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  • 2022.10.27

イノシシなど森の動物の骨格は、いろんなことを教えてくれます!

イノシシなど森の動物の骨格は、いろんなことを教えてくれます!
森の達人より
こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。皆さんは動物の骨を見たことがありますか? たとえば恐竜の骨格模型は博物館などで人気がありますが、動物の骨を喜んで見たいと思う人はそんなにいないようです。でも、動物の骨は動物を研究する学者たちにとって重要な研究材料です。骨を見ると、その動物たちの生態についてたくさんのことが分かります。今回はそんな動物の骨の面白さについてご紹介しましょう。
奥山 英治
日本野生生物研究所代表奥山 英治
モビリティリゾートもてぎの自然体験施設
「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズの森に住むさまざまな哺乳類

ハローウッズの森にはいろいろな種類の動物が生活しています。ニホンウサギ・ホンドタヌキ・ホンドキツネ・ニホンアナグマ・ハクビシン・ホンドテン・ニホンイタチ・ムササビ・アズマモグラ・アカネズミ・ヒメネズミ・カヤネズミ・ヒミズ・ニホンジネズミなど、哺乳類だけでも十数種類が確認できています。これほどたくさんの動物たちがいるにもかかわらず、私たち人間がその姿を見ることはほとんどありません。動物たちは人間と出会うことを避けて生活していますし、夜に行動する動物たちも多いからです。

●ハローウッズの森に住む動物たち(一部)

●ハローウッズでもっともよく遭遇する野生動物イノシシ
そんな動物たちの中で、ハローウッズの森でもっともよく遭遇する確率が高いのがイノシシです。イノシシも他の動物と同様、人目を避けて行動するので昼間はあまり姿を現さず、夜にエサを求めて森の中を歩き回っているようです。しかし、特に秋は大好物のドングリやカキなどの木の実が地面に落ちるので、昼間でもエサを求めて道路脇や人家の近くにやってくることがあり、目にする機会が増えます。また、実際の姿を見るばかりでなく、人家の庭先で木の実を食べ散らかした跡が残っていたり、お団子を無理やり押しつぶしたような特徴のあるうんちがどーん!と残されていたり、イノシシが行動したことを示す痕跡がたくさん見つかるのです。

ハローウッズには「哺乳類研究室」があり、ハローウッズの森に住む哺乳類動物たちを観察・調査した研究の成果を展示しています。その中にはイノシシの骨格標本があり、これを見ると、イノシシの生態や行動の特徴などが分かります。次の章では、イノシシの骨とそこに現れるイノシシの生態、特徴についてご紹介しましょう。

イノシシの骨格が教えてくれること

●イノシシの牙
イノシシは雑食で、ドングリ、タケノコ、山芋、昆虫、ミミズ、タニシ、カエル、ヘビなど何でも食べますが、主には草食で、土の中にあるエサを探す習性があります。鼻の頭を土に潜らせて、歩きながら匂いを嗅ぎ分けて食べ物があるとほじくって食べるのです。ハローウッズでは、よく土を掘り起こされる被害を受けているのですが、これは植物の根っこを食べているのだと思われます。その時イノシシは、下あごから上に向かって生えている牙を使って土を掘り起こしています。

このように、イノシシの牙は下から上に向かって生えている印象がありますが、骨格をよく見てみると、上あごから下に向かっても生えている牙もあるのが分かります。下あごの牙のほうが長いので、上あごの牙が目立たないのです。
下あごの牙は土を掘り起こしたり、敵を切り裂いて深い傷を負わせる武器になったりしますが、外からは目立たない上あごの牙も、重要な役割を果たしています。イノシシが口を開けたり閉めたりする際、上下の牙の面がこすり合い、上の牙が下の牙を削ってナイフのように鋭く研いでいるのです。
こうしたことは、生きているイノシシを観察するだけではよく分かりませんが、イノシシの頭の骨格をじっくり見てみると、その仕組みがよく理解できます。

●その他の歯

牙以外の歯も特徴的です。下の前歯はシャベルのように前に突き出ていて、牙と一緒に土を掘り起こすのに便利な形をしています。また奥歯の表面はデコボコで、土を掘り起こして口に入れた植物や小動物などのエサをすり潰して飲み込むのに適した形をしています。

●足の骨格

次に、足の作りを見てみましょう。人間とイノシシでは地面に着く足の本数が違います。4本の足で生活するイノシシたちは、重い体重を4本の足で支えて分散するので、早く走ることができます。また、人間は足の裏をべったり付けて生活していますが、イノシシは、かかとを浮かせてつま先で立って生活しています。これは、イノシシの骨格を見るとよく分かります。ちなみにイノシシ以外も、4本の足で立つ動物のほとんどは、この骨格を持っています。

ちょっと真似してみてください。つま先立ちだと安定も悪いし、時間が経つと疲れてフラフラしてしまいます。2本足の人間の骨の作りでは、4本足の動物の真似はできないということです。しかしイノシシは、つま先で立っているこの形によって、素早く逃げることと、獲物を追いかけることができるのです。逆に人間は、前足無しの後足2本だけで安定して立てるように、かかとまでべったり地面に着けるようになったと思われます。

●さいごに
普段、動物の骨を見つけたりすることはなかなか難しいと思いますが、博物館などの展示物で見かけた際は、人間の骨との違いや動物同士の骨の違いなどを見比べてみましょう。どうしてこの動物の骨はこんな形をしているのか、これによってどんな行動ができるのか、などと考えながら見ると、きっと楽しく観察できますよ。

モビリティリゾートもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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【SDGs】落ち葉プールでカブトムシの幼虫探しと棲み処つくり

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    ハローウッズではカブトムシの幼虫たちが過ごす環境として「落ち葉プール」を作っています。今回は落ち葉プールの手入れをしたり、そこで暮らす幼虫を見つけて観察をしたり、持ち帰って立派な成虫に育てられるよう飼い方の解説も行います。

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森の中にウォーキングコースが整備された、
「ものづくりセンターTE 開発インフラセクション」

栃木県高根沢町にある本田技研工業(株)の「ものづくりセンターTE 開発インフラセクション」には、従業員の健康増進のために整備した森の中のウォーキングコースがあり、初夏にプラム、盛夏にソルダム、秋には山栗など、季節ごとにさまざまな木の実が生り、従業員を楽しませます。

本田技研工業(株)ものづくりセンターTE 開発インフラセクション (旧:生産本部 栃木オフィス)
本田技研工業(株)
ものづくりセンターTE 開発インフラセクション (旧:生産本部 栃木オフィス)

栃木県芳賀郡芳賀町大字下高根沢2900

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