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  • 2022.09.29

秋に出てくる森のキノコと植物たちの関係を知ろう!

秋に出てくる森のキノコと植物たちの関係を知ろう!
森の達人より
こんにちは!「モビリティリゾートもてぎ」にある自然体験施設「ハローウッズ」のキャストリーダー和田です。秋は美味しいキノコが出る季節。全国各地の森の中では、マツタケ、シイタケ、シメジ、マイタケ、ナメコなど、食用になるキノコだけでも形や色が様々な種類のキノコを見ることができます。そこで今回は、森のキノコと森の植物たちとの関係についてご紹介します。
和田 誠
ハローウッズ
キャストリーダー和田 誠
モビリティリゾートもてぎの自然体験施設
「ハローウッズ」へ行ってみよう!

キノコの生長と繁殖の仕組み

私たちが「キノコ」と聞いてまず思い浮かべるのは、スーパーの野菜売り場に並んでいるシイタケなどの食用キノコでしょう。野菜売り場にあるので植物だと思いがちですが、キノコは植物ではありません。カビなどと同じ菌類の仲間です。自分で光合成できないため、光合成によって生成される栄養分を他の植物にもらって生きています。シイタケなどキノコの多くが、土ではなく枯れ木や倒木などに生えているのはそのためです。

シイタケは、もともとシイの木の枯れ枝に多く発生していたことから「シイタケ」と呼ばれるようになったそうですが、それ以外にも、日本の里山の代表的な広葉樹であるクリやコナラにもよく付いて育ち、ハローウッズの森では春と秋の2回、クリやコナラの枯れ木に野生のキノコが発生しているのを見ることができます。

また、シイタケを栽培する場合は榾木(ほだぎ)と呼ばれる90cmほどの長さの伐採木にシイタケの種菌(たねきん)をつけて栽培する「原木栽培(げんぼくさいばい)」という方法がよく用いられますが、この榾木にもクリやコナラの木が使われています。ちなみにハローウッズのある茂木町でもシイタケは多く栽培されており、町の特産物になっています。

●キノコの本体「菌糸体」
キノコの傘と柄の部分を「子実体(しじつたい)」と言います。キノコと聞いて誰もが思い浮かべるのが子実体の部分ですが、実はこれはキノコの本体ではありません。本体は子実体の下の部分、いつもは土や枯れ枝の中に隠れている「菌糸体(きんしたい)」と呼ばれる部分です。菌糸体は菌糸の集合体で、植物でいうと葉や茎、根にあたり、普段は菌糸を木や土の中に伸ばして成長し、ある時期(シイタケなら春と秋)になると子実体を形成して胞子を作ります。

子実体で作られた胞子は、風に乗って飛ばされたり、動物の体にくっついて運ばれたりして、最終的にどこかの倒木や枯れ枝に行き着いて発芽します。つまり子実体は植物の花や果実にあたり、胞子が種にあたると言えます。
胞子が枯れ木や落葉のあるところに落ちると、そこで発芽して菌糸を伸ばします。木材を分解しながら中へ中へとはびこっていき、2~3年で子実体を出して胞子を作るようになります。子実体は1~2週間もするといろいろな雑菌や昆虫などによって分解され腐ってしまいますが、菌糸体はずっと生き残り、その後何年も子実体を出し続けるのです。

栄養分の摂取方法によるキノコの違い

キノコは本体である菌糸体が土や木の中に伸びて栄養分を摂取しますが、その接種方法の違いによって大きく「腐生菌(ふせいきん)」と「共生菌(きょうせいきん)」に分けられます。

腐生菌は、枯れ木や生物の死骸など生きていないものの有機物を栄養源として生活する菌です。
シイタケは腐生菌で、強風や雪崩などで倒れ、その後枯れ死した樹木を分解して栄養源にしており、森の生態系の中で木材成分を土壌に還元する役割を担っています。

