こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。夏休みといえば昆虫採集。中でもクワガタムシ(通称:クワガタ)やカブトムシはいつの時代でも大人気の昆虫です。そこで今回は、この夏捕まえたクワガタムシの飼い方をご紹介します。せっかく自分の手で捕まえたクワガタムシを長生きさせるためにも、飼い方をしっかり覚えておきたいものです。この夏、クワガタマスターになりましょう。
今の時代、クワガタムシはホームセンターや昆虫専門店などで簡単に購入することができますし、通販で販売している業者もたくさんあります。そう考えると、クワガタムシを手に入れるのは昔よりも簡単になったと言えるのかもしれません。
でも、せっかくクワガタムシに親しんでクワガタムシのことをもっと知ろうと思うなら、自ら森に入って自分の眼で探して、あれやこれやと工夫をこらしながら自分の手で捕まえることにチャレンジしてみましょう。そうしてこそ、クワガタムシのリアルな生態を知ることができますし、より多くの喜びと親しみも生まれます。クワガタムシの捕まえ方は、この「森に行こうよ!」の以前の回でご紹介していますから、ぜひ参考にしてみてください。(森の達人_クワガタやカブトがいる森に出かけよう!)
さて、クワガタムシと言っても色々な種類があります。日本に生息するクワガタムシの種類は40種類前後と言われていますが、そのうちよく見ることができるのは、コクワガタ・スジクワガタ・ノコギリクワガタ・ミヤマクワガタなどです。捕まえて飼育する前に、これらについて大まかにご説明しておきましょう。
これらの他にも、オオクワガタ・ヒラタクワガタ・アカアシクワガタなどクワガタムシの種類はまだまだいますが、生息数が少なかったり、住む場所が特別で見つけにくかったりと、捕まえるのがなかなか難しい種類ばかりなので、まずは、身近なクワガタムシを上手に飼ってみることからはじめてみましょう。
さて、いよいよクワガタムシの飼育方法をご紹介していきますが、その前に覚えておいてほしい心構えがあります。それは、クワガタムシは成虫で冬眠して越冬する種類が多いということ。先にご紹介したコクワガタやスジクワガタの多くは、冬眠して冬を越します。一方、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは寿命が短いので冬を越すことはほとんどありませんが、それでも室内で大事に飼育したノコギリクワガタが冬を越した例がしばしば報告されています。昆虫だから夏が過ぎたら死んでしまうと思わずに、ちゃんと冬眠できる場所を作って、冬を越させるつもりで大事に飼育しましょう。
まずは飼育ケースを用意します。クワガムシタが窮屈な思いをしないよう、程よい大きさを選びましょう。
飼育ケースの中に入れる腐葉土・落ち葉・止まり木を用意します。自然のものでなくても、ホームセンターなどで購入できます。
※使う前に天日に十分干して殺菌しましょう。
飼育ケースの中に、クワガタムシが潜れるよう2~3cm程度の深さになるように腐葉土を敷きます。
自然の腐葉土が手に入れにくい場合、ホームセンターなどで売っている「昆虫マット(腐葉土や針葉樹・広葉樹を粉砕し粉状にしたもの)」を使用しましょう。
落ち葉は、クワガタムシが転倒(ひっくり返ること)した際に、つかまって体を元に戻すために必要です。
腐葉土の上から、さらに落ち葉を3cm程度の高さになるように入れます。
また、落ち葉と腐葉土の間に入って体を休めることで、長生きの助けにもなります。これも、ホームセンターなどで除菌済みのものを購入できます。
飼育ケースの大きさに合わせて、止まり木が斜めに立つぐらいの長さに整え、ケースに入れます。これで準備は完了です。
もともとクワガタムシは木の上で生活しており、身体のつくりもそれに順応しています。その環境を再現してあげましょう。これもホームセンターなどで購入可能です。
捕まえたクワガタムシを入れて飼育を始めます。中に入れる匹数は少なめに。写真では2匹入ってますが、このケースで多くて5匹くらいまでです。
エサはフルーツでもいいですが、ここでは市販されている昆虫ゼリーを使用済みコーヒーミルクのケースに入れて与えています。ケースを止まり木に固定すると、エサの補充や手入れが楽です。
エサを入れておくと、コバエが発生することがあります。これを防止するには、ケースと蓋の間にキッチンペーパーなどを挟んで侵入を防ぐといいでしょう。
飼育ケースのクワガタムシを長生きさせるには、オス・メスを一緒に入れないようにすることです。クワガタムシは、交尾をするとだんだん弱って死んでしまいます。産卵させたい場合は、詳しい人に方法を聞くなり、インターネットで調べるなどしてからチャレンジしましょう。
先に書いたように、ミヤマクワガタやノコギリクワガタは年を超えることはほとんどないので、夏の間に十分観察しましょう。一方、コクワガタは上手に飼うと2~3年生きると言われていますから、長生き記録に挑戦してみるのも飼育の楽しみです。
自分で捕まえたクワガタムシを飼育すると、気持ちの入り方が違います。ホームセンターなどで買ってきて飼うのとは思い入れまで変わってきます。最初はうまくいかなくても、飼育は繰り返していればだんだんうまくなります。飼育をすることで分かってくることも多く、図鑑やテレビなどで見る世界とは全く違う感動があります。
ぜひ、自然の中で捕まえクワガタムシの飼育に挑戦してください。そしてステップアップとして、繁殖にも挑んでみてください。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
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