熊本製作所は、Hondaの二輪車を生産する国内で唯一の工場です。熊本平野から阿蘇山に向かって標高が上がり始める台地の端に位置し、約166haというHonda国内事業所では最大規模の敷地面積を誇ります。周辺では農地が多く見られ、製作所が造成される以前から同様の環境であったと思われます。
熊本製作所の面積は80haとある程度まとまった面積をもっており、敷地内には常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、湿地や池など非常に様々な環境が存在し、組み合わさって成り立っています。このことによって、複数の環境を必要とするトンボやカエルなど、単独の環境では生きられない種の生息が可能になっています。
この環境は、他の製作所と比較してもかなり豊かな自然環境だと言っても過言ではありません。その証拠に、他の製作所では見られないようなヤマトタマムシやカヤネズミ、ヤマアカガエルなど希少種も確認することができます。複合的な環境の活用を行っていく上で、熊本製作所は特異的であり、非常に重要な要素を持っていると言えます。
熊本製作所の森がHondawoodsの森として整備されはじめたのは2014年のことです。それ以前の1970年代から2000年代にかけては、土地固有の樹木を植え、できるだけ人間が手を加えず自然に任せて森を育てるという「ふるさとの森」の考え方で森を育成していました。
この「ふるさとの森」の考え方により森づくりは、熊本製作所の中に鳥や小動物が多く集まる豊かな森を育て上げた一方で、後年は成長しすぎた樹木による弊害も顕在化しました。生い茂る枝葉で製作所入口の看板が見えづらい状況が生まれ、周辺地域に落ち葉が拡散したり、密集した木々が暗くうっそうとしたイメージを与えるようになったり、周辺地域の都市化が進み、車通りも多くなって張り出した樹木が交通の妨げになる懸念も生まれました。
こうした背景をふまえ、熊本製作所を含むHondaの事業所では、2014年に森づくりの方針を大きく方向転換しました。従来の「できるだけ人間が手を加えず自然に任せる」という考え方から、「進んで手を入れながら育成していくことで人と共生し、人に恵みをもたらす森を創る」という考え方への転換です。これがHondaWoodsの森づくりの始まりとなりました。
2014年当時、森の中はシラカシ、タブノキなどの木々が非常に密植されていたため、その成長度合は貧弱なものでした。また、同じような樹種ばかりで、病害虫による壊滅的な被害が発生する可能性もあり、適切な手入れ方法を検討していく必要がありました。一方、森の中は樹木がよく茂った環境のため、イタチやタヌキなど哺乳類の姿は、他の調査地点と比較して多く確認されました。エサ資源は少ないものの隠れ家、ないしは安心できる通り道としての機能を果たしているものと思われました。
伐採や定期的な下刈りによって見違えるほどに明るくなった森には、より多くの動植物が見られるようになり、地元の人にも親しまれる森となりました。
●整備後に見られた冬の野鳥たち
HondaWoods熊本では今後も「いのち豊かな森づくり、地域とHondaをつなぐ架け橋となる森づくり」を目指していきます。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへハローウッズの森の色んな個性があるサイトでキャンプが楽しめます。焚き火ができるサイトや、屋根付きのデッキがついているサイトもあります。春の「まつぼっくりサイト」でアウトドアを楽しみませんか?
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Honda四輪車開発のデザイン関連部門が集結する(株)本田技術研究所(和光) 。この森の特徴は何と言っても、2本の巨大なメタセコイアです。この「生きた化石」とも言われる古代の樹木が、森で次々と生まれる若い芽吹とHondaの成長を見守ってくれています。
埼玉県和光市中央1-4-1