私たちが「キノコ」と聞いてまず思い浮かべるのは、スーパーの野菜売り場に並んでいるシイタケなどの食用キノコでしょう。野菜売り場にあるので植物だと思いがちですが、キノコは植物ではありません。カビなどと同じ菌類の仲間です。自分で光合成できないため、光合成によって生成される栄養分を他の植物にもらって生きています。シイタケなどキノコの多くが、土ではなく枯れ木や倒木などに生えているのはそのためです。
シイタケは、もともとシイの木の枯れ枝に多く発生していたことから「シイタケ」と呼ばれるようになったそうですが、それ以外にも、日本の里山の代表的な広葉樹であるクリやコナラにもよく付いて育ち、ハローウッズの森では春と秋の2回、クリやコナラの枯れ木に野生のキノコが発生しているのを見ることができます。
また、シイタケを栽培する場合は榾木(ほだぎ)と呼ばれる90cmほどの長さの伐採木にシイタケの種菌(たねきん)をつけて栽培する「原木栽培(げんぼくさいばい)」という方法がよく用いられますが、この榾木にもクリやコナラの木が使われています。ちなみにハローウッズのある茂木町でもシイタケは多く栽培されており、町の特産物になっています。
子実体で作られた胞子は、風に乗って飛ばされたり、動物の体にくっついて運ばれたりして、最終的にどこかの倒木や枯れ枝に行き着いて発芽します。つまり子実体は植物の花や果実にあたり、胞子が種にあたると言えます。
胞子が枯れ木や落葉のあるところに落ちると、そこで発芽して菌糸を伸ばします。木材を分解しながら中へ中へとはびこっていき、2~3年で子実体を出して胞子を作るようになります。子実体は1~2週間もするといろいろな雑菌や昆虫などによって分解され腐ってしまいますが、菌糸体はずっと生き残り、その後何年も子実体を出し続けるのです。
キノコは本体である菌糸体が土や木の中に伸びて栄養分を摂取しますが、その接種方法の違いによって大きく「腐生菌(ふせいきん)」と「共生菌(きょうせいきん)」に分けられます。
腐生菌は、枯れ木や生物の死骸など生きていないものの有機物を栄養源として生活する菌です。
シイタケは腐生菌で、強風や雪崩などで倒れ、その後枯れ死した樹木を分解して栄養源にしており、森の生態系の中で木材成分を土壌に還元する役割を担っています。
一方、共生菌は他の生物と一体となって共同生活する菌のことで、共生菌のキノコはさらに、生きた動植物や他の菌類に寄生して宿主から養分を吸収する「寄生菌(きせいきん)」と、植物の根と共生してお互いに栄養を交換し合って生活する「菌根菌(きんこんきん)」に分類することができます。
寄生菌のキノコには、生きた樹木に寄生して生えるナラタケや、生きた昆虫に寄生して生える冬虫夏草(とうちゅうかそう)などがあり、寄生された宿主はやがて死んでしまします。これら寄生菌は、生態系において寄生する生きものの数が増えすぎないようにバランスを保つ役割を持っていると言われています。
他の県ではほとんど見向きもされないのに、ハローウッズのある栃木県だけで絶大な人気を誇るキノコがあります。それが「チタケ」です。正確には「チチタケ」と言い、クリやコナラ、ミズナラなどの樹木と共生する菌根菌のキノコなのですが、栃木県ではこれと近縁種を併せて「チタケ」と呼び、炒めたナスとチタケをつゆに用いる「ちたけそば」は、栃木県の代表的な郷土料理として親しまれています。
栃木県の大半を占める平野に生活する農民が、腐葉土や薪炭つくりに利用する里山で夏から秋に出る「チタケ」は、同時期にでるナスと一緒にうどんやそばの汁などに大いに利用できることから、かつては鍋を火にかけたまま裏山でチタケを採り、そのままうどん汁にしたと言われています。
※注意:キノコには毒を持つ種類も多く存在し、食用キノコと間違えて毒のあるキノコを採取して事故になるケースも報告されています。また、毒のあるキノコの中には触るだけで皮膚がただれる種類もありますので、野生のキノコを観察したり採取する場合は必ず専門家と同行するようにしましょう。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへハローウッズではカブトムシの幼虫たちが過ごす環境として「落ち葉プール」を作っています。今回は落ち葉プールの手入れをしたり、そこで暮らす幼虫を見つけて観察をしたり、持ち帰って立派な成虫に育てられるよう飼い方の解説も行います。
落ち葉プールでカブトムシの幼虫探しと棲み処つくりのページへ本田技研工業(株)の本社、青山ビルの周りには、都会の真ん中だからこそ通りゆく人々に四季折々に咲く花々、巣箱から顔を出す野鳥たちの姿を楽しんでいただきたいと、ささやかながら育てられた「緑」があります。それが「HondaWoods青山」です。
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