイも、壊れないし、よく走る! 芸人になる前くらいまで、すごく思い出に残っていますね。あ! 考えてみたらクルマもバイクも、初めての愛車はホンダなんですね」

 その福田さんが、幼馴染の徳井義実さんと漫才コンビ「チュートリアル」を結成したのが1998年頃。大阪でABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、上方漫才大賞新人賞を獲得し、2006年には漫才師日本一決定戦とよばれる「M1グランプリ」でも優勝。

 「大学の頃には、なんとなくバイクからは離れていたんですが、芸人でご飯を食べられるようになって、久しぶりにビッグバイクを買ったんです。それからですね、またバイク熱がぶり返したのは。M1で優勝した後には上京して、東京で暮らし始めるんですが、しばらくはバイクであちこち走りに行きました。関西の人間にとっては、箱根とか奥多摩なんていう関東のツーリングメッカは憧れの場所でね。仕事が午後からだったら、ヨシ午前中だけ走って帰ってこよう、なんて箱根や奥多摩まで走っていました」

びっくりするほどゆっくり走る
RGツーリングクラブ

 しかし、福田さんはほとんどバイクで街乗りすることはなかった。東京は特にクルマが多くて、仕事の移動もクルマで、たまに友人とツーリングに出かけるくらい。仲のいいレイザーラモンRGさんや徳井さんたちとツーリングクラブを作って、ごくまれに出かけるくらいだという。

 「RGたちと作っているツーリングクラブはあるんですが、これがサッパリ活動してない(笑)。みんなで行くツーリングはびっくりするほど平和ですよ。なんせリーダーのRGがトバすの大嫌いで、高速道路だって100km/h出すのが珍しい(笑)。距離だって片道100kmだと大仕事です。普通のライダーのツーリングなら片道300kmでも400kmでも走るのにね。でもそれでいい、楽しいんだもん」

 若い時には、クルマでもバイクでも、トバすのがカッコイイものだと思っていた、という福田さん。年齢を重ねて、家族もできて、今は自分でもびっくりするくらい安全運転になったそうだ。

 「普段は本当にのんびり走ってます。クルマで移動していると、びゅんびゅん抜かれますよ(笑)。でも、それってバイクでサーキットを走るようになってからかもしれないですね。サーキットを走ってると、コース幅いっぱいを使ってちょっとでも速く、無駄なく走ろうと思うから、一般道は怖くてしょうがない。タクシーもバスも自転車も歩行者もいるコースを走ってるって考えると、自然とのんびり走るようになりました」

バイク乗りの特殊技能
全方位気配り運転

 その福田さん、クルマの運転にちょっとひとクセあるのだという。それが、福田さんがバイク乗りの特殊能力のひとつだという『全方位気配り運転』だ。

 「つい最近も、ロケで相方(徳井さん)を横に乗せてクルマを運転したことがあったんですが、そのとき『オマエ、めっちゃバックミラー見ながら運転するやん』って言われたことがあったんです。自分ではぜんぜん意識してないのに、そう言われてみたら、運転しながらよーくルームミラー、バックミラー見ている。でもこれ、バイクに乗っている人なら分かってくれるんじゃないかなぁ。バイク乗りって、もちろんライディングに集中はしているんですが、四方八方に気を配ってないと、いつ事故に遭うかわからないんですよ」

 事故に遭った時には、クルマとは比べ物にならないくらいダメージが大きいのがバイク側。だから福田さんのように、30年もバイクに乗り続けていると、自然と身につく能力、自己防衛本能なのだ。もちろん、公道で自損事故はあっても、誰かと事故を起こしたことはない。

 「今は移動の8割はクルマ、残りはこどもを保育園に送り迎えする時の自転車か、たまに乗るバイク。だから、ドライバーの視点、自転車の視点、バイクの視点、もちろん歩行者の視点で道路交通を見てますね。これって、交通安全にけっこう重要なことだと思います。クルマに乗っていて、視界にバイクや自転車が入ってくると『あ、前のバイク、次はこう動いてくるかも』なんて思ってその通りになったり、自転車に乗っていて『前のクルマ、こっちに寄って来そうやな』なんて予測して身構えますもん」

