これからの季節、霧が多く発生します。昼と夜の寒暖差が大きくなると、夜になって急激に冷やされた空気中の水分が細かな水滴となり、霧になるのです。こうして発生した霧は、実はこの時期の里山で大切な役割を果たしています。
秋は空気がサラッとして人間にとって過ごしやすい季節ですが、空気の湿度が低いので森の中は乾燥しがちになってしまいます。しかし、霧が乾いた森を水分でしっとりと包み込み、そこに住む動植物たちに潤いをもたらしてくれます。
霧によって森の地面に水分が補給されると、木々や草花が待ってましたとその水を吸い上げ、朝霧に濡れた草葉は草食動物や虫たちのごちそうになります。湿気を好むキノコも瑞々しく元気に育ってくれます。
そして、この霧を見た里山の人たちは「今年も、いい作物が獲れる」と期待に胸を膨らませました。
霧は、乾いた畑にも染み込んで土を豊かにし、作物の乾燥も防いで健やかに育ててくれます。しかも、霧が発生しているということは、昼夜の寒暖差が大きい証拠です。寒暖差は、作物に甘さのもととなるブドウ糖を多く蓄えさせ、野菜や果物をおいしく育ててくれるのです。
霧は、そこで暮らす人たちに健やかでおいしい作物が獲れる「実りの秋」を告げるサインでもあったのです。
霧は、里山の森や作物を育ててくれるだけではありません。見る人の心を癒す素晴らしい景色もつくり出してくれるのです。
みなさんは、霧がつくり出す「雲海(うんかい)」を見たことがありますか?
夜明け前の、空が白みはじめた頃。小高い山から低地を見下ろすと、一面に広がる霧の海。普段は人家や畑が続いているはずの平地は霧の海に沈み、その海に山々の頂上が島のように浮かびます。その光景は東の空が明るくなるにつれて遥か遠くまで見渡せるようになり、朝焼けの淡い光を反射して、まるで仙人や神様が住んでいる世界のよう。雲の上の天界にいるかのような気持ちにさせてくれる景色です。
雲海の素晴らしい景色は、山に囲まれた盆地のような場所に濃い霧が溜まることでつくられ、それはハローウッズでも見ることができるんです。
ハローウッズの近くには関東随一の清流・那珂川(なかがわ)とその支流の逆川(さかがわ)が流れていて、秋になると “川霧(かわぎり)”が発生します。
川霧とは川で発生する霧のことで、お風呂の湯気のように、冷たい空気が川の水面から蒸発する水分が水滴になったもの。この川霧が発生し、それが地上の霧と混じり合って濃い霧になったときが、雲海ができるタイミングです。
那珂川と逆川で発生した川霧が地上の霧と混じり合った濃い霧は、ツインリンクもてぎまで風に運ばれてきます。
風に乗った霧は、山と山の間を流れるようにしてツインリンクもてぎに迫ります。そして、一部の背の高い設備や山を除いて、ほとんどの設備がみるみるうちに霧に包まれ見えなくなってしまいます。
そんな時にハローウッズの森の高台に登ってツインリンクもてぎを見下ろしてみると、青空のもと真っ白な霧の海が広がり、ホテルツインリンクが建つ小高い山や、サーキットの向こうの山々が島のように浮かぶ見事な雲海を眺めることができるのです。
条件が整ったときにしか見ることのできない絶景――そんな貴重な景色、実際に見てみたいと思いませんか?
ツインリンクもてぎに雲海ができるのは、例年10月下旬から12月頃まで週に1~2回ほど。みなさんも、ホテルツインリンクに泊ったときなどは雲海を見られるかもしれません(通常、早朝はハローウッズに入場できません)。他にも雲海を見ることができる場所はテレビやインターネットでも多く紹介されていますが、盆地のような場所であれば日本各地で見ることができるはずです。
しかし、雲海を見られるかどうかは霧の発生にかかっているので、天気予報のチェックは欠かせません。もし前日の予報で「濃霧注意報」が出ていれば雲海が見られるチャンスです。さらに「放射冷却で冷え込む」や、雨上がりで「湿度が高い」、深夜から早朝にかけて「晴れ」「ほぼ無風」などのワードが聞こえたら、雲海に出会える可能性は更に高まります。
霧は太陽の熱で空気が暖まると消えてしまいますが、それまで日の出から数時間のうちは雲海を見ることができます。しかし、雲海が最も幻想的に見えるのは、まだ完全に夜が明けきらない日の出の前後です。季節・地形・気象条件・時間帯がうまく重なったときにだけ現れるあの絶景は、一度見たらきっと忘れられない思い出になるはずですよ。
今年の秋は、そんな雲海ウォッチングにチャレンジしてみませんか?
※夜明け前の移動は、ライトや上着などを準備しておきましょう。また、濃霧や凍結など道路状況にも注意しましょう。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
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2年をかけて色々な人たちが心を込めてつくり続けたツリーハウスがついに完成!このツリーハウスの周りでみんなで楽しく、焚き火をしながらキャンプをしませんか?山の尾根で宿泊するこのプログラムなら、雲海を見ることができるかもしれませんよ。
開催日:11月9日(土)~10日(日)【1泊2日】
募集締め切り:10月27日(日)
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研究所とテストコースからなる株式会社本田技術研究所(栃木)は、Honda四輪車の研究開発を行う重要拠点です。ここを取り囲む森は機密保持や防音などの役割を担いながらも、隣接する道路の桜並木との調和など周囲との景観バランスも考慮した整備が進められています。
栃木県芳賀郡芳賀町下高根沢4630番地