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  • 2022.09.16

スズムシやコオロギたちなど、秋に鳴く虫たちについて教えます!

スズムシやコオロギたちなど、
秋に鳴く虫たちについて教えます!

9月も中盤を過ぎると、ハローウッズの森に吹く風もだいぶ涼しく感じられるようになってきました。夜には気温もぐっと下がるので、最近はエアコンを使わず網戸から入る夜風だけで過ごせます。そんな秋の気配の強まりに合わせるかのように、これまで騒がしかった蝉の声が少しづつ減り、代わりに他の虫の鳴き声がどんどん強まってきています。そこで今回は、秋に鳴く虫たちについてご紹介していきましょう。

奥山 英治
ハローウッズ
キャスト奥山 英治

虫の鳴き声にまつわる予備知識

●日本人が虫の声を愛でるワケ
秋の虫についてお話する前に、まずは日本人と虫の声にまつわる面白いお話をご紹介しましょう。日本の俳句の世界で「虫」は秋の季語になっていて、虫=秋に鳴く虫を指す言葉として使われます。それほど、私たち日本人にとって秋の虫の声は美しく聞こえる音色であり、古くから慣れ親しんできた音なのです。そして、これほどまで虫の声を愛でる人種は、世界でも日本人ぐらいしかいないと言われています。
この現象は科学的にも検証されていて、ある有名な研究によると、世界のほとんどの人々は虫の鳴き声を右脳(音楽や機械音、雑音を処理する脳)で聴いているのに対し、日本人とポリネシア人だけが左脳(人間の話す声の理解など論理的知的な処理を受け持つ脳)で聴いていることが分かったそうです。つまり世界の多くの人々は虫の声を雑音としてとらえているのに対し、日本人は無意識のうちに虫の声を人の声と同じようにとらえて、そこに様々な感情を読み取っているのです。ちなみにこれは遺伝的な現象ではなく、日本語を母国語として育つことで現われる現象で、たとえばアメリカ人の両親から生まれた子供でも、幼い頃から日本語で育つと、このような脳になるそうです。
●虫の声は「声」ではない
そもそも「虫の声」と言っていますが、虫は動物のように口から息を出して声を発しているわけではありません。たとえばスズムシをはじめとするコオロギの仲間は、左右の前翅(まえばね)をピンと立てて開き、それぞれの根本に近い部分をこすり合わせて音を出しています。「リーン」と一回鳴く間に40回以上も翅を左右に動かしてこすり合わせており、さらに翅の膜の部分が共鳴板になってスピーカーの役割を果たし、音を増幅して遠くまで届けます。
そのほか、キリギリスの仲間も左右の翅をこすり合わせて鳴き、ナキイナゴなどバッタの仲間は後ろ脚と前翅をこすり合わせて鳴いています。
●虫が鳴くのはコミュニケーションのため
一部の例外を除き、虫はたいていオスが鳴きます。コオロギやキリギリスなどは鳴き声を使って仲間同士でコミュニケーションしていることが知られていて、「なわばりの主張」「メスへのアピール」「オス同士の争い」などのために鳴き、目的によって違うパターンの鳴き声を発しています。

コオロギの仲間たち

それでは、ここから秋に鳴く虫をたくさんご紹介していきます。興味を持った虫については、ぜひ名前を覚えてください。そして家の周りや公園、森に出かけて虫の声を聴き、その姿を探してみてください。まずは「コオロギ」の仲間から。