混合交通社会を生き抜くために
まわりの動きにいつも気を配ること

 クルマで、バイクで、自転車で街を走っていて、危ないな、と感じることも多いのだという。

 「最近よく思うのは、横断歩道を渡ろうとしている人がいるのに、止まらずにびゅんびゅん行くクルマやバイク(自転車)が、多いですよね。僕がひとりで歩いてるときも、こどもを連れて歩いている時もよく見るし、あれは危ないなぁと思う。もちろん、僕がクルマを運転している側の時は、ちゃんと止まります。あれ、ドライバーは歩行者がいたら止まらなければいけないことをわかっていないんだと思いますね。特にこどもができてからは、運転している時も、歩いている時もこどもの存在は気をつけています。特に今は、こどもらが、いつどこから飛び出してくるかわからんからね、姿を見かけるともう徐行(笑)。うちのこどもにも、とにかくクルマの動きはよく見とけよ、って言ってます。特に今は、こっちに落ち度がなくても事故に巻き込まれちゃうことだってありますもんね」

 仕事の移動はほぼクルマだという福田さん。毎日のようにクルマを走らせているからこそ、気づくことも多いという。特に、最近の都内での交通事情について!

 「同じ場所をクルマとバイクが走っていて、自転車も車道を走らなきゃならないところが増えましたよね。それで最近は、都内ですごく電動キックボードを見かけるでしょう。また道を走る登場人物が増えちゃった(笑)。あのキックボードもまた、違う交通ルールで走っているし、ルールを理解していない人も多いでしょう? さすがにあの乗り物の動きは予測できませんから、近寄らないようにしています(笑)。もうすぐライドシェアという新たな交通手段も始まるんですよね。これも気をつけとかないと、って思います」

 最後に編集部から質問。クルマの運転が上手くなるには、どうしたらいいですか?

 「上手い、上手くないっていうのは、運転技術じゃないと思っています。なにも、ドリフトして曲がり角を曲がれなんて言っているわけじゃないし、僕が思うのは『周りに気を配っているかどうか』だと思うんです。その意味で、バイク乗りの意識でクルマを運転するのって、すごく役に立っていると思う」

 例えば、曲がる直前にウィンカーを出したり、急な車線変更をするクルマがいる。急に車間を詰めてきたり、話題のあおり運転だってそうだ。みんな、まわりの動きを見ていないから、トラブルが起こる。

 「ウィンカーって、どうして存在するのかって考えたら、まわりの人に『このクルマ、今から曲がりますよ』ってアピールするためのものじゃないですか。ヘッドライトつけるのだって、自分の存在をまわりに分からせたいから。だから、運転する側も、まわりのクルマのウィンカーとか走り方を見ておかないと。自分の動きを早めにアピールすること、それに早く気づくように周りに気を配っていること――これこそが、運転が上手い人なんだと思います。信号待ちだからってスマホ見ていちゃだめですよ。もっとまわりを見とかないと」

 お互いの気持ちが分かるように、みんなもっとバイクに乗ったらいいのに、と福田さんは笑う。バイクという乗り物にずっと親しんできた人だけが言える、奥の深い言葉にも聞こえたのだ

CBR650Rと福田充徳さん
撮影にご協力頂いたのは、東京都足立区にある「ホンダドリーム足立」。福田さんは、クラシックタイプやビンテージ風バイクが人気の今でも、フルカウルのスポーツバイク一辺倒。またがっているのはCBR650R。
バイクを真剣に眺める福田充徳さん
店内には現行ラインアップのほとんどが展示されているホンダドリーム店。バイクを見る目も、
「あ、こんないいパーツ付いてるんですね!」と自然とシリアスになる。
「HondaGO BIKE RENTAL」でレンタルできるバイクを見る福田充徳さん
ドリーム店に展開されているレンタルバイク「HondaGO BIKE RENTAL」のコーナーで。
「今は人気のバイク、気になるバイクをレンタルで好きに乗れるんですね。ええシステムやなぁ」
福田充徳さん
福田充徳 ふくだ みつのり さん
1975年8月生まれ 京都府出身
幼馴染の徳井義実さんと、漫才コンビ「チュートリアル」を結成、2023年に結成25周年を迎えた福田さん。バイク芸人の異名をとるほどのバイク好きで、現在ご自宅のマンション駐車場と友人のガレージに、計9台ものバイクを所有している。バイク&クルマ運転歴はともに30年を超え、ふだんは仕事の移動にもっぱらクルマを使用している。2016年に結婚。お子さんは今春に小学校に入学する。
Honda Dream 足立
取材協力店 Honda Dream 足立
東京都足立区の環七通り沿いにショップを構えるホンダドリーム足立。ホンダの現行モデルラインアップの展示車が多数あるほか、レンタルバイク「HondaGO BIKE RENTAL」も取り扱っている。

東京都足立区島根3-3-6
TEL:03-5809-6155
営業時間:10:30〜19:00
定休日:水曜/第3火曜日

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