


2025.07.29
ハローウッズ キャスト
奥山 英治
本格的な夏がやってきました。例年よりも少し早いような気がしますが、暑さの盛り上がりと共に虫たちも活発に活動を始めています。ここハローウッズの森では、その美しさから毎年お客さんを喜ばせてくれる虫が今年も姿を見せ始めました。それは、森の宝石と呼ばれるタマムシです。
「玉虫色」という言葉があるように、日本では古くから美しい虫の代表格として親しまれてきたタマムシ。近年はめっきりその姿を見る機会が減っていますが、幸いなことにここハローウッズの森では毎年多くのタマムシの姿を見ることができます。
そこで今回は、ハローウッズの森に現れたタマムシの飛行シーンを動画で撮影し、皆さんに披露することにしました。冒頭に掲載した動画は、草の上にとまったタマムシが翅を広げて飛び立つ様子を捉えたものです。美しい前翅(ぜんし)※1 をゆっくり開くと、後翅(こうし)※2 をブーンと羽ばたかせて浮かび上がり、縦の姿勢でゆらゆら飛んでいく様子がしっかり映っています。また飛び立った後も比較的低い位置を飛んでくれたおかげで、後ろから追いかけて長い時間飛行シーンを撮影することができました。
タマムシは、夏にエノキやケヤキ、サクラなどの朽木に卵を産み付け、幼虫はその朽木を食べて約2年ほどかけて成長しますが、近年はそうした環境が全国的に減っていることが、タマムシの姿を見る機会が減ってきた原因です。そんな中、ハローウッズの森にはタマムシが卵を産み付けることができるコナラやサクラの薪があっちこっちに並べてあり、タマムシが産卵しやすい環境が整っています。これがハローウッズにタマムシが多い理由の一つです。
次の動画は、タマムシのメスが産卵するために積んである薪のところへ飛んできたシーンを撮影した動画です。森のほうから飛んできた姿を見つけて撮影しながら追いかけ、薪にとまるまでを捉えました。
ちなみにタマムシのオスとメスは外見ではほとんど見分けがつきません。唯一違うのはお尻の先端部分で、オスはお尻に交尾器を出す部分があり、メスにはそれが無く自然な丸い形をしています。
タマムシのオスとメスの違い
メスが産卵官を出したところ
成虫になったタマムシの寿命は1カ月ほどしかありません。その活動時期は7月から8月にかけてなので、まさに今が活発に活動する期間です。タマムシの成虫はエノキやケヤキの葉っぱを食べますが、ハローウッズの森にはこれらの樹木が多く生えていることも、ハローウッズでタマムシを多く見ることができる理由になっています。
この短い活動期間に、オスはエノキやケヤキの周りを飛び回り、メスを見つけてカップルになろうとします。メスの翅が激しく光り輝くと、それを目掛けてオスが飛んでいくのです。これは我々人間には見えない紫外線を通した見え方で、オスのタマムシには太陽を反射したメスの翅がくっきりと見えているようです。なのでこの時期タマムシを探すのであれば、とても暑い太陽がギラギラしてる日に、ケヤキやエノキの下で待ち構えます。次の動画はそうやってメスを探して飛び回るオスの姿を捉えたものです。
タマムシのように朽木や薪などに産卵する虫は非常に多く、人間が生活の中で薪を使っていた時代は、里山でそうした虫たちを当たり前のように目にしました。しかし現在はそんな環境がめっきり減ってしまったのは残念なことです。しかしハローウッズの森のような場所を探せば、まだまだタマムシの美しい姿を目撃することができます。皆さんもこの夏、タマムシ探しにチャレンジしてみてはいかがでしょう?
タマムシの美しさは、日の光が強い場所ほど際立ちます。
優しく手に取っていろいろな角度からじっくり観察してみましょう。