


2026.04.22
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
本格的な春がやってきて、野山にたくさんの花が咲き始めました。その蜜を求めてミツバチたちも飛び回っていますが、ミツバチは花の蜜だけでなく花粉も集めているってご存じですか? 彼らにとってハチミツが主食なら、花粉はおかずに当たります。今回は、花粉を後ろ足に集めて巣に持ち帰るミツバチの様子が撮影できたので、早速ご紹介しましょう。
春の花の代表といえばウメやサクラ、そして菜の花やタンポポなど。川沿いの土手や郊外の空き地に群生する菜の花を見ると、春の訪れを実感します。そして、そんな菜の花が咲き乱れるのを待っていたかのように姿を見せるのがミツバチです。今回はミツバチが蜜を集める様子を動画に収めるために、里山に行ってカメラを回しました。
蜜を集めるミツバチには何種類かありますが、今回撮影したのは日本の野山に古くから生息している野生のニホンミツバチです。明治以降、外国から養蜂のために輸入されたセイヨウミツバチに押されてぐっと数を減らしたニホンミツバチですが、近年、里山に巣箱を設置して保護育成を図る場所が増え、ニホンミツバチを目にする機会が増えた気がします。
外見的には、全体的に黒っぽく小ぶりな体格なのがニホンミツバチで、大柄で黄色く鮮やかな印象なのがセイヨウミツバチです。ちなみに、ニホンミツバチは様々な花の間を飛び回って様々な花の蜜を集めますが、セイヨウミツバチは一度ある花の蜜を集めはじめるとその種類ばかりをひたすら集める性質があります。
全体的に黒っぽくやや小ぶりな体のニホンミツバチ
大柄で黄色い体のセイヨウミツバチ
赤丸部分が「花粉団子」
ミツバチの後ろ足。左が表側で右が裏側
花の間を飛び回るミツバチをよく見ると、不思議なことに気がつきます。彼らの後ろ足には、必ずと言っていいほど「黄色い塊」が付いているのです。これは花粉団子といって、花粉と蜜を混ぜ合わせて丸めたもの。彼らはハチミツを集めて体内に溜めて巣に持ち帰りますが、同時に花粉団子も持ち帰って、仲間たち・子どもたちに食べさせます。ハチミツは糖が主体で彼らにとってエネルギー源となる主食ですが、花粉はタンパク質が豊富で、彼らにとっておかずに当たる食べものなのです。
彼らの後ろ足を調べてみると、なるほど、花粉が落ちないようにたくさんの毛で覆われています。この毛の中に花粉を付けていたのです。
先の章でご紹介したように、セイヨウミツバチは決まった一種類の花の蜜だけを集める性質がありますが、ニホンミツバチは様々な種類の花の蜜を集めます。なので巣箱の前にカメラをセットして帰ってくるハチを観察すると、ハチによって色の違う花粉団子を持ち帰ってくることが分かります。花の種類で花粉団子の色が違うのです。
こうして巣に集まった蜜と花粉団子は、彼らの食事になったり巣の材料になったりしますが、私たち人間も養蜂家さんを通じてその一部を「ハチミツ」としていただくことができます。ニホンミツバチのハチミツは複数の花の蜜がブレンドされて花粉も多く含んでいるため、セイヨウミツバチのハチミツに比べて濃厚で、熟成されたような独特の味わいがあり、一度その味を覚えると忘れられません。しかし残念なことに、採れる量が非常に少ないため、あまり市場に流通していないのが実情です。
今後、ニホンミツバチの数が増えてもっと多くのハチミツが手に入るようになるよう、私たちも彼らの生活環境である里地里山の自然を守り育てていくことに力を注いでいきたいと思います。