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- ハローウッズ
キャストリーダー
和田 誠
こんにちは! 自然体験施設「ハローウッズ」のキャストリーダー和田です。本格的な夏を迎え、家の庭や住宅街の植え込み、公園などの身近な自然の中でも草木が青々と茂り、多くの生きものたちを見る機会が増えました。普段何気なく見ている自然の生きものたちもよ~く見てみると面白い発見があります。今回は自由研究のちょっとしたヒントにもつながる生きものたちの観察の仕方をご紹介します。
私たちの身の回りには生きもの観察の機会がいっぱい!
生きものの観察と言っても、最初はどこに行けばいいのか、何を見ればいいのか、いろいろ迷ってしまうと思います。そこでまず、自分なりのテーマを決めてみましょう。チョウやトンボ、セミなど、何か一つの生きものを取り上げてもよいでしょう。例えばセミをテーマにした場合、どんな木にどんな種類のセミがいるのかを調べたり、何時から鳴き始めて何時まで鳴いていたのかの時間を調べたり、種類による鳴き方の違いなども観察できます。
近所の公園の木の根元や草むらの中なども、いきもの観察の絶好の舞台です。
チョウやトンボなどの身近な昆虫観察から始めると、子どもたちの興味もわきます。
また、庭や公園、河原などの場所をテーマにして、そこに暮らす生きものを見つけてどんな種類がいるか観察してみても面白い発見があるかもしれません。四季折々で観察できる生きものも変化しますので長く付き合う気持ちが大切です。
公園で、木の幹に残っているセミの抜け殻をテーマにしても面白い観察ができます。
生きものだけでなく、一本の木の表面をよーく観察しても、新しい発見があります。
花壇にはチョウやハチの仲間などをみることができます。
家庭菜園では野菜の花や葉にいる虫たちを観察できます。
観察に出かけるための持ち物や道具を準備しよう!
それでは、実際に観察に出かけてみましょう。しかし、日ごろ外に遊びに行くのと同じ感覚で出かけてはいけません。森の中や草むら、やぶの中に入る可能性があるわけですから、服装など持ち物にも注意が必要です。
まずは、虫刺されやケガなどを防止するために長袖、長ズボンがいいでしょう。熱中症対策に帽子や水筒も持っていくのがいいでしょう。靴下は長めのものにして、履き慣れた靴を履きます。手袋もあると便利です。また、感染症予防にマスクも準備しておきましょう。
生きもの観察では、長袖・長ズボンが基本です。この写真は昨年のものなのでマスクをしていませんが、今出かける際には、感染症予防のマスクを持っていくのを忘れずに。
そのほか、生きもの観察に持っていくと便利なものを挙げてみます。
- ●ルーペや虫眼鏡:小さな生きものを観察するときに便利です。
- ●双眼鏡:遠くのものを観察するときに便利です。
- ●フィールドノート:すぐに取り出せたり使い勝手の良い大きさのノートがおすすめです。
- ●筆記用具: 鉛筆や消しゴムを用意しましょう。
- ●図鑑:テーマにあったコンパクトな図鑑が便利です。また図鑑に載っていないものはフィールドノートに特徴などを記録し、より詳しい図鑑で後から調べられるようにしましょう。
- ●袋やケース:見つけたものを持ち帰るのに便利です。
- ●ファーストエイド:絆創膏や虫よけなども用意しておくと安心です。
必要なものは忘れずに、そして余計なものは持たずにコンパクトにまとめて、リュックなどに入れて持っていくようにしましょう。
生きもの観察をする際の注意とマナー
観察する場所によっては、気を付けなければいけないことがあります。
まず観察する場所が私有地や立ち入り禁止の場所ではないか、迷惑にならない場所かどうかを確認しましょう。また、急斜面や崩れやすそうな場所、手入れされていない草むらや藪などは避けるようにしましょう。そして、むやみに草花などを持ち帰ったりしなようにして、みんなが観察できる場所として楽しめるように努めましょう。
※危ない生き物に注意!
