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  • 2020.01.28

冬もフィールドに出てくるチョウやトンボなどの虫たちを探してみよう!

冬もフィールドに出てくるチョウやトンボなどの虫たちを探してみよう!
奥山 英治
今回の案内人
ハローウッズ キャスト/
日本野生生物研究所代表/
ナチュラリスト/イラストレーター
奥山 英治

こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。季節が冬になって、秋まではたくさんいた虫たちも、その姿をあまり見かけなくなりました。でも、よーく観察してみれば、冬でもフィールドには虫たちがいることに気づくはずですよ。

なぜ冬になると虫がいなくなるの?

冬になると虫たちの姿を見なくなりますが、虫の種類や地域によって差があるものの、春から夏にかけて活動し、秋には卵を産んで死んでしまうからです。そして、秋に産まれた卵は様々な形で越冬をします。例えばカマキリの仲間は卵の状態で、カブトムシの仲間は幼虫で、アゲハチョウやモンシロチョウなどはサナギで冬を越すものがほとんどです。
だから、冬は成虫の姿をあまり見かけないんですね。

でも、虫たちのなかには成虫の姿で越冬している種類もいます。
成虫は木の皮の裏や、木の根元の北側など、常に日陰で1日の寒暖差が少ない場所を選んで春まで熟睡しているものが多いのですが、それとは別に、暖かい日が続くと目を覚まして外に出たくなってしまう虫もいるんです。

冬でも晴れの日に出てくる虫たち。

テントウムシは、その多くが成虫で冬を越す虫のひとつです。1年のうちに3~4世代が育つほど寿命が短いのですが、そのぶん成長が早く、秋に産まれたものの多くが成虫に育って越冬をしています。

なかでも、子どもたちにも人気のナナホシテントウは、普段は日が当たる草木の根元で眠っていて、天気の良い日には草の上に出てきて遊んでいます。
止まっていると鳥などに狙われるからでしょうか、ナナホシテントウはとにかく動き続けています。それでもやっぱり眠いのか、食欲は無いようで冬の間は外に出てきても何も食べません。

また、シジミチョウの一種ムラサキシジミという色鮮やかな小さなチョウや、イトトンボの一種であるオツネントンボなどは、冬でも緑の葉をつけている常緑樹の近くで見ることができます。

ムラサキシジミもテントウムシと同じように、多くは年に3~4世代が育ち、秋に成虫になったものが越冬し、翌春に産卵をします。冬の間は常緑樹の枝葉に紛れて止まっているのですが、晴れた日が続くと葉の上に出てきて翅(はね)を広げているところを見ることができます。

オツネントンボは成虫のまま越冬する数少ないトンボですが、夏にヤゴから成虫になって越冬し、春に産卵をする寿命の長いトンボでもあります。
寒い日には木の皮の裏や建物の隙間などで眠っていて、暖かい日には常緑樹の周りにやって来ます。しかし枯れ枝のような体色をしているので、木の枝に止まっているときには少々見つけにくいかもしれません。

ムラサキシジミとオツネントンボは、ナナホシテントウと違ってほとんど動きません。日がな一日、のんびりと日向ぼっこをしているので、見つけることができたら、じっくりと観察することができますよ。

冬の虫探しポイント BEST4!

冬も外に出たくなる虫たちは、日当たりの良い場所の近くに潜んで越冬しています。そして、風がなく暖かい日に外に出てくるのです。
そこで今回は、そんな虫たちに出会うことができるおすすめポイントBEST4をご紹介しましょう!

  • 木の根元や落ち葉の裏

    まずは、虫たちの寝床を直撃です。日当たりの良い木や草の根元、木の周りの落ち葉を裏返してみると、ナナホシテントウやゴミムシ、クモの仲間などが出てくるはずです。
    ちなみに日の当たらない北側の根元や落ち葉の中を探せば、春から秋にその木の周辺で暮らしていたカメムシやクビキリギリス、エノキの木の周りなら日本の国蝶オオムラサキの幼虫が眠っていることもありますよ!

  • 木の根元や落ち葉の裏
  • 日の当たる土手

    日当たりの良い土手の斜面を観察してみると、寒い日は草の根元で眠っていたナナホシテントウが外に出てきているかもしれません。
    またそんな日には、タンポポやオオイヌノフグリ、ホトケノザなど春の花も咲き始めていることがあります。

  • 日の当たる土手
  • 白いガードレールや壁

    え、こんな所で!?と思うかもしれませんが、冬でも外に出たいタイプの虫たちは、白い板状のガードレールや、建物の白い壁など、太陽の光を反射して明るい場所にも集まりやすいんです。
    ここにもナナホシテントウなどの虫がやって来ますよ。

  • 白いガードレールや壁
  • 常緑樹

    シラカシやウラジロカシまたマテバシイなどの常緑樹も、虫が集まるポイントです。
    葉の上やその周辺には、ムラサキシジミやオツネントンボのほか、タテハチョウの仲間などもやって来ることがあります。

  • 常緑樹

フィールドに虫が少ない冬でも、虫が出てくるポイントを知っていれば成虫が見つかる可能性はグッと高まります。しかも、ここに紹介したようなポイントの中でも、風が当たらず“陽だまり”になっているような場所を探してみると、さらに出会うチャンスが広がるはずです。

このように、真冬でもよく晴れた日は寝床から出てくる虫たちがいます。まだまだ寒い日は続きますが、みなさんも虫に負けずに外で遊んでみませんか?
虫たちに出会えれば、きっと冬の寒さも吹っ飛んじゃいますよ。

フィールド上ではないですが、「子どもの森の遊び」こんな寒い冬にこそ、クワガタムシを採ってみよう!編でもご紹介したように、真冬でも朽木の中でクワガタムシの成虫を見つけることができるのを知っていましたか?
種類によって違いはありますが、クワガタムシは産卵期が長いので成長にも大きな差があるうえに、成虫になってから1年以上生きる種類もいます。そのため、成虫の姿で冬を越しているクワガタムシがけっこういるんです。
特にコクワガタは色々な木にいるので、見つかる可能性が高いです。ぜひ真冬のクワガタムシ採り&飼育にもチャレンジしてみてくださいね。

今月の「なぜ?なに?自然の大図鑑!」では、成虫で越冬するテントウムシの生態をご紹介しています。是非ご覧ください!

ツインリンクもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、みなさんをお待ちしています。

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