こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。夏の虫と言えばカブトムシやクワガタ、セミなどを思い浮かべますが、空をすいすいと飛び回るトンボの姿もよく見かけます。そのトンボのなかでも虫好きキッズたち憧れの的は、何といってもオニヤンマ!今回はそのオニヤンマの習性と、その習性を利用した面白い捕まえ方をお教えしましょう。
自然豊かな里山などの田んぼや池、小川の近くに住むオニヤンマは、体長10cm以上にもなる日本最大のトンボです。しかも飛行速度は時速70km/h以上とも言われ、4枚の翅(はね)を巧みに使って急発進や急停止、バック、ホバリングなどもすることができる、すごい飛行能力の持ち主です。オニヤンマはその能力でハエやセミ、ときには他の種類のトンボや、スズメバチをも襲って食べてしまいます。
日本最大・最強のトンボ。これがオニヤンマが子どもたちに人気の理由ではないでしょうか。
オニヤンマは自分の縄張りを持ち、普段はとても優雅な飛び方で自分の縄張りを巡回するように飛んでいます。しかし、いざ網で捕まえようとして追いかけると一瞬にして逃げ去ってしまい、なかなか網に入ってくれません。
そんなオニヤンマを捕まえるコツは、巡回コースを覚えて待ち伏せをすることです。予想したコースを飛んできたところを網でゲットする方法ですが、実は、そんなことをしなくてもオニヤンマの方から捕まりに来てくれる方法があるので、ご紹介したいと思います。
これは昔から“ヤンマ釣り”や“トンボ釣り”と呼ばれている捕まえ方で、一般的な釣りとは少し違いますが、縄張り意識の強いオニヤンマの習性を利用したとても簡単な方法です。
準備するのは、1mくらいのミシン糸や木綿糸を1本。直径1~1.5cmのなるべく丸い小石を2個。アメの包装紙など小石を包める大きさの薄い紙や布を2枚です。
重りとなる小石を薄い紙や布で小石を包んで、それを糸の両端に結びます。これで仕掛けは完成です。
仕掛けの重りの部分を利き手で持って巡回コースで待ち伏せ、飛んできた(向かってきた)オニヤンマの目の前に仕掛けを放り投げます。
仕掛けを投げるときには、周りに人がいないか必ず安全を確認しましょう。
ぐるぐると回転して飛ぶ小石を縄張りの侵入者と勘違いしたオニヤンマは、自分から仕掛けに向かって飛びかかっていきます。すると仕掛けの糸が体に絡まるので、地上に落ちたところを難なく捕まえることができます。
ヤンマ釣りは、縄張り意識が強いオニヤンマの習性を間近にみることができる、とても面白い捕まえ方です。いくら網を振っても捕まえられなかったオニヤンマが自分から捕まりに来てくれるんですから、みなさんも是非一度試してみてくださいね。
オニヤンマのオスは、飛び回りながら交尾の相手となるメスを探しています。しかし、羽ばたいているものを全てメスと勘違いしてしまうちょっと悲しい習性があるようで、これを利用してオスを釣る方法もあるので併せてご紹介します。
ヤンマ釣りなどでオニヤンマやその仲間の大型のトンボを捕まえたら、足に60cmほどの糸を結びます。その糸の反対側を1mくらいの棒に結び付けてトンボを羽ばたかせておけば、メスと勘違いしたオスのオニヤンマがやってくるという仕掛けです。飛び回るおとりのトンボにしがみ付いたオニヤンマは、網などで簡単に捕まえることができます。
厚紙などで作ったトンボを糸に結んでぐるぐると回しても捕まえることはできるのですが、本物をおとりに使った場合と比べると、見破られる確率が高くなってしまうようです。
今回紹介したヤンマ釣りや、トンボをおとりにした釣りでは、オニヤンマと同じような習性を持った他のトンボたちも捕まえることができます。そして捕まえたトンボを観察してみると、どれも個性的な模様や色彩でトンボたちの新たな魅力に気づくことができるはずです。
夏休みは自然豊かなフィールドに出かけて、色々なトンボを捕まえて観察してみてはいかがでしょうか。ひょっとしたら、オニヤンマ以上にお気に入りのトンボが見つかるかもしれません。
●トンボを観察した後は、優しく逃がしてあげましょう。きっとまた一緒に遊んでくれるはずです。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへ夏真っ盛りの里山で、午前は森の中・午後は水辺と場所を変えて生きもの探しを楽しみます。森にはタマムシやナナフシ、オニヤンマ。水辺ではカエルやサワガニ、クロスジギンヤンマなど。当日参加の2時間の日帰りプログラムなので午前と午後両方の参加も大歓迎です!家族みんなで里山の自然を楽しみましょう!
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