ハチの仲間やヘビの仲間、ガの幼虫(毛虫)などは、刺されたり噛まれたりすると危険です。見つけた時にはじっとしてどこかに行ってしまうのを待つか、そーっとその場所を離れましょう。
また、万が一、生き物に刺されたりかまれたりした場合には、慌てず専門家に診てもらうようにしましょう。
強い毒を持つスズメバチ。たとえ死んでいるように見えても反射的に毒針で刺すことがありますから絶対に手を出してはいけません。
毒ヘビとして有名なマムシ。とても臆病なヘビなので、こちらから何かしなければ襲ってくることはありませんが、誤って足で踏んでしまった場合などには反撃される可能性が考あります。見通しの悪い叢などを歩く際は足元に十分注意しましょう。
五感を使って観察し、しっかり記録しよう!
最後に、実際に生きもの観察をする際、それをちゃんと実になる観察にするためには、ちょっとしたコツがあります。それは、眼で見るだけでなく、音や臭い、触った感じなど全身の感覚を使って観察するということです。
まずは自分の目で生きものをじっくり見てみることから観察が始まります。
野外に持ち出せる顕微鏡などがあれば、さらに観察が楽しくなります。
- 「視覚」
- 全体を見る、近づいてみる。いろんな角度から見る。虫眼鏡や双眼鏡を使って拡大してみるなどして気づいたこと、調べたことを自分でしっかり記録するのが観察の基本です。
※注意:危険なので、虫眼鏡や双眼鏡で太陽をのぞいたりしないでください。
- 「嗅覚」
- 全体的な空気の匂い、咲いている花の匂いや、虫が出す臭いなどを嗅いで、自分の感想を言葉にして記録しましょう。何かに例えて表現したりするとより分かりやすいかもしれません。自然の匂いから、いろいろな種類を判別できるようになればすごいです!
※注意:毒や刺激臭を出すものもいますので、虫や植物の臭いを嗅ぐときはあまり顔を近づけすぎないようにしましょう。
- 「触覚」
- 見つけたものを調べて、毒や棘などがないものは、やさしく触ってみましょう。硬さや手触りなど直接触ることでわかることもたくさんあります。
※注意:種類が分からない生きものや植物には、決して触れないようにしましょう。
- 「聴覚」
- 野鳥の鳴き声やカミキリムシを持った時にでる音なども、じっくり聞いてみましょう。どういうときにどんな音を出すのか聞き分けてみましょう。
※注意:鳴き声を聞きたいからといって、虫たちをつついたり、ゆすったりせず、あくまで自然の姿を観察しましょう。
- 「味覚」
- 木の実や山菜、キノコなど食べられる種類はありますが、間違って食べると毒があるものも多いのでスーパーや道の駅などに売っている安全なものを機会があれば試してみてください。味わうことで自然の恵みを実感できます。
※注意:特にキノコは、それが毒を持つ種類かどうかを見分けるのは慣れた人でも難しいものです。決して自分で採ったものを食べたりしないようにしましょう。
- 「記録する」
- 最後は、そこで感じたこと、分かったこと、考えたこと、不思議だなと思ったことを、フィールドノートに記録して残しておきましょう。そうすることで、貴重な体験が蓄積されて、知恵や知識として身についていきます。
匂いや音、触感など、全身の感覚を使って情報を感じ取ることが大切。
自ら観察して、調べたこと、感じたことなどは、自分だけのフィールドノートに記録しましょう!
※くれぐれも安全な観察を!
野外に繰り出しての自然観察は楽しいものです。だから、新しい発見に思わず夢中になってしまいがち。でも自然の中には、毒を持った虫がいたり、トゲのある植物が生えていたり、危険なものも潜んでいます。先に挙げたように、服装や持ち物に注意するのはもちろん、常に周りの状況に気を配ってくれぐれも安全な自然観察を心がけてください。
ほかにもいます!面白い生きものたち
いかがですか? 普段何気なく見ている自然の生きものもよーく見てみたり、観察を続けるとと今まで気づかなかった発見があります。みんなも身近な自然に目を向けて新しい発見をして楽しんでください。
それでは最後に、私が生きもの観察で撮った面白い写真をご紹介しましょう。皆さんの生きもの観察でもこんな場面に出会えるかもしれませんよ。
口を長く伸ばして蜜を吸うイチモンジセセリ。
黒ゴマの花にやってきたハチの後ろ足には花粉団子がついていました。
雨上がりの生垣のクモの巣には獲物を待つ姿がありました。
コスモスの中心部分には小さな星の模様がたくさん集まっていました。