こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。木々の緑が濃くなり、森の中を歩いていても動物や爬虫類(はちゅうるい)、虫など、様々な生き物たちと出会える季節となりました。しかし、多くの動物がいるはずの森なのですが、その死骸(しがい)は不思議とあまり見かけることがありません。なぜだか、ご存知ですか? それは、森には“森の掃除屋さん”が住んでいるからです。
“森の掃除屋さん”とは、死んだ動物などを食べて森をキレイに掃除してくれる生き物のことで、主に昆虫たちがその役割を果たしています。
しかも、彼らが食べ残したものは微生物に分解されて肥料となり、植物たちの生長を助けます。そうして育った植物を色々な生き物が食べ、その生き物の死骸をまた彼らが食べて…。つまり、彼らが住んでいるからこそ、その森で生命が循環しているといえるのです。
みなさんがいつも遊んでいる森でも、きっと森の掃除屋さんが活躍しているはずです。
そんな森の掃除屋さんはどんな昆虫なのか、気になりますよね。しかし彼らは落ち葉などが多い森の地面を歩き回っていたり、地面に穴を掘って隠れたりしていて、運よく動物の死骸を見つけない限り、なかなか出会うことができません。
そこで今回は、彼らを捕まえるために簡単なワナを仕掛けてみることにしました。
まず紙コップを2つ用意し、1つの紙コップの底には直径5mmほどの小さな穴をいくつか開けておきます。
穴の空いていない紙コップに、エサとなるソーセージやハム、ベーコン、魚肉ソーセージなどを入れます。今回は、匂いが漂うように小さくちぎったソーセージを入れてみました。
動物に狙われにくいように、エサを入れた紙コップの上から穴の開いた紙コップを重ねれば、ワナの完成。これを土に埋めて落とし穴にします。
木の陰や茂みの近くなど、動物から見つかりにくい場所を選んだら、ワナが入る大きさの穴を掘ります。
堀った穴にワナを入れたら、入り口(紙コップの口)を枯葉などで隠します。こうしてフタをしておけば、中のエサが干乾びてしまうのも防ぐことができます。
ワナを仕掛けたら、あとは待つだけ。翌日、様子を見にいってみると…。大好きなお肉の匂いに誘われてワナにかかったのは、ゴミムシの仲間(左)とオサムシでした!
今回捕まえたゴミムシとオサムシは森の掃除屋さんとして有名で、どちらも同じ「オサムシ科」の昆虫です。肉食性が強くてどう猛なところも同じで、その多くは獲物を求めて森を歩き回り、ミミズや昆虫などを見つけると大きなアゴで襲い掛かって食べています。
ゴミムシもオサムシもこれだけお肉が大好きな昆虫ですから、死んだ動物の肉も喜んでお掃除してしまうのです。
今回はゴミムシとオサムシの2匹を捕まえることができましたが、まだまだ森の中にはたくさんの掃除屋さんが住んでいます。ワナの数を増やしたり、仕掛ける場所やエサの種類を変えたりしながら、みなさんの森はどんな種類の掃除屋さんが支えているのか調べてみてください。
虫を網で捕まえるのも楽しいですが、こうしてワナを仕掛けるのも気分がワクワクして楽しいですよ!
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへキャストと一緒にハローウッズの森へ出かけよう! 季節ごと、日ごとに変化するハローウッズの森。見つけた生きものをじっくり観察したり、手にとって触ってみたり、そこには不思議や発見があふれています。
ハローウッズ「森あそび」ページへ