鮮やかな実をつけたガマズミやムラサキシキブとは逆に、コナラやクヌギなどのどんぐり、カキノキの実りは例年に比べると極端に少なくなっています。樹木の中には、たくさん実をつける「なり年」とほとんど実(種子)をつけない「裏年」を繰り返す性質を持つものがあり、コナラやクヌギのほか、カキやミカンなどが有名です。
なぜ「なり年・裏年」があるのか、はっきりした理由は分かっていません。気温や降水量などがその樹木の生育に適した年は「なり年」になり、その翌年は樹木が体力を使い果たして「裏年」になるという説がありますが、それだけではなく、樹木が子孫を残すために行なってる工夫の一つだという説もあります。つまり、毎年一定の実をつけると、それをエサとする動物たちが実を食べ尽くしてしまって樹木は子孫を残すことができません。そこで、ある年は動物たちが食べきれないほどの実を実らせることで種子が生き延び、ある年は実をつけないことで動物たちを餓死させて天敵を減らす、という説です。皆さんの周りの木々の実りはいかがでしょう? 今年は「なり年」ですか? 「裏年」ですか? ぜひ確かめてください。
「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがあります。大切な子どもは、親元に置いて甘やかすのではなく、あえて突き放して遠くへ旅をさせ、世の中の苦労を体験させたほうが、よりたくましく立派な大人へと成長するという意味です。
これは人間の子育ての教訓ですが、実は樹木の世界でも、子どもである「種子」は親の木から遠くに離れたほうが生存確率が高く、最終的に立派な樹木に育って種の繁栄につながるということが分かっています。
親の木には、その実を食べるために昆虫や動物たちが多く集まります。だから親の木のすぐ近くに落ちた種子は昆虫や動物たちに見つかりやすく、食べられやすい。逆に言うと、親の木から離れれば離れるほど見つかりにくく、食べられにくくなるのです。
また、親の木が有害な菌・病気に感染すると、距離が近い場所に生えた実生(みしょう:種子から発芽したばかりの植物のこと)も感染してしまいます。種子は親と同じ遺伝子を受け継ぎ、同じ病原体に対しての防御機構を持って生まれてきますが、病原体は世代交代が早く、時間とともにそれをかいくぐる強い毒性を持つ菌が増えてくるので、まだちゃんと育っていない実生などはなかなか生き残ることができません。大きく育った親木であれば耐えられるような菌でも、小さな実生は負けてしまい、親元では定着することができないのです。
このように、親木の近くでは同じ樹種の種子や実生がなくなってしまう傾向が強く、同じ場所で同じ樹種の更新ができにくく、成木は離れたところでポツポツと散らばって分布するようになります。また、成熟した大きな樹の下ではその親の子ども実生はなくなってしまいますが、よそから来た別の種類の種子から芽生えた実生は生き残りやすい傾向があります。こうして多くの種類が混生する森が広がっていくのです。
多くの樹木は、まるで「親木の近くで芽を出した種子は生き残りにくい」ということをちゃんと分かっているかのように、自分の子どもである種子を遠くに運ぶためのあらゆる工夫をしています。人間と同じように、自分が罹った病気に子どもが感染してほしくない、やってくる虫に食べられてほしくない、という強い想いを持っているかのようです。
この「種子を遠くいろいろな場所へ運ぶ」ことを種子散布といいますが、その方法は「海流散布、水流散布、自発散布、風散布、動物散布」の主に5種類です。
水の流れや風、動物などの力をうまく利用したり、自分で弾き飛ばしたりと、樹木たちは様々な工夫で親元から種子を遠ざけようとしています。そうして実生の生存率を上げています。そして地形や場所・地域、気候など違った環境の中で多様な森が生まれそこに多くの生きものたちが適応して多くの生きものが暮らす森ができるのです。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへ2020年11月22日、23日の各日開催。森の落ち葉を集めてカブトムシのすみかを作ります。最後にはカブトムシの幼虫と飼育用の土などをお渡し。
※コロナウイルス感染症状況のより、内容を変更しての実施または開催中止の可能性があります。詳しくは、ハローウッズにお問い合わせください。
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Honda車にとって極めて重要な役割を担う部品を生産しているパワートレインユニット製造部がある真岡市松山町は、その名の通り昔から松林の多い地域です。工場の敷地内にも松の巨木林が残り、従業員の憩いの場ともなっているこの松林を守り続けられるような森づくりが行われています。
栃木県真岡市松山町19