湿度が高くてムシムシする日は人間にとってあまり気持ちの良い陽気とは言えませんが、虫たちにとっては絶好のコンディション。夜のコンビニエンスストアや外灯などの光に集まる虫の数も、夏が近づくにつれて日に日に増えている気がします。今回は、夜の光に集まる習性を利用した虫捕りの方法と、どんな虫たちが光に集まってくるのかをご紹介します。
野外スポーツ施設のナイター照明やガソリンスタンド、コンビニエンスストア、駐車場の外灯、自動販売機など、夜に煌々(こうこう)と明かりを灯している場所には虫がたくさん集まってきます。
では、なぜ虫たちは夜の明かりに集まるのでしょうか?
その答えは紫外線です。最近では聞き慣れた言葉になっていますが、地上に降り注ぐ太陽光の種類に“紫外線”という光線があります。人間には見えないこの紫外線が虫たちには見えていて、そこに集まる習性があるのです。
残念ながら紫外線に集まる理由までは解明されていませんが、夜に活動する虫たちは太陽の紫外線を反射している月の明かりを頼りに動き回るといわれています。だから夜に紫外線を発する蛍光灯や水銀灯をつけると、虫たちは月明りと間違えて飛んでくるのかもしれません。
しかし、最近ではLEDライトが多く使われるようになり、光に虫が集まるところをあまり見られなくなってしまいました。LEDの光には紫外線が含まれていません。光に集まってくる虫を観察するときには、蛍光灯や水銀灯などの明かりを探すようにしましょう。
明かりを探してそこに集まる虫を観察するのも面白いですが、紫外線に集まる習性を利用した虫捕りも面白くておすすめです。それは「ライトトラップ」といって、光に紫外線を含んでいるブラックライトや蛍光灯を使って虫をおびき寄せ、捕まえる方法です。もちろん、普通の電球を使った懐中電灯でも代用できますが、LED電球のものは紫外線を発しないので避けましょう。
ライトトラップのやり方はとても簡単です。洗濯ばさみやロープを使って森や茂みの近くで白い布を張り、夜になったらその布をライトで照らすだけ。寄ってきた虫たちは布に止まってくれるので、簡単に捕まえることができますよ。
では、実際にライトトラップに集まってきた虫たちと、夜のコンビニエンスストアの窓際や外灯の下で見つけることのできた虫の一部をご紹介したいと思います。
コンビニエンスストアや外灯などに集まる虫たちも、もちろんライトトラップで捕まえることができますよ。
●ライトトラップに集まってきた虫たち。
緑の迷彩柄がきれいなガです。幼虫はケヤキの葉を好んで食べるので、ケヤキ並木のある住宅街などでもよく見かけます。
枯れ葉が丸まったようにしか見えませんが、実はガです。このように、他のものに姿を似せることを“擬態(ぎたい)”といいます。
同じライトトラップに引き寄せられたガの仲間に襲い掛かっています。カマのような前脚を持ち、顔もカマキリに似ていますが、カマキリではありません。
急に出会うと、その大きさにびっくりしてしまうほど大型のガです。翅(はね)を広げると10cm以上になります。
●コンビニエンスストアの明かりに集まってきた虫たち。
大きなアゴが特徴のノコギリクワガタは、日本に広く生息しているクワガタムシの代表格です。
クワガタムシやカブトムシのようにクヌギやコナラなどの樹液にやってくる虫ですが、ライトに飛んでくることが多いところも同様です。
写真では緑色がかって見えますが、きれいな青白い色をしたガです。幼虫は桜の葉も食べるので、都会でも桜の木があれば見かけることがあります。
●外灯に集まってきた虫たち。
自然が少なくなった都市近郊では、もっとも見かけることが多いクワガタムシです。
その大きさとどう猛さから“水生昆虫の王様”ともいわれるタガメですが、紫外線の誘惑には負けてしまったようです。
ミヤマは漢字で「深山」と書く通り、山奥に住むクワガタムシです。頭の両側が張り出しているのが特徴です。
カエルも紫外線が好き!? いえいえ、このカエルはライトに集まる虫を食べに来たようです。
ライトトラップは夜に仕掛けるものなので夜行性の種類が多いガの仲間や、クワガタムシなどの甲虫類が主に紫外線に反応して集まってきます。ミヤマクワガタなどといった、普段はなかなか捕まえることのできない虫たちを捕まえて観察することもできるかもしれません。
夏に向けて、これから虫の数が増えてきます。湿度が高くてムシムシする夜は、ライトトラップを仕掛ければ一度にたくさんの種類の虫たちに出会うことができますよ。ポイントは、他に明かりのない真っ暗な里山や山間部です。旅行やキャンプでそういった場所に出かけたときには、是非試してみてください。夏の夜は、虫捕りで盛り上がりましょう!
ただし、お子さんは必ず大人と一緒に外出するなど、安全には十分に気をつけて楽しんでくださいね。
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