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  • 2020.03.30

棚田の米づくりとゲンゴロウやカエル、イノシシなどの
生きものたちの関係を知ろう!

棚田の米づくりとゲンゴロウやカエル、イノシシなどの生きものたちの関係を知ろう!
森の達人より
こんにちは! Hondaのサーキット場「ツインリンクもてぎ」にある自然体験施設「ハローウッズ」のキャストリーダー和田です。ここハローウッズの森にあるハッチョウトンボの棚田は、休耕田含めて20段ほど。20年前に再生して今ではおいしいお米ができるようになりましたが、棚田の米づくりには森の生きものたちの協力が欠かせません。今回はそんな棚田と生きものたちとの付き合い方について紹介します。
和田 誠
ハローウッズ
キャストリーダー和田 誠
ツインリンクもてぎの自然体験施設
「ハローウッズ」へ行ってみよう!

田んぼには、乾田と湿田がある

田んぼには、大きく分けると乾田(かんでん)と湿田(しつでん)の2種類があります。水はけが良く、水を入れない時に地面が乾いた状態になる田んぼを「乾田」、水を完全に抜くことができず、年間を通して地面が湿った状態にある田んぼを「湿田」といいます。

米づくりには大量の水が必要なので、田んぼはもともと河川流域などに広がる湿地を利用して造成された湿田が主体でした。昔の人々は、そんな湿田の耕し、田植え前の代掻き、イネ刈りなどの作業を、家族や地域協働の手作業で数日かけて行なっていたのです。

しかし田んぼが広がっていくうちに、湿地帯だけでは田んぼの用地が足りなくなり、また用水路づくりなどの技術が発達していったこともあって、湿地帯以外の場所に作る乾田が増えていきました。そして機械化が進んだ現在では、大型機械が泥に沈んで作業がしづらい湿田よりも、水を抜けば乾いて大型機械で効率よく作業を進められる乾田が多くを占めるようになり、ほとんどの稲作をトラクターやコンバインなどを使って少ない人数で行うようになったのです。

ハッチョウトンボの棚田は湿田

ハッチョウトンボの棚田は湿田です。生産性も低く作業が大変な面もありますが、常に水が入っている湿田は、ミジンコや藻類、タガメやゲンゴロウ、カモやサギ、タヌキやイノシシなど多くの生きものが集まり、生物多様性や生態系の保全機能を果たし、森の生きものたちの貴重な生息地として注目されるようになっています。

里山の合間に広がる棚田と、それを囲む森。そこには多くの生きものたちがいます。稲作の歴史をのぞいてみると、そうした生きものたちと協力して米づくりを営んできた先人たちの面白い知恵や技がたくさんあり、驚かされます。江戸時代の『百姓伝記』という農書には、農民が食料を守り生産するために、動植物と積極的に付き合ってきたことが記されています。

たとえば、田んぼ以外の場所で子どもたちに200~300匹ものカエルを採らせ、自分の水田に放して稲を荒らすイモムシを食べさせたり、田んぼに竹の棒を立てて縄を張ると野鳥がとまるので、その野鳥に稲につく虫を食べさせたりしていたそうです。

ハローウッズではゴールデンウィーク頃になるとツバメが巣をつくって子育てをしますが、やはり8月くらいまで森の中や棚田の虫をエサとしてたくさん捕食する姿が見ることができます。ツバメはイネについている虫を食べに来て棚田にフンを落としますが、そのフンには水草を抑制する効能があるとされています。

現在でも農家の軒下に営巣するツバメを縁起の良いものとして大切に扱われていますが、そのころからの名残りであるとも考えられます。

また、ハローウッズにはありませんが、オケラという植物の根茎を乾燥させた蒼朮(そうじゅつ)という生薬がありますが、これをオオカミのフンと混ぜ合わせて糠で炊き込んだものを風上に置くと、保存が利いて雨で融け出し効能が消えない限り、稲を荒らすシカやイノシシ、サルがオオカミの臭いを恐れて近寄らない鳥獣除けになります。
昔の人々は、こんな風に様々な森の生きものたちと付き合いながら、お米を守っていたのです。

棚田で育てたお米「棚田米」は美味しい

作業も大変で生産性も高くない棚田ですが、森から注ぐきれいで栄養たっぷりの水、そして稲が根をしっかり張れる深い土のおかげで、美味しくて上質な米ができると言われています。

これには科学的な根拠もあり、山間地にある棚田は平坦地に比べて昼夜の温度差が大きいため、稲の登熟(穀物の発育・肥大すること)が良く、しかも出穂から登熟までに必要な積算温度1,100~1,200℃に達する日が平坦地より15日程度遅くなるので、時間をかけてゆっくり登熟することが知られています。こうして乾田に負けない良いお米が育まれるのです。

ツインリンクもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

ハローウッズのホームページへ

棚田でどろんこ!田植え体験

  • 棚田でどろんこ!田植え体験
  • 棚田でどろんこ!田植え体験

    昔ながらの特徴を残したハッチョウトンボの棚田ですべて手作業で田植え体験をします。棚田の生きもの探しや柴刈りを行い、火を起こして羽釜でのご飯炊きなど今ではどこか懐かしい体験が盛りだくさん。里山の豊かな自然に包まれながら楽しみましょう。

四輪完成車工場の中にある、小川が流れる森
HondaWoods鈴鹿

三重県鈴鹿市にある本田技研工業(株)鈴鹿製作所が実施している工場見学では、完成車組立ラインを見学する基本コースのほかに、屋外へ出てHondaWoodsの森を見学するオプションコースも設けられています。そこでは、森で暮らす生きものたちの姿を見ることができます。

本田技研工業(株) 鈴鹿製作所
本田技研工業(株)
鈴鹿製作所

三重県鈴鹿市平田町1907
TEL:(059)378‐1212

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