こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。自分で捕まえた虫を飼育することには、格別な喜びがあります。それまでよく知らなかったその虫のことを、より深く知ることができる最高の方法は、その虫を自分で飼育することです。そこで今回は、虫の飼育の中でもちょっと高度な、でもチャレンジし甲斐のある、「カブトムシの繁殖と幼虫の飼い方」をご紹介します。
まず最初にお断りしておかないといけないのは、今回は「カブトムシの繁殖と幼虫の飼い方」というお話ですから、カブトムシのオスとメスを飼っていることが条件になります。しかもカブトムシの産卵のピークは7月~8月と言われていますので、今から産卵させるのは時期的にちょっと遅いかもしれません。でも産卵の可能性はゼロではありませんし、もし産卵させることができなくても、来年以降、本格的にチャレンジするために勉強していただければと思います。
そこで、カブトムシを交尾・産卵させるためには、まずは腐葉土を敷き詰めた大き目の飼育ケースを用意し、そこにエサ皿・のぼり木・転倒防止用の小枝などを入れた交尾・産卵用の飼育ケースを作ります。ポイントは十分な腐葉土を敷き詰めることで、深さ数cm以上、できれば10cm前後確保するのが望ましいとされています。その際、下半分は安定するように固めに敷き詰め、上半分はメスが潜り込みやすいようにやわらかめに敷き詰めます。
そして敷き詰めた腐葉土は乾燥させてはいけません。乾燥してきたら霧吹きなどで湿り気を加えます。飼育にふさわしい湿り気は、手のひらに土を乗せて握りしめたら固まる程度です。
ちなみに腐葉土は、昆虫飼育用や園芸用としてホームセンターなどで手に入ります。選ぶ際のポイントは、殺虫成分が入っていないことと、針葉樹の入っていない広葉樹だけを使用した腐葉土を選ぶこと。また、カブトムシ用飼育マットも腐葉土と同じように使用できますが、幼虫・成虫・産卵など成分が異なる種類がありますので、産卵・幼虫用を選ぶようにしてください。
その後、卵はふ化して幼虫になります。生まれたての幼虫を1令と呼び、大きさは8~10mmほど。これが腐葉土を食べてどんどん成長し、1週間ほどで脱皮して2令になり、さらに3週間もするとまた脱皮して大きさ40mmほどの3令になります。この3令幼虫は土の中で冬を越し、最終的には80~120mmになって翌年5~6月に三度目の脱皮をしてサナギに。そして7月ぐらいに成虫になって土から出てくるのです。
ふ化して1カ月以上経ち、3令幼虫の初期、10月ぐらいになったら、幼虫を飼育ケースから出して1匹ずつ個別のケースに入れて飼育する方式に切り替えます。より確実に成長させるためと、中の様子が観察しやすいケースに入れて、サナギから成虫へと成長する姿を観察するためです。この時使うのが、ペットボトルを使った飼育容器なので、その作り方をご紹介します。
3令幼虫は最終的に100mm前後の大きさになりますので、幼虫の動きを阻害しない余裕のある広さを確保するため、2Lの空ペットボトルを用意します。
ペットボトルの上から4分の1ぐらいの位置で、カッターナイフなどを使って2つにカットします。
切り離した2つのうち、下4分の3のほうに、腐葉土を9分目ぐらいまで入れて、その上に幼虫を1匹そっと乗せます。
キッチンペーパーをかぶせて、その上から切り離したペットボトルの上4分の1でフタをすれば完成です。ちなみにキッチンペーパーはコバエ等の侵入を防ぐためなので、コバエを通さず空気を通すものであれば、ガーゼ等でもOKです。
このペットボトル飼育容器1つにつき幼虫1匹ずつ入れるので、結局幼虫の数だけペットボトル飼育容器が必要になります。容器の作成は大変ですが、幼虫が立派に成虫まで育つためには必要なので、頑張って作りましょう。
次に置き場所ですが、カブトムシの幼虫は基本的に土の中で成長するので、明るいところを嫌い暗く静かな場所を好みます。なので室内でも暗いところで気温は30度にならないような場所に置くようにしましょう。
この容器で幼虫が成虫になるまで飼育していきますが、途中、幼虫のフンが目立つようであれば、ペットボトルの中の腐葉土を全部取り換えます。とは言え、成虫になるまでに一度換えるくらいです。また、腐葉土に適度な湿り気が必要なのは先にご説明した通りですが、ペットボトルの底に水分が溜まってしまう場合もあるので、水分のあげすぎには注意しましょう。
その後、順調に育てば約1カ月で成虫になります。もしここまで育てることが出来たら、喜びもひとしおでしょう。ぜひチャレンジしてみてください。そしてカブトムシ以外にも、いろんな虫の飼育・繁殖を行なってみると、より一層、虫たちの面白さ、自然の不思議さが分かってくると思いますよ。
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