春の里山、中でもクヌギやコナラの生える日本古来の森の中で、ひときわ目立つ野草と言えばキンランです。ラン科の多年草(複数年に渡って同じ株から花を咲かせる植物)で、背丈は一般的なもので30~50cmほど、発育の良いものになると70cmに達するものもあります。周りの野草から頭一つ抜けてスラっと立っているのに加え、名前の由来となった黄色い鮮やかな花を付けるので、咲いていればすぐ目に入る、比較的見つけやすい野草だと言えます。
キンランが咲く森で、ちょっと遅れて花を開くのがギンランです。目立つキンランに比べ、ギンランは高さ10~30cmと背が低く、周りの野草と同化して生えているように見えます。また、黄色い花びらをいっぱいに開くキンランに対し、ギンランの花は白く淡い色で、しかも花びらをあまり開かないため、どこか儚げに見えます。鮮やかで主張の強いキンランと、淡く控え目なギンラン。この対照的な組み合わせが、永く日本人の心を捉えてきた里山の春の美しさなのです。
とは言え、キンランとギンランが咲いている光景を目にする機会が以前よりずっと少なくなっているのも事実です。芽が出てから一気に葉を出して花を開くためには、早春の時期に十分な太陽の光が得られる環境が必要なのですが、近年は放置されて手入れされなくなった里山が増えたため太陽の光が地面に届かず、キンランやギンランが生息できる環境が激減しています。
また、キンラン・ギンランは人工栽培が極めて難しいことでも知られています。自宅の庭や畑などで育てようとしても、なかなかうまくいきません。ただでさえ里山に行かないと見ることができない花なのに、その里山の環境が減っているため、ますます見る機会が減っているのです。
キンラン・ギンランの人工栽培が難しい理由、それは、発芽や生育に周りの樹木や菌類を必要とする特殊な性質にあります。樹木をはじめとする植物のほとんどは、菌根菌と呼ばれる菌と共生しており、樹木は光合成で得た糖類などを菌根菌に与え、逆に菌根菌はアミノ酸合成に必要なミネラルを樹木に与えて、お互いが助け合って生きています。
(参考:「秋に出てくる森のキノコと植物たちの関係を知ろう!樹木と菌根菌の共生関係」)
キンラン・ギンランなどのラン科植物は、そのような共生関係に入り込んで、両方から養分を分けてもらって育ちます。もちろん自分で光合成を行なって養分を作ることもできますが、何か栄養不足などでストレスを感じたりした場合、周りの樹木や菌根菌から養分を分けてもらって助けてもらいます。このようにキンラン・ギンランは周りの環境に依存する生態を持つため、人工栽培するには周りの樹木や菌類などの環境をまるごと再現しないとうまくいかないのです。
これから5月頃までの春の時期だけ、しかも里山に行かないと見ることのできないキンランとギンランの花。ぜひ実物を見に森へ出かけてみてはいかがでしょうか? ただし貴重な植物なので、くれぐれも採取したり花を摘んだり折ったりせずに、あくまで見て楽しむだけにしましょう。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへ新緑の里山に広がる棚田で、そこに暮らす生きものたちの観察や実際に泥に入って田植えの体験を行います(5/13土、14日)。昼食には火おこし体験なども行い、羽釜で炊き立てのご飯をご用意いたします。また、11月ごろに収穫したお米をお送りいたします。自分で植えた苗から収穫された特別なお米をお召し上がりください。
棚田でどろんこ!里山田植え体験のページへHonda製品の安全性・信頼性を担う機関である品質改革センター。敷地内には昔からの原生林がそのまま残り、里山風情を楽しめます。森の中には従業員向けのウォーキングコースが整備され、休憩時間には 多くの方に活用され健康促進に繋げています。また、敷地境界における高木を、高さ7mに切り揃えた事で解放感が生まれ、日差しも差す様になり、冬季の雪解けも早くなり安全が確保されました。
栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台52-1