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2025.08.27

驚異の飛行能力の持ち主である日本最大のトンボ
「オニヤンマ」の飛行シーンをスーパースローで撮影

奥山 英治 奥山 英治

ハローウッズ キャスト

奥山 英治

毎日暑い日が続く今年の夏、いかがお過ごしでしょうか? 今年は例年になく全国的に暑く、危険な暑さとまで言われ、虫取りシーズンなのに虫大好き少年少女には困った暑さでもあります。朝や夕方の涼しい時間帯に熱中症対策をして、無理のない昆虫採集を楽しんでもらいたいものです。

日本最大のトンボ「オニヤンマ」

今回は、夏から秋にかけて優雅に飛び回るトンボ界の王様、オニヤンマの飛行シーンを動画に収めました。知れば知るほど不思議な飛行能力の持ち主であるオニヤンマを、スーパースローの動画でじっくり観察してみましょう。

オニヤンマは、トンボの中では日本で一番大きな種類です。頭部から腹の先端まで(体長)は、オスが90~100mm、メスが100~110mm程度で、メスのほうがオスより若干大きくなります。オスは腹部の先端が二股に分かれており、メスは腹部の先端に産卵弁があって長く伸びています。

成虫は肉食で、ガ、ハエ、アブ、ハチなどの虫を空中で捕まえて食べます。これらの虫たちにとってオニヤンマは天敵なので、その姿を見ればスズメバチも逃げていくほど。そういうところから「最強の昆虫」と呼ばれたりしています。北海道から沖縄までの広い地域に分布し、昆虫少年少女からの人気も高く、一度は捕まえたいトンボの一つと言えます。

飛行の達人オニヤンマの飛行シーンをスーパースローで撮影!

他の虫を空中で捕食するために、オニヤンマは非常に優れた飛行能力を持っています。スピードを出せば時速70km以上で飛ぶことができ、逆に空中で静止するホバリングも可能。極めつけはトンボの仲間では唯一バックして飛ぶこともできます。

●オニヤンマの飛行シーンその①

この記事の冒頭に掲載した動画です。オニヤンマが普通に前に飛ぶ様子を撮影した動画ですが、スローでよく見ると、羽ばたく回数が非常に少ないのがわかります。軽く羽ばたいた後は翅(はね)を止めて滑空し、またしばらくしたら羽ばたく。これを繰り返して飛んでいます。体の軽さや翅の作りがこんな飛行を可能にしているのです。

●オニヤンマの飛行シーンその②

次は、オニヤンマがホバリング(空中で静止する飛び方)している様子を撮影したものです。

ホバリングする虫はほかにもいますが、トンボの仲間、特にオニヤンマのホバリング継続時間は群を抜いています。これは、翅の使い方に理由があります。

例えば、チョウの仲間は前翅(ぜんし)と後翅(こうし)をくっつけるようにして羽ばたくので、4枚の翅が2枚の大きな翅になって飛ぶ形になっています。それに比べてオニヤンマは、4枚の翅をバラバラに動かすことができるので、非常に複雑な姿勢制御が可能なのです。

また、翅の構造にも秘密があります。オニヤンマの翅には線状の筋のようなものが何本も入っていて表面に多数の突起物があり、これが渦を発生させて安定した浮力を生み出すことで、少ない風でも効率的に飛ぶことを可能にしていると言われています。

●オニヤンマの飛行シーンその③

「飛行シーンその③」では、ホバリングしながら上下前後左右に細かく行き先を制御しているのが分かります。この、オニヤンマをはじめとする虫たちの飛行方法、姿勢制御の方法は、昔から研究者たちがその原理や構造を解き明かそうとしてきましたが、まだまだ謎の部分が多い分野だそうです。つまり、どうしてオニヤンマがあんなに巧く飛ぶことができるのか、人間にもまだその理由がはっきりとはわかっていないのです。

縄張りを見つけてそこで待つのがオニヤンマ観察のコツ

オニヤンマのオスは縄張りを持っていてその中をぐるぐる飛行しているので、見つけた場所で待っていればまた飛んできます。観察していると、目の前に現れる飛んでくる虫を追いかけたり、攻撃を仕掛けたりするシーンを見ることができます。まずは、里山の林道や畑・人家の近くなどで巡回しているオニヤンマを探してみましょう。

この「森に行こうよ!」では以前、昔から伝わるオニヤンマの捕まえ方も紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

> オニヤンマの習性、教えます!

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