こんにちは!「モビリティリゾートもてぎ」にある自然体験施設「ハローウッズ」のキャストリーダー和田です。桜が散り、里山では新緑の季節を迎え、淡く微妙に色の違う緑が湧くように萌えはじめました。里山の萌える緑を感じに郊外に出かけて、森の中を歩いて色の違いなどを体感してみましょう。そんな新緑散歩の楽しみのために、今回は不思議な昆虫「ナナフシ」についてご紹介します。
今回ご紹介するのは、擬態の名人「ナナフシ」。バッタのようでバッタじゃない、ナナフシ目に属する葉っぱを食べる昆虫です。気を付けていただきたいのは、ナナフシという名前は総称で、ナナフシの仲間全体を指しているということ。体長数cmから15cmを超えるものまで、日本には15~20種類ほどのナナフシが生息していると言われています。
ナナフシの最大の特徴は、木の枝に擬態して外敵から身を守っているところです。強い攻撃力や素早い運動能力を持たないかわりに、細い身体を木の枝や葉っぱのように見せかけて敵をあざむいているのです。だから、森の中で最初は木の枝に見えたものをよく見てみたらナナフシだった、というのはよくあることです。
ナナフシの仲間は秋から冬にかけて産卵し、春に孵化します。ものすごく細く小さなナナフシの赤ちゃん(幼虫)は、森の中を歩き回ってエサを探します。エサは主に植物の葉っぱで、サクラやコナラ・ケヤキ・バラ・クズなど。生まれたての幼虫は、この新緑の柔らかい葉を食べて育ち、成虫になるまでに5~6回の脱皮を繰り返します。
ナナフシの仲間として日本でもっともポピュラーなのは「ナナフシモドキ」という種類です。モドキと言うからナナフシのニセモノかと思いきや、これが正真正銘もっとも正当なナナフシなのですから不思議です。実はこれ、ナナフシ(七つの節を持つ木の枝)モドキ(のようなもの)、つまり「七つの節を持つ木の枝のような虫」という意味で、こちら本来の名前です。これが短く省略されてナナフシと呼ばれるようになりました。
このナナフシモドキは里山などでよく見つけることができます。体長7~10cmで、身体の色は緑色または褐色。この体色は生まれた時から決まっていて、場所によって色が変わるわけではありません。
擬態の名人ナナフシには翅がないので、飛んで逃げることができません。なので枝に擬態するのですが、枝のほかにも葉っぱに擬態することがあります。「さすがにあの細い身体で葉っぱのマネは無理でしょう」と思うかもしれませんが、それが大丈夫なんです。葉っぱの中央で動かないようにじっとすれば、ナナフシの身体が「葉脈(ようみゃく:葉に通っている水や栄養分を運ぶ筋)」のように見えるのです。
擬態して動かないナナフシの面白いところは、自分が枝や葉脈になったつもりでちゃんと「ポーズ」をとるところです。左右の前足を2本とも前につき出して、ピッタリくっつけてまっすぐな棒のようになります。その時、頭がじゃまにならないよう、前足が頭の形に沿ってカーブした形をしています。また死んだふりも得意で、まっすぐな棒の形のまま地面に落ちて動かないこともよくあります。
木の枝や葉っぱそっくりに擬態するナナフシですが、もちろん、敵に見破られて襲われることもあります。そんな時、ナナフシは足を自切(自分で切り落とすこと)して逃げのびようとします。他の虫ではバッタなども自切するのですが、ナナフシが他の虫と大きく違うところは、自切した足が脱皮ごとに再生することです。なので、まだ若い幼虫のときに足がとれた場合は、脱皮するたびに足が少しずつ伸びて成虫になるまでに他の足に追いつきますが、大きく成長してから足がとれた場合は、元の長さまでたどり着けず、他の足より短いままになります。
ナナフシの不思議はまだまだあります。ナナフシにもオスとメスがいますが、メスの方が圧倒的に数が多いことです。たとえば先にご紹介したナナフシモドキの場合、ほとんどメスしかいないと言っていいほどで、日本では2020年までに全国で13例しか発見されていません。
ちなみ最後のオスを発見したのは5歳の男の子で、自宅近くの公園で採った幼虫5匹を飼育していたところ、2回脱皮した後に1匹だけ色が違うのに気づき、オスだとわかったそうです。
そんなにオスが少ないと子孫を残すのに苦労しそうですが、ナナフシは交尾しなくてもメスだけで卵が産める単為生殖(たんいせいしょく)です。メスは秋にばらまくように卵を産み落としますが、その卵はどの種類も草などの種のような外見をしています。
ちなみに写真の「トビナナフシ」は、珍しく翅(はね)を持っている種類です。体とのバランスがおかしな小さな翅なので、はたしてこの翅で飛べるのかどうか、捕まえて上に軽く投げてみたことがあります。確かに翅は開きましたが、飛ぶというよりはゆっくり落ちる感じでした。
ナナフシは、エサになる植物が多いため、都心に住んでいても飼育するのはとても簡単です。大切なのはエサを絶やさないようにあげることで、あとは葉っぱを食べてる様子や脱皮の瞬間、産卵や孵化などをぜひ観察してください。生きものを飼育することは、その生きものの生態を直接感じることなので、真実しかありません。何か不思議に思う行動やおかしなことを発見して、その理由を自分の目でつきとめてみてください。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
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