執行役最高財務責任者

事業の変革フェーズに応じた戦略的な資源配分により、
企業価値の向上を実現します。

執行役
最高財務責任者

藤村 英司

企業価値向上に向けた取り組み

Hondaはこれまで変革を支える「事業体質の強化」に全社一丸となって取り組み、収益体質の向上へ向けた施策を進めてきました。
 

2022年度決算では、半導体影響やインフレによるコスト上昇など事業環境の悪化や品質関連費用の増加などにより、全社の売上高営業利益率(ROS)は4.6%と厳しい結果になりましたが、二輪事業では、ROS16.8%を達成し過去最高の営業利益を更新しました。また、四輪事業においても、生産能力を基準とした損益分岐点は約80%と、従前の約90%から大きく改善させており、減産時における収益確保に結び付いています。これら各事業の取り組みにより、2025年度全社ROS目標7%以上の達成に向けた収益体質の改善は確実に進んでいると考えています。また、財務基盤の面では、2021年度に続き7,000億円レベルのフリー・キャッシュ・フローを創出し、変革を支える原資を確保するとともに、年間120円の配当と、機動的な資本政策として年に2度、合計1,700億円の自己株式取得を実施しました。
 

今後も事業を取り巻く環境が大きく変化するとともに、地政学的リスクをはじめとした事業リスクが多様化するなか、企業価値の向上に向けては、財務・非財務資本を活用し、キャッシュ・フローの持続的な成長と資本効率の向上を実現する必要があります。最高財務責任者としては、この実現に向けて、①事業変革のフェーズごとに目指す目標を明確に定め、戦略的な資源配分を実行すること、また確実な実行に向けて、②資本コストを意識した経営の強化などガバナンスの強化とリスクマネジメントを適切に行うこと、そして、③ステークホルダーの皆様と積極的な対話を行いながら、経営の質と透明性を高めることが重要なミッションであると考えています。
 

これらのミッションを一つ一つ確実に実行することで、第二の創業期として変革を実現し、ステークホルダーの皆様からも存在を期待されるHondaであり続けてまいります。

企業価値向上に向けた取り組み

概念図

業績推移

グラフ

企業価値向上に向けたフェーズごとの目標と戦略的な資源配分

新たな価値創造によるキャッシュ創出力の確立に向けて、経営計画を変革のフェーズに分け、具体的な定量目標を掲げ推進していきます。足元では、PBRが1倍を下回る水準となっていますが、改善に向けては、資本コストを上回る資本収益(ROIC)を早期に確立すること、また「お客様一人ひとりのモビリティライフに寄り添った、継続的な価値提供」を目指す中で、財務・非財務資本を活用し、将来にわたりキャッシュ・フローを持続的に成長させることが重要であると考えています。

~2025年:“ICE※1製品事業の体質強化とEV事業への資源投入” フェーズ

2025年に向けて各地域の特性に合わせたEVを順次投入していきますが、2025年までのフェーズにおいては、引き続きICE製品が販売の中心となります。その中で財務観点では、事業ポートフォリオの変革に必要なEV事業への資源投入を行うとともに、ICE製品事業の体質強化とEV事業への資源投入に注力し全社ROS7%以上を目指します。特に四輪事業の収益体質強化が課題となりますが、これまで推進してきた、Hondaアーキテクチャー~{※2}や一括企画の導入、グローバルモデルの派生数削減、生産能力の適正化などにより構築した事業体質を土台とし、半導体の安定調達など、サプライチェーンの強化にも取り組み、四輪販売台数を回復させ、着実に収益性を高めていきます。このような事業体質の強化により強固な財務基盤を築いた上で、EV事業への資源投入を着実に実行していきます。また全社ROS7%以上の達成により資本コストを上回るROICを実現します。

  1. ICE:内燃機関、エンジン
  2. 自動車に搭載されたコンピューターやセンサー、アクチュエータなどをつなぐシステム構造

~2030年:“ICE製品からEVへの事業転換” フェーズ
グローバルで年間200万台を超えるEV生産体制の構築

2030年までのフェーズでは、EVの成長に向けて資源投入をさらに加速させEV事業の自立化を実現します。2030年には、グローバルで年間200万台を超えるEV生産体制を構築し、先進国全体でのEV、FCVの販売比率40%を目指します。半固体電池・全固体電池などの次世代電池の開発や、グローバル生産システムの改革によるEV生産体制の強化、車両販売後の機能やサービスの進化につながるHonda独自のビークルOSの開発など、EV事業の成長につながる戦略的な投資を加速させるとともに、EVのラインナップを二輪と四輪を中心に拡充し、市場での競争力を強化していきます。一時的な先行投資の影響はありますが、さらにICE事業のキャッシュ創出力を高め、変革に向けた資源投入を支えると同時に、資本コストを上回るROICを維持し、2030年度には、EV事業のROSを5%以上、全社ROICは10%以上を目指します。

