前回の「木炭について学ぼう!」では、森の枯れ木や枯れ枝、間伐材を使って「木炭」をつくることで森の恵みを無駄なく活用する方法をご紹介しました。
でも、里山の暮らしの知恵はそれだけではないんです。森の落ち葉や枯草、雑草なども上手に活用して暮らしに役立てています。それが「腐葉土づくり」です。
戦後に植林された杉の森はともかく、ブナやコナラなどが生い茂る昔ながらの日本の里山では、冬になると森一面を落ち葉が多い尽くします。その落ち葉を集めて、囲いをつくって貯めておくと「腐葉土」ができます。腐葉土とは文字通り「葉っぱが腐ってできた土」のことで、田んぼや畑の土に混ぜることで、保水や排水、通気性を高めるほか、微生物などの活動を促して土壌環境を良くする働きがあり、農作物をつくるうえで質の良い土壌改良材として使われています。
腐葉土は作物を育てるのに適した土壌をつくる材料ですが、作物が本当にすくすくと育つためには、作物の葉や茎、花、実の元となる「窒素・リン酸・カリウム」が土壌の中に含まれている必要があります。これらを作物に与えるのが堆肥・肥料です。
堆肥・肥料の元になるものの一つが、動物の糞尿です。昔は多くの農家が耕作用の牛や馬を飼っていましたので、貯めておいた落ち葉を定期的に畜舎に運び入れて牛や馬に踏ませて腐葉土をつくり、さらに牛や馬の糞尿と混ぜることで、それが良い堆肥の素になっていました。毎日落ち葉を入れると2~3週間で畜舎の床いっぱいになるので、それを取りだして発酵させて堆肥を作っていたんです。
しかし昭和50年頃には、トラクターや耕運機などが普及して農家が家畜を飼わなくなりました。そこで落ち葉に人糞尿を何回かかけて発酵させたようですが、牛や馬の糞尿からできる堆肥ほど良い品質にはならなかったようで、鶏糞を入れて発酵させる方法も誕生しました。
さらに時代が進んだ現在では、化学肥料の普及とともに落ち葉で堆肥を作る農家は減少しています。でも、私たちハローウッズをはじめ昔ながらの里山を大切にしたいと願う茂木町の農家では、クヌギ・コナラ林の保全という意味も含めて、良質な堆肥づくりの原料として今でも落ち葉を利用した腐葉土、堆肥づくりを行なっています。
落ち葉を使った腐葉土や堆肥が出来上がったら、それを田んぼや畑の土に与えてあげる必要がありますが、当然ながらそれを行なうのは作物を植える前が一番効果的だと言えます。
田んぼの場合、田植えの前に土を細かく砕き、かき混ぜて田んぼの表面を平らにする「代掻き」を行ないますが、その代掻きのタイミングで腐葉土や堆肥を土に与えます。昔は田んぼの周りに生える草や木の若葉も採取して、腐葉土や堆肥と一緒に人力や牛馬に踏ませて田に鋤きこんでいたそうです。これを「刈敷」と言い、茂木では「ぼっぱこき」と呼ばれています。
今では化成肥料が多く使われていますが、それらが無かった時代には、少しでも栄養分豊かな土になるように、という願いを込めて行なわれていた作業です。
また畑でも、草が生えたら刈り取って細かく砕き、その場で畑に施せば運搬や労力の手間もかけずに、肥沃な畑ができます。春から秋に生える草や新芽、冬は落ち葉や枯れ草。森の資源を無駄なく活用して、美味しい作物がつくられているんです。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへハッチョウトンボの棚田ですべて手作業で田植え体験をします。棚田の生きもの探しや柴刈りを行い、火を起こして羽釜でのご飯炊きなど今ではどこか懐かしい体験が盛りだくさん。収穫した新米は、参加者の皆さんに特典としてプレゼント。里山の豊かな自然に包まれながら楽しみましょう。
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埼玉県にある寄居完成車工場にはHondaWoods埼玉と呼ばれる里山の森があり、そこにはビオトープが整備され、水田も作られています。例年、地域共生の一環として近隣小学校の生徒や寄居町役場の方々、Honda従業員家族が田植えや稲刈り体験を行ない、収穫したお米を参加者たちにお送りしています。
埼玉県大里郡寄居町富田2354
TEL:048-577-2100(代表)