こんにちは!日本野生生物研究所の奥山です。稲刈りが終わり、田んぼの水も干上がり秋深まる頃、田んぼやその周辺の水場で暮らしていた生きものはどうなってしまったでしょう? 今回は、そんな秋から冬にかけて田んぼ周辺にいる生きものたちのお話です。
大きな川から田んぼに水を運ぶ小さな川、これを田んぼの水路、または田んぼの小川と呼びます。この水路は、田んぼに生える稲のために水を運んでいるので、稲刈り間近になると水の流れを止めます。すると水は段々と蒸発していき、最後にはなくなります。
では、春から夏にかけて水路の中で生活していた生き物たちはどうなるのでしょう? 水のある間は、少しでも水深の深い場所を探して隠れています。そんな場所に網を入れてガサガサすると、隠れていた様々な魚を見つけることができます。さあ、どんな生き物がいるのか、観察してみましょう。
水の流れが止まっても、田んぼの水路にはしばらく水が残っています。そんな水路にアミを持って行って、ガサガサしてみましょう。
体長10~15cmほど、西日本を中心に広く日本に分布するコイ科の身近な川魚です。大人のオスは喉から腹にかけて赤くなります。
食用、観賞用として昔から親しまれてきた川魚。川や池、沼、湖、用水路などにも広く生息します。野生のコイは体高が低く細身な体つきが特徴。水草、貝類、昆虫類、甲殻類など、口に入るものならなんでも食べます。
日本や中国、朝鮮半島など東アジアの河川や湖沼に生息する肉食性の淡水魚。発達した口ヒゲで餌を探し、小魚、エビ、昆虫、カエルなどの小動物を食べます。日本では古くから食用魚として漁獲されてきました。
テナガエビ科のエビで、日本や南東シベリア、サハリンなどに生息します。ほぼ透明で内臓が透けて見える体に七本の筋が入っているのが特徴。魚釣りの餌などによく使われます。
体長15cmから大きいものは30cmほど。日本に生息するフナは、ギンブナ、キンブナ、ゲンゴロウブナの3種ですが、フナの仲間は分類が非常に難しく、決定的な定説がないとされています。
流れのある水より、よどんだ水域に生息します。名前の由来は、土の中で生きているので「土生」、中国語の「泥鰌」、「泥鰍」など。田んぼや水路に多く見られるので、古くから農村地帯で食用に用いられてきました。
地域や場所にもよりますが、田んぼの水路にはメダカが生息していて、集団で泳ぐ姿を観察できます。
水路の水が完全になくなると、水辺の生きものたちも姿を消してしまいます。この、冬が近づき水路の水が完全になくなろうとしている時期に現れるのが、サギなどの鳥類やイタチ・タヌキなどの動物たちです。冬が来るとエサを取るのが困難になるので、彼らもこんなチャンスは逃しません。ぬかるみにある動物たちの足跡を観察して、どんな種類の動物なのか、どんな行動をとったのか、想像してみるのも楽しい遊びですよ。
これから寒くなり、なかなか外で遊べなくなりがちですが、ちょっと散歩気分で田んぼの水路へ見にいってみてはどうでしょう。えっ!水のなくなった水路でも生きている水生生物がいる?! それはどんな生きものなのか、「なぜ?なに?自然の大図鑑」を見てみてね。