ハローウッズがある茂木の森では、四季を通して多くの植物が芽を出し葉を広げ、花を咲かせて実をつけます。
ノアザミの蜜をキチョウが吸いにやってきて、そのキチョウをカマキリが捕え、カマキリをモズが狙う。森のいたるところで目にすることができるこのような食物連鎖が、長い年月をかけて幾重にも複雑に折り重なることによって茂木の森で独自の生態系がつくられ、そのバランスが保たれてきました。
しかし、交通の発達などによりヒトやモノの移動が増えると、意図的か意図的ではないかの違いはあっても、日本にもともと生息していなかった動植物(外来種)が入ってくるようになりました。
こうして日本に連れてこられた動植物たちは、異国の地でも懸命に生き抜こうとしたに違いありません。そしてその結果、日本の環境に順応して野生化する外来の生物も種類が多くなっている現状があります。
春に青くて小さな花を咲かせるオオイヌノフグリや、四葉探しが楽しいシロツメグサ(クローバー)など、みなさんに馴染みのあるこれらの草花も、実は外来種です。
これらが日本の環境にどれほどの影響を及ぼしているか正確に測るのは難しいところですが、外来種が繁殖すればするほど、在来種の生息場所が減ってしまうのは確かなこと。なかには繁殖力が非常に強い外来種もあり、そういった植物は太古の昔から築き上げられてきた森の生態系のバランスに大きな影響を与えてしまうこともあるのです。
秋、ハローウッズの草花の中でも目立って背が高く、黄色い花をつけるセイタカアワダチソウも外来種のひとつです。
セイタカアワダチソウは、地上だけでなく地下にも茎を伸ばすので非常に生命力が強く、しかも根の部分からは“アレロパシー”という成分を出して周りの植物を成長しにくくしてしまう性質を持っています。周りの植物を弱らせながら自分たちの分布を広げるので、辺り一面がセイタカアワダチソウで埋め尽くされている場所もよく見かけるほどです。
そんな、ちょっと怖いイメージのセイタカアワダチソウですが、もともと分布している北アメリカでは観賞用や薬草として人々から親しまれ、アラバマ州やケンタッキー州などでは州の花にもなっています。
とはいえ、繁殖力の強い外来種が勢力を広げるとノアザミやハナタデ、キツネノマゴ、ヒヨドリバナといった在来種は生息場所を失い、花を咲かすことが難しくなってしまいます。これら在来種を守り、昔から続く里山の姿を維持するためには、外来種の勢力を人の手によって管理する必要があります。
セイタカアワダチソウなどは、地下茎や根に栄養を蓄えています。草刈り機で地上部の茎を刈ったとしてもまたすぐに生えてきてしまうので、手作業で根こそぎ引き抜くことが効果的です。
それを9~11月のこの時期に行うのは、花を咲かせているので種類を見分けやすくなっているから。しかも花を咲かせた後には種子をつけるので、種子をつける前のこの時期にこそ見つけて引き抜いておくことがとても大切です。
ハローウッズの広大な森で全てを除去することは難しいですが、地道に外来種の繁殖を管理することで在来種の生息場所を守っています。また、外来種を除去して日当りが良くなった場所では、ミツバツチグリやニガナなど日陰の地面で眠っていた在来種の種子が目を覚まし、新たに芽を出すこともあるんです。
※除草剤によって除去する方法もありますが、その種類によっては他の生物にも影響を与えてしまう可能性があります。そのためハローウッズでは除草剤を使用せず、手作業による手入れを行っています。
ハローウッズがある茂木の森はいくつもの山と谷が入り組んだ地形にあり、気候的には北方系植物の南限と南方系植物の北限にあたります。このように地形的・気候的に多様な環境も手伝って、環境モニタリング調査では約4,800種もの生き物が確認されています。
しかもそのなかにはゲンゴロウやタガメ、ハッチョウトンボ、キンランなど多くの貴重種が生息し、ツインリンクもてぎのすぐ近くを流れる「逆川」にはサケも遡上(そじょう)します。
これだけ様々な生き物が暮らす茂木の森ですが、このうちどれか一つが欠けても生態系のバランスは崩れてしまいます。ハローウッズでは、特にこの時期に積極的な草花の手入れを行い在来種を守り、茂木独自の豊かで貴重な生態系を守ることにつなげているのです。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへハローウッズのガキ大将「﨑野隆一郎」が、熱気球で冬の空へとご案内します。澄んだ空に浮かぶ気球から多様な生き物を育む茂木の森を見下ろしてみませんか?遥か先には太平洋や富士山を望むことができるかもしれませんよ。普段とは異なる視点で眺める美しい自然の姿を、のんびりと堪能しましょう。
開催日:12月14日(土)~15日(日)【1泊2日】
募集締め切り:12月1日(日)
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HondaWoods熊本は、Honda二輪車とパワープロダクツ製品の生産拠点である「熊本製作所」と、二輪車の開発を行う「ものづくりセンター」を取り囲む森。阿蘇山麓の豊かな自然環境を活かして整備されたこの森には色とりどりの花が咲き、様々な生き物たちが集まります。一般の方々もいつでも森に入って、遊歩道を散策したりベンチでくつろいだりしながら、のんびりと森の自然をお楽しみいただけます。
熊本県菊池郡大津町平川1500