こんにちは! 日本野生生物研究所の奥山です。年が明けて2021年が始まりました。今年も元気に里山を飛び回って、皆さんに楽しい「森の遊び」をお届けしていこうと思います。さて新年最初の「森の遊び」は、オオムラサキという蝶の見つけ方をご紹介します。
皆さんは「オオムラサキ」という蝶をご存知ですか? 名前のとおり、こげ茶色の中に美しい青紫が入った翅(はね)が特徴で、翅を広げると10cm以上になる大きな蝶です。日本では北海道から九州まで広く分布し、そのほか朝鮮半島・中国・台湾北部・ベトナム北部などでも見ることができます。(ちなみに翅に紫色が入るのはオスだけで、メスには入りません)
昭和32年、オオムラサキは日本昆虫学会によって「世界に誇る日本の代表的な、格調高い華麗な蝶」として日本の国蝶に決まりました。大きく優雅に舞い、とても綺麗なオオムラサキは、私たち日本人にとって身近でありながらも特別な存在だということが言えます。
オオムラサキは5月後半から7月下旬にかけて羽化し、成虫が飛び回って樹液や果実・動物の排泄物などをエサとしている姿を見ることができます。夏に産卵し、卵から生まれた幼虫は3回脱皮して越冬しますが、翌年5月ぐらいになり食樹のエノキが芽吹いてくると、起き出してさらに2回脱皮して成虫の蝶になります。
オオムラサキの成虫が活動するのは春から秋にかけてですが、雑木林などで飛び回るこの蝶に出会うのはそう簡単ではありません。ひと昔前まで、オオムラサキはモンシロチョウやアゲハチョウと同様、どこでも見ることができる蝶でしたが、近年、オオムラサキの生活に不可欠であるエノキやクヌギなどの樹木が茂る里山が減ってしまったため、その姿を見かける機会がぐっと減ってしまったのです。
とは言え、絶滅が危惧されるほど数が減っているわけではなく、あくまで人間たちが見つけにくくなってしまったということ。コツをつかめば必ず出会うことができます。そのコツの一つが、冬の間に幼虫を探すということ。真冬、越冬状態に入った幼虫を探すのは、そう難しくないのです。
●エノキの木を見つける。
オオムラサキはエノキの木に卵を産みます。エノキで産まれ、幼虫時代にはエノキの葉を食べて育ちます。そして蝶になるとクヌギなどの樹液、果実・動物の排泄物などをエサとし、またエノキに卵を産んでエノキの近くで死んでいきます。
つまり、オオムラサキの幼虫は必ずエノキの木にいます。なので、まずは食樹であるエノキの木を知ることが第一。エノキは水辺などを好む木なので川筋や池の周りなどで探すと見つかります。葉っぱの落ちた木で種類を判別するのは難しいので、夏の葉が青々しているときに覚えておくといいでしょう。とは言え今は冬なので、そういうわけにもいきません。そこで、名札のついた公園の木などで「エノキ」を探し、幹の質感などを覚えていくようにしましょう。
そこで、エノキの木を見つけて、根元にたまっている葉をめくりながら幼虫を探していきます。この時、北側の根元、または木に陽の当たっていない方の根元を探しましょう。陽が当たって気温が上がる東側や南側では、暖かすぎて越冬できないので、幼虫は北側の根元に集まるからです。
宝探しのように一枚一枚めくって探していくと、葉っぱにへばりついている幼虫を見つけることができます。オオムラサキの幼虫との出会いです。
葉っぱを一枚一枚めくるのが面倒な時は、北側の根元の落ち葉をまとめて透明な袋に入れて縛り、
日の当たる場所に置いておくと、中が暖かくなって幼虫が目を覚まして歩き出します。こんな方法もありますが、やはり一枚一枚めくって探す方が、ドキドキしながらも楽しく、見つけた時の感動も大きいものがあります。
ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。
ハローウッズのホームページへミズスマシの沢にある池をキャストと一緒に大掃除。見つけた生きものは、お持ち帰りいただけます(小学生以下1人2匹まで)。
※現在は予定通り開催に向け準備を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症状況を注視したうえで判断し、内容を変更して実施または開催中止の可能性がございます。ご理解くださいますようお願いいたします。
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