Gold Wing Stories

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2007ゴールドウイング(GL1800) <エアバッグ>

世界初、量産二輪車用エアバッグを
搭載したゴールドウイング

世界初、量産二輪車用エアバッグを搭載したゴールドウイング

2005年9月、Hondaは世界で初めて量産二輪車用エアバッグシステムを開発したことを発表。同時に、2006年中に米国で発売するゴールドウイング(GL1800)に搭載することも公表しました。

世に驚きをもって受け入れられた世界初のエアバッグ搭載の量産バイクでしたが、実はこのエアバッグシステムの基礎研究は、発表から16年も前である1990年からスタートしていたのです。

開発にあたっては、ライダーの死傷事故データの分析をおこないました。これらのデータから、日本、米国、欧州ともに、二輪車前面での衝突が多く、ライダーは二輪車から離脱後に衝突相手車両や路面などとの打撃による傷害が多いということがわかりました。

この事から、前面衝突時のライダーの運動エネルギーをエアバッグで吸収し、ライダーの前方への離脱速度を抑制することで、二輪車から離脱後の衝突相手車両や路面などとの打撃による傷害を軽減する事が有効であることが明確になりました。

そのためには、多様な衝突条件での効果を検証するため、高精度で衝突現象を再現でき、乗員(ダミー)の負傷レベルを評価できるコンピューターシミュレーションが必要です。その検証の環境を築く技術の構築にも注力しました。

さらに、広く世界の研究者から意見を収集するために、二輪車用エアバッグの研究結果を早い段階から国際的な技術会議などで発表してきました。

たとえば、2000年4月、Hondaは先進安全研究車「ASV-2」の技術概要を発表し、このなかにゴールドウイング(GL1500)に研究開発中の二輪車用エアバッグを搭載したモデルがありました。

Honda ASV-2 4号車 ゴールドウイング(GL1500) エアバッグ搭載モデル

Honda ASV-2 4号車 ゴールドウイング(GL1500) エアバッグ搭載モデル

二輪車用エアバッグシステムの基本構成

二輪車用エアバッグシステムの基本構成

このように、技術を随時公開しながら広く意見を収集し、さらなる技術進化を図っていたのです。

2000年、Hondaは世界初の全天候型「車対車」全方位衝突実験施設を株式会社本田技術研究所に完成させました。この最先端の施設は二輪車用エアバッグの開発に大きな効果をもたらしました。

全方位衝突実験施設(2020年撮影)

全方位衝突実験施設(2020年撮影)

このような粘り強い研究開発を16年にわたり継続した結果、ようやくライダーに乗ってもらえる製品として完成したのです。

2005年 9月発表時の写真 エアバッグ展開時
2005年 9月発表時の写真 エアバッグ展開時

2005年 9月発表時の写真 エアバッグ展開時

ゴールドウイング(GL1800)のエアバッグ搭載車は、北米と欧州で2006年に販売がスタートしました。日本では、2007年6月にゴールドウイングにエアバッグ装着タイプを設定して発売しました。

2007年 6月発売 ゴールドウイング<エアバッグ> 日本仕様

2007年 6月発売 ゴールドウイング<エアバッグ> 日本仕様

ゴールドウイング(GL1800)は、2018年のフルモデルチェンジ後も継続してエアバッグシステムを採用し、搭載タイプを設定しています。

2005年発表時の二輪車用エアバッグシステムの主な構成

エアバッグモジュール

エアバッグモジュール
エアバッグモジュールには、エアバッグ本体と展開時に必要な気体を発生させるインフレーター、およびコントロールユニットを収納している

コントロールユニット

コントロールユニット

ハンドルとシートの間にエアバッグモジュールが搭載される

ハンドルとシートの間にエアバッグモジュールが搭載される

衝撃センサー いち早く衝撃を検知するために、フロントフォーク部に左右2個、合計4個を装着

衝撃センサー
いち早く衝撃を検知するために、フロントフォーク部に左右2個、合計4個を装着

ISO13232規定の 二輪車衝突テスト専用ダミー ダミー内の装置に計測データが記録され、ほぼ全身にわたる傷害値の計測評価が可能

ISO13232規定の 二輪車衝突テスト専用ダミー
ダミー内の装置に計測データが記録され、ほぼ全身にわたる傷害値の計測評価が可能

Honda Technology

前面衝突時、ライダーの傷害を軽減させる世界初の量産二輪車用エアバッグシステム