春も盛りになると野山には色々な花が咲き乱れ、チョウやハチなどがその蜜や花粉を求めて飛び回り大にぎわいとなります。今回は、春になると森や公園などでよく目にする白い花、ハルジオンにどんな虫たちが集まってくるのか観察してみましょう。
ハルジオン(春紫苑)は4月から7月くらいまで花を咲かせる、とても身近な春の花です。繁殖力が強く、日本各地の森や公園、道端など根を張れるところならどこにでも自生しているので、みなさんも見覚えがあるかと思います。
ハルジオンの背の高さは大人の腰ぐらいで、小さな花をたくさんつけます。花の中心部が黄色く、花びらは幅が細くいものが数十枚あり、色は白のほかピンク色のものもあります。
また、ハルジオンととてもよく似るヒメジョオン(姫女苑)という花もありますが、花期は6月から11月くらいと少し遅めで、こちらは「春の花」とは言えないかもしれません。ちなみに、一見そっくりなハルジオンとヒメジョオンには、花びらの幅に違いがあります。ヒメジョオンの方が幅が太いのですが、でもこれは2種類の花を見比べてみないと分かりません。一番簡単な見分け方は茎の中身をみることです。茎が中空(ストロー状)なのがハルジオン、茎の中に髄(ずい)が詰まっているのがヒメジョオンです。
ハルジオンは、もともと園芸種として大正時代に北アメリカから日本に入ってきたと言われていますが、引き抜いても根が残っていれば再びすくすくと育つので、たちまち日本中に生息するようになりました。園芸種だったハルジオンは、その繁殖力の強さからどこにでも自生するようになり、人間からは雑草扱いされることとなってしまいました。
しかしこのハルジオンの花には、春の到来を待ちに待った色々な虫たちが蜜や花粉を目当てにやってきます。それでは実際にどんな虫たちがやってくるのか、家の近くに咲くハルジオンの花の前で観察してみましょう。
里山に生息するシジミチョウの仲間の中でも、最もポピュラーなシジミチョウ。見た目を貝のシジミに例えてシジミチョウと呼ばれています。暖かい地域では春だけでなく、年に5~6回発生します。
羽の裏側に縞模様があります。冬を蛹(さなぎ)の姿で過ごし、春早々に羽化します。主に山間部で見かけますが、里にも下りてきます。
山間部に生息し、春早々に一度だけ発生する。卵で越冬し2月~3月にかけて成長、羽化します。ゆっくりと羽ばたいて飛ぶので、とても優雅に見えます。
セセリチョウの仲間は他のチョウとは翅(はね)を閉じた時の形が違うので区別がつきます。またセセリチョウは種類が多く、翅の色や模様が異なる色々な種類が花にやってきます。コチャバネセセリは翅の裏側が茶色く、黒い線があります。
日中に活動するガです。春から夏の終わりまで見ることができ、チョウのように飛び回って花の蜜を吸います。翅の模様が特徴的で、白い部分を窓に見立ててマドガと呼ばれています。
花の蜜を後ろ足に蓄えるシーンをぜひ観察してください。ハチは針で刺すイメージがあるかもしれませんが、ミツバチは蜜を集めることに必死ですから、余計な刺激を与えない限り襲ってはきません。花には他のハチの仲間や、ハエ、アブ類もやってきます。
秋から冬にかけて地中で成長し、春になると土から飛び出して花粉を求めて飛び回ります。春の早いうちは、よく見るとまだ体に土がついているものもいます。
生まれて間もないキリギリスの幼虫です。成虫は肉食ですが、幼虫の時期には花粉を食べに来ます。夏に成虫になると、オスは「ギィーイ・ギィーイ・チョン」と鳴きます。
ハルジオンの花に集まるのは、蜜や花粉を求める虫だけではありません。花の一部に化けてじっと待ち、やって来た虫に襲いかかるクモがいます。このように花を利用して獲物を待ち続けるクモは、カラカニクモの他にも何種類か存在します。
いかがでしたか? わざわざ遠くの山や森に行かなくても、身近な場所でハルジオン花を見張っていればたくさんの虫たちに巡り合うことができるんです。でも今回ご紹介できたのは、ハルジオンに集まる虫たちのほんの一部です。みなさんも近くの公園などで、春の虫たちを観察してみませんか?
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