


2026.09.30
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
今回紹介するウラギンシジミ(チョウ)の多くは、今ごろの秋の時期は幼虫で、冬になる前にサナギから成虫へと成長します。注目してほしいのは、この幼虫が危険を感じたときに見せる威嚇行動。とても面白い光景なので、ぜひ動画を観て確かめてください。きっと驚くこと間違いなしです。
ウラギンシジミは、チョウの中では小さな部類に入るシジミチョウの仲間です。翅(はね)を広げたときの左右の幅(開長:かいちょう)は、35~40mmほど。暖かい地方に分布していましたが、徐々に生息エリアが北上しており、近年は北海道を除くほぼ日本全国で確認されています。
ウラギンシジミ(オス)
ウラギンシジミ(メス)
ウラギンシジミのオスとメスは、翅の表側(翅を開いたときに上から見える側)の色で見分けることができます。翅の地色は、オス・メスともに茶色がかったグレーですが、これに鮮やかなオレンジ色の斑紋(はんもん)があるのがオス、白色または薄い青白色の斑紋があるのがメスです。
そして「ウラギン」の名前のとおり、翅の裏側(翅を閉じたときに見える側)は、オス・メスとも模様の無い美しい銀白色をしています。
ちなみに、ウラギンシジミのように翅の表と裏で色や模様が異なるチョウは、他にもたくさんいます。これは、飛ばずに止まっているときに見える翅の裏側は地味な保護色で、飛んでいるときに見える翅の表側は派手な警告色や求愛色になっている、チョウの生存戦略だと言われています。
ウラギンシジミの翅の裏側
ここからは、いよいよ今回の主題「ウラギンシジミの幼虫」のお話です。ウラギンシジミは年に2~3回産卵し、地域にもよりますが、秋と翌年の夏にサナギから羽化して成虫になります。
よって幼虫の姿を見ることができるのは、夏から秋にかけての時期ということになりますが、幼虫は食草に体色を合わせるように擬態するので、探すのがちょっと困難です。
ウラギンシジミの幼虫(左が頭で右のツノがある方がお尻)
紫色の花に擬態した幼虫
赤い花に擬態した幼虫
ウラギンシジミの幼虫は、「クズ」などマメ科の植物の葉や花を食べて育ちます。よって見つけるならまず「クズ」を探します。
クズは、河原や里山の路肩、空き地どこにでも存在します。そしてクズの花は8月~9月下旬に咲くので、この時期に花の周辺をじっくり探すと、ウラギンシジミの幼虫が見つかります。ポイントは花びらの穴。もし花びらに穴が開いていたら、それは幼虫が花を食べた痕なので、その周辺に幼虫がいる可能性が高いです。
クズ:クズはツル草で、他の植物の上に覆い被さるように生えます。
クズの花:ブドウのような、とてもいい匂いがして、多くの虫が集まります。
葉を食べている幼虫。頭部の先端から少しだけ出ているのが「顔」です。
ウラギンシジミの幼虫の見事な擬態には驚きますが、さらにびっくりするのは、危険を感じたときに見せる威嚇行動です。
チョウの幼虫の威嚇行動と言えば、アゲハチョウが臭角(しゅうかく)を出すことで有名ですが、ウラギンシジミの幼虫は、なんと花火のような、チアガールの持つポンポンのようなものを出して動かすのです。
幼虫のお尻に生えた2本の角から、線香花火のような、チアガールのポンポンのようなものを出して威嚇する幼虫の様子
これは専門的には「伸縮突起(しんしゅくとっき)」または「反転突起(はんてんとっき)」と呼ばれている器官で、普段は筒状のツノの中に折りたたまれて収納されています。しかし外部から刺激を受けて驚くと、体液の圧力を利用して毛の束を一瞬で外側にひっくり返すように突き出します。
幼虫のお尻を触って刺激してみます
幼虫はお尻の角から伸縮突起を出して威嚇行動をとります
外敵を脅かす、または追い払う意味でこうしたものを振り回すのだと思われますが、他にこんな変わった威嚇をする幼虫を見たことないので、ちょっと見入って、可愛く感じてしまいます。皆さんもチャンスがあればぜひ探して、この面白い威嚇を一度見てみてください。