ハローウッズの森は、「ハッチョウトンボの棚田」の回でご紹介したようにコナラやクヌギなどドングリの樹が多く生える森で、昔から人々が薪や炭をとり、シイタケを栽培してきた里山です。
コナラ
クヌギ
ツインリンクもてぎのハローウッズがオープンしたのは2000年夏ですが、オープンに至るまでの森の作業は大変でした。周辺地域の過疎化や高齢化の影響もあり、人が木を伐り、草を刈るなど手を入れて維持されてきた里山の姿はなく、高さ2~3mのズマネザサが密生して地表を覆い、クズやフジなどのつる性の植物が樹冠を覆って、暗くうっそうとした森となっていたからです。
ハローウッズがオープンする前、手入れされず暗くうっそうとしていた森。
こうなってしまうと、地面には太陽の光が届かず、風も抜けません。背丈の低い山野草は花を咲かせることができず、落ちた木の実なども芽を出し育つことが難しい環境でした。
すっぽりと薮に飲み込まれたような状態だった、手入れ前のアリンコ坂。
森全体を覆うアズマネザサを除けながら、遊歩道のルートを検討しました。
このような状況から、昔ながらの美しく生命(いのち)あふれる里山の風景を取り戻そうということでハローウッズの森づくりがスタート。間伐を行い、アズマネザサを丹念に刈り払い、陽が差し風の抜ける里山の森をよみがえらせました。
間伐と下草刈りにより、陽の光が地面に届くようになったハローウッズの森。
春から夏、緑が萌えて森に生命が満ち溢れます。
刈り払い後、間伐材のチップを撒き、歩きやすく整備された遊歩道。
手入れ後のアリンコ坂。いたるところで森の息吹を観察できます。
伐採や下刈りなど、森の手入れによって森の中に開けた空間ができると、土の中に埋もれて眠っていたタネ、風に乗って飛んできたタネ、動物にくっついてきたタネなどから四季折々に多くの植物が芽を出し、花を咲かせるようになります。
明るい空間が生まれた伐採エリア。
地表では切り株から芽吹き、野草が花を咲かせます。
植物は実に様々な方法でタネを散布し、子孫を残そうとします。ハローウッズの森で見つけた様々なタネの散布方法をご紹介しましょう。
風で運ばれるタネ
フワフワの毛がついたガガイモのタネ
羽代わりの小さな葉っぱつきのケヤキのタネ
動物やヒトにひっついて運ばれるタネ
とげとげのコセンダングサのタネ
どうぶつの体に触れるとこんな風にくっつく
野鳥や動物に食べられて運ばれるタネ
ムラサキシキブの実
ムラサキシキブの実を食べるウソ
ミツバアケビの実
ヤマザクラの実がたくさん入っている動物のフン
クヌギやコナラのどんぐり
どんぐりは丸くて固いカラを持っているので、落ちた勢いで斜面をコロコロ転がったり、アカネズミやカケスなどが冬の間の食べ物としてくわえ集めて地中や木の根本などに運び、食べ残されたりすることであちこちに広がります。
コナラのどんぐりをくわえたカケス。
時には枯れた枝の小さな穴に隠すこともあります。
他にもはじけて飛ばしたり、水の力を利用したり…。地面に根を張り動き回ることができない植物は、他の生きものたちとのつながり、自然の力を上手に使ってタネを拡散することで、自然豊かな森をつくってくれます。
ハローウッズの森には、わざとアズマネザサやススキなどの薮を残している場所があります。
そんな環境が好きな生きものたちのためであり、動物たちが逃げこんで隠れる場所にもなるからです。草原、森、水辺、棚田、明るいところ、暗いところ、いろんな環境があることで多くの動植物が暮らすことができるのです。
アズマネザサの生い茂る森。
ススキの薮。
ササ薮を利用したウリンボ迷路。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへキャストと一緒にハローウッズの森へ出かけよう! 季節ごと、日ごとに変化するハローウッズの森。見つけた生きものをじっくり観察したり、手にとって触ってみたり、そこには不思議や発見があふれています。
ハローウッズ「森あそび」ページへ栃木県高根沢町のHonda生産本部 栃木オフィスには、従業員の健康増進のために整備した森の中のウォーキングコースがあり、初夏にプラム、盛夏にソルダム、秋には山栗など、季節ごとにさまざまな木の実が生り、従業員を楽しませます。
栃木県塩谷郡高根沢町上高根沢2900