まだ寒いこの時期に、田んぼでは春が始まろうとしています。一体、田んぼでの春一番に動き出す生き物とは何か想像つきますか? 関東地方では、ほぼ2月後半から動き出す生き物、それはアカガエルです。里山を代表するカエルで、田んぼやその周辺の水たまりに産卵しにやってきます。暖かい日に、田んぼに出かけて観察してみましょう。
アカガエルの繁殖は、雨をきっかけに冬眠から目ざめたオスたちが起きてきて、田んぼの水たまりや湿地などで、メスを呼ぶため鳴き始めます。日中から夜にかけて、「キャララ・キャララ」と鳴き始めます。いい場所だと、何匹ものオスが集まり鳴き始めカエルの合唱になります。そこへメスが現れオスがメスに乗っかるように抱きしめ産卵へとなるのですが、 この時、オスたちは我先にとメスに襲いかかるように飛びつきます。メスの取り合いになります。また、繁殖期のオスのカエルは、動くものであれば手当たりしだいに飛びかかります。オスがオスに抱きつくことはめずらしくありません。そのために、オスはオスに抱きつかれた時に、クックックッと「離してくれ俺はオスじゃ!」という意味で、リリースコールを発します。この行動は、他のカエルでもよくあることです。
無事にカップルになったアカガエルは、オスがメスに産卵をうながしながら産卵行動に入ります。カエルの場合、メスが卵をお尻から出すとオスがそれに精子をかけ受精します。産みたての卵はまだふくらんでおらず、黒いつぶつぶ状です。田んぼや水たまりでは、同じ場所で固まって産卵することが多く、環境がいいと産卵ピークにはたくさんの卵が見つかります。
1匹のアカガエルのメスは、一回に800~2,000粒の卵を産みます。ここから産卵できるように育つカエルはほんの一握り。メスの数にもよりますが里山ではこのアカガエルが様々な生き物の餌となり、里山に住む生き物の支えとなっています。このアカガエルがいなければ里山に生き物が存在しないと言っても大げさではありません。
カエルは、卵から大人になるまで様々な生き物の餌として襲われていきます。この中から卵を産めるようになるまで生き延びるのはほんの一握りです。しかし、エサになることでいろいろな生き物を支えています。里山ではカエルは重要な生き物なのです。
上の写真にはカエルが2匹写っています。この2匹は種類の違うアカガエルです。両方とも目の下から皮膚が線状にお尻まで伸びているのが分かりますか? 左のカエルはその線がほぼ真っ直ぐなのに対し、右側のカエルは目の下あたりで線が外側に曲がっています。この線で見分けることができるのです。左がニホンアカガエルで、右はヤマアカガエルです。
卵でもどっちのカエルか見分けがつきます。ただし、産んでから日にちが経つほど難しくなります。見分けがつくのは、せいぜい7日程度です。卵をまとめてすくい上げた時に、かたまりですくえたら、それはニホンアカガエルの卵で、だら~っと落ちてしまったらヤマアカガエルの卵です。
●おまけ情報
いかがですか? カエルのこと、少しは面白くなってきましたか? 里山の田んぼには、アカガエルだけでなく順番にいろんなカエルが産卵に訪れます。オタマジャクシを飼育してカエルまで育ててみるのも楽しいですよ。みなさんも田んぼや川や池に行って、ぜひカエルたちを観察してみてください。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへ新緑と春の日差しがまぶしいハッチョウトンボの棚田で、わいわい生きもの探し!カエルやドジョウ、サワガニやザリガニなどが住んでいるよ。詳しいキャストと一緒に過ごす2時間で、何匹の生きものと出会えるかな?
※実施:2019年4月27日、28日、29日、30日(申し込みは1週間前まで)
生きもの探検隊のページへ