一方、共生菌は他の生物と一体となって共同生活する菌のことで、共生菌のキノコはさらに、生きた動植物や他の菌類に寄生して宿主から養分を吸収する「寄生菌(きせいきん)」と、植物の根と共生してお互いに栄養を交換し合って生活する「菌根菌(きんこんきん)」に分類することができます。

寄生菌のキノコには、生きた樹木に寄生して生えるナラタケや、生きた昆虫に寄生して生える冬虫夏草(とうちゅうかそう)などがあり、寄生された宿主はやがて死んでしまします。これら寄生菌は、生態系において寄生する生きものの数が増えすぎないようにバランスを保つ役割を持っていると言われています。

●樹木と菌根菌の共生関係
樹木をはじめとする植物のほとんどは、菌根菌と共生しています。根から水分や栄養分を吸収する際に、菌根菌の助けを借りているのです。植物の根の表面や内部には水分や栄養分の吸収を助ける菌根菌の菌糸が張りめぐらされて層をつくっており、この菌糸と根は一体となって吸収などの機能を果たすため、これを「菌根(きんこん)」と呼んでいます。
菌糸は植物の根よりずっと細く長く、植物の根が侵入できない土壌の狭い隙間にも侵入できるので、植物は土壌中の窒素、リン酸、カリウムなどの無機養分や水分などを効率的に吸収することができます。また病原体への抵抗力を高め、植物の定着を助けている側面もあります。こうして菌根菌は植物の生長を助けますが、その見返りとしてデンプンなどの光合成産物を植物からもらって共生しているのです。
菌根菌には、食材として使われるマツタケ、シメジ、トリュフ、タマゴダケなどがあります。これらは一見、土から生えているように見えますが、実は土の中で植物の根と共生しているのです。

栃木県で大人気の食用キノコ「チタケ」

他の県ではほとんど見向きもされないのに、ハローウッズのある栃木県だけで絶大な人気を誇るキノコがあります。それが「チタケ」です。正確には「チチタケ」と言い、クリやコナラ、ミズナラなどの樹木と共生する菌根菌のキノコなのですが、栃木県ではこれと近縁種を併せて「チタケ」と呼び、炒めたナスとチタケをつゆに用いる「ちたけそば」は、栃木県の代表的な郷土料理として親しまれています。

栃木県の大半を占める平野に生活する農民が、腐葉土や薪炭つくりに利用する里山で夏から秋に出る「チタケ」は、同時期にでるナスと一緒にうどんやそばの汁などに大いに利用できることから、かつては鍋を火にかけたまま裏山でチタケを採り、そのままうどん汁にしたと言われています。

●栃木県の森林とキノコ
従来、栃木は森林の種類や分布の多様さに呼応してキノコが非常に豊かな地域でした。ハローウッズのある茂木町でも、以前はコナラ、クヌギ、クリ、アカマツの混交林が広がり、人々がその里山で日常的に活動し、キノコ狩りなどの行事が親しまれた地域でした。
しかし戦後は急速にスギ、ヒノキなどの植林が進み、また化学肥料の普及による落葉堆肥利用の減少や農林業の不振と過疎化・高齢化の進展、更には後継者不足などにより山林の維持管理に手が回らず荒廃が驚くほど進んでキノコが減っています。
森の中の1本1本の樹木を活き活きと再生することで、多くのキノコも育つことができます。森の手入れによって混交林も針葉樹林も適正に管理・育成していくことがキノコと森にとっても重要です。

※注意:キノコには毒を持つ種類も多く存在し、食用キノコと間違えて毒のあるキノコを採取して事故になるケースも報告されています。また、毒のあるキノコの中には触るだけで皮膚がただれる種類もありますので、野生のキノコを観察したり採取する場合は必ず専門家と同行するようにしましょう。

モビリティリゾートもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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【SDGs】落ち葉プールでカブトムシの幼虫探しと棲み処つくり

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