2023.07.27
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
子どもたちにとって待望の夏休みがやってきました。夏休みと言えば人気の高いのが昆虫採集ですが、昆虫採集の王道は樹液に集まる虫を採ること。そこで今回は雑木林の樹液に集まる虫たちを動画で撮影することに成功しましたので、ぜひご覧ください。
樹液とは、木が虫などに穴を開けられたりして傷ついたときに傷口から出す液体のことです。傷口をふさいで保護し、傷が元通りに治る手助けをすると考えられています。ところが、この樹液をエサにしている昆虫たちがたくさんいます。樹液が出ているところにはそれらの虫たちが群がり、せっかく木は傷を治そうとしているにもかかわらず、かじられたり舐められたりして傷口はなかなか治りません。人間で言うと、かさぶたが剥がれるとなかなか傷が治らないのと同じです。
では、誰が木を傷つけ樹液が出るようになるのでしょうか? 雑木林の樹木の代表格であるコナラとクヌギを例にとると、クヌギの場合はボクトウガというガの幼虫が木の中から樹皮をかじり、穴を開けます。これは、樹液を好むハエの幼虫を捕食するために、わざと樹液を出してハエに産卵させるのです。なので、クヌギの木にボクトウガの幼虫が入っていれば、樹液の出る場所があるということです。そしてその樹液をスズメバチやクワガタのメスなどが見つけてかじったり舐めたりして傷口を広げ、さらにたくさんの樹液が出るようになるというわけです。
またコナラの場合は、カミキリムシ類が食木としているので、木の中に入っているカミキリムシの幼虫が食べかすや糞を出すために中から樹皮に穴を開けてしまい、そこから樹液が出てきます。
コナラやクヌギの若く細い枝では、メスのクワガタが樹皮をかじって傷つけて、出てくる樹液を舐めていることもあります。太い樹皮では歯が立ちませんが、若い枝ならかじって傷つけることができるのです。ちなみにオスは、アゴが長すぎて力がうまく掛けられないのでできません。
それでは最後に、ハローウッズで見つけた樹液に集まるいろんな虫たちをご紹介します。みなさんもこれを参考に、樹液の出ている木を見つけたらよく観察して、どんな虫たちが集まっているのか見てみてください。