●マツムシ
唱歌「虫のこえ」で「あれ松虫が鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリン」と歌われているマツムシ。体長20~30mm程度の大きさで、体色は淡褐色。ススキが群生する河川敷など、日当たりの良い乾いた草地に生息し、成虫は8月中旬から11月下旬にかけて現れます。実際の鳴き声は「チンチロリン」という風流な響きではなく「チッチリリッ」という鋭い感じの音です。ちなみに平安時代から江戸時代にかけては、この「マツムシ」と「スズムシ」は逆で呼ばれていたものが、明治以降、呼び名が逆転したそうです。
●アオマツムシ
街路樹の桜の木などで8月後半から10月下旬くらいまでうるさいくらいに「リー、リー」と甲高い声で鳴きます。緑色の体で体調20mm前後、もともとは日本にいなかった種類ですが、明治以降、外国から輸入された材木や生木などに卵が付いて日本にやってきました。サクラ・ケヤキといった街路樹に使われている木で産卵するので、木から木へという形であっという間に日本中に広まりました。今では誰もが知っている虫の声ナンバー1はこの「アオマツムシ」と言うくらい、どこにでも生育しています。
●スズムシ
名前のとおり「リィーン・リィーン」と鈴の音のように鳴き、その音色の美しさから「鳴く虫の王」と言われています。体長15~25mmで、幅広い翅が特徴です。鳴く姿を見ると翅は2枚しか無いのですが、実は羽化直後には4枚あり、その後、後ろ脚で後翅を脱落させるそうです。森の中や田畑の脇の暗い草地に生息し、夜行性なので夜に下草の間で鳴き声を上げます。鳴き声が聴こえるのは7月下旬から9月いっぱいぐらいまで。音色が綺麗で人気の高いのに加え、飼育が比較的容易なので、飼っている人が多い虫です。
●エンマコオロギ
体長25~30mmで、日本本土に生息するコオロギの最大種。畑や家の周りの草地に潜み、夜になると周辺を徘徊する姿を8月から11月ぐらいまで見ることができます。その鳴き声は「コロコロコロリー」とか「ヒリヒリヒリヒリ」などと表現され、スズムシやマツムシと並ぶ秋の風物詩と言えます。

ところで、「コオロギ」というのはコオロギ科の虫の総称です。一口にコオロギと言ってもその中には色々な虫が含まれ、先に紹介したマツムシやスズムシもコオロギの仲間。しかし一般的にコオロギと言う場合は「エンマコオロギ」のことを指すことが多く、マツムシやスズムシをコオロギと呼ぶことはほとんどありません。

●その他のコオロギの仲間

キリギリスの仲間たち

キリギリスの仲間の中にも、コオロギの仲間と同じく秋に鳴く虫が多くいます。ただコオロギと違って、その鳴き声は美しいと言うよりうるさいと感じるほうが多いかもしれません。その分、一度聴いたら忘れない鳴き声でもあります。

●キリギリス
一般的に「キリギリス」と言う場合、西日本に生息するニシキリギリスと東日本に生息するヒガシキリギリスのことを指し、6月から9月が成虫の活動時期。よって秋というより夏に鳴く虫としてなじみ深い虫です。体長25~40mm前後で、メスのほうがやや大きめ。生育環境によって緑色の個体と褐色の個体に分かれます。コオロギと同じく翅をこすり合わせて「ギィー、ギィー」と音を出し、翅を閉じると「チョン」と音が出るので、鳴き声としては「ギーッチョン」「チョン・ギース」などと表現されます。
●クツワムシ
体長50~70mmと比較的大型の虫で、緑色の個体と褐色の個体があります。前翅が幅広く木の葉状の全体にずんぐりとした体形が特徴。肉食の多いキリギリスの仲間では珍しく、クズの葉を好んで食べます。よって生息地もクズの繁茂している場所が多いと言えます。主に9月から10月の秋の時期に「ガチャガチャ」と非常に大きな音で鳴き、遠くからでもクツワムシが鳴いているのが分かるほどです。ちなみに「クツワ(轡)」とは馬の口にはめる馬具のことで、鳴き声が馬の轡を引くときの音に似ていることから、この名前が付いたそうです。

●その他のキリギリスの仲間

いかがですか? 他にもたくさん秋に鳴く虫がいます。秋の夜「この鳴き声の正体は何だ?」そんな気持ちで鳴き声の主を探してみてはどうでしょうか。また、実際に聴いた虫の鳴き声を文字に起こしてみるのも面白いですよ。虫の声の聴こえ方は人によっても違いますから、お友だち同士でどう聴こえたかを文字に書いて比べてみてもいいでしょう。ぜひチャレンジしてみてください。

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ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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夜の森観察~秋の虫の音演奏会~

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