2030年代: “EV事業の成長と新たな価値の創造”フェーズ

EVの成長拡大と新たな価値の創造により第二の創業を確立していきます。EV事業のROS目標を10%以上とし、2040年にEV・FCVの販売比率100%を目指し、キャッシュ・フローの持続的な成長を実現します。新たな価値創造の実現に向けては、知能化、バッテリー技術の進化、水素活用、サステナブルマテリアルなど5つのキーファクターに関連するカーボンニュートラル技術を中心とした基礎研究領域に、年間1,000億円レベルの研究予算を今後も安定的に資源配分していきます。

事業変革のフェーズごとの目指す目標

グラフ

戦略的な資源分配

グラフ

株主の皆様に対する利益還元

成果の配分については、株主の皆様に対する利益還元を、経営の最重要課題の一つとして位置付けており、長期的な視点に立ち将来成長に向けた内部留保資金や連結業績などを考慮しながら決定していきます。配当は、連結配当性向30%を目安に、変革に向けた資源投入を加速させながらも、Hondaの強みを活かしたキャッシュ創出力を原資に安定的・継続的な配当に努めます。2023年度においては、配当金を過去最高の150円~{※3}へ増配することを予定しています。また2023年5月11日の取締役会で2,000億円の自己株式取得を決議しましたが、資本効率の向上および機動的な資本政策の実施などを目的として、自己株式の取得も適宜実施していきます。

  1. 2023年8月9日の取締役会にて、2023年9月30日を基準日として、1株につき3株の割合をもって株式分割を行う旨を決議しました。上記分割に伴い、配当金予想を修正していますが、株式分割前基準では2023年5月11日発表の年間配当金予想150円から変化していません。

ガバナンスの強化とリスクマネジメント

大きな変革の時代において、環境変化に柔軟かつ適切に対応し企業価値の向上を実現するために、資本コストを意識した経営の浸透を図りガバナンスを強化していきます。具体的にはROICツリーを活用し、現場のアクションと全社目標を有機的に結び付け、ROIC~{※4}の分子である利益を最大化するとともに、保有する資産の効率的な活用や必要投資の見極めを通じて分母の投下資本~{※5}を最適化することで資本効率を向上させます。金融サービス事業については、負債による資金調達を基本とするため、自己資本利益率(ROE)を活用することで収益性と健全性のバランスを図りながら、資本効率を最大化し、変革を支えていきます。
 

資源の投入にあたっては、経済動向や環境規制の変化、技術革新など不確実性の高い事業環境の中においても、変革に向けた大規模な投資を実行する必要があるため、リスクマネジメントとして判断トリガーを明確化し、資本コストを意識した投資判断を実施します。

ステークホルダーの皆様との積極的な対話

企業価値の向上には、キャッシュ・フローの持続的成長と資本効率の向上に向けたロードマップを発信するとともに、 Hondaの将来性が資本市場に浸透することが重要と考えています。
 

そのためには、株主や投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様に、経営の方向性が正しく理解され評価いただけるよう、経営陣が主体となり、イベントや個別面談等を通じて、これまで以上に対話を積極的に行っていきます。また、対話を通じて資本市場が求めていることや関心のあることを経営陣が直接把握し、これをステークホルダーの皆様からの貴重なフィードバックとして経営に活かしながら、さらなる企業価値の向上へつなげていきます。
 

なお、2022年度の対話実績と社内へのフィードバックの内容の詳細は投資家・アナリストとのコミュニケーションのページをご参照ください。(https://global.honda/jp/investors/policy/communication.html)
引き続き、Hondaの企業価値向上にご期待いただけますよう、宜しくお願いいたします。

ROICツリー

ROICツリー
  1. ROIC: 親会社の所有者に帰属する当期利益+支払利息(金融事業を除く事業会社)÷投下資本
  2. 投下資本:当社株主に帰属する株主資本+有利子負債(金融事業を除く事業会社)、投下資本は期首